今回は若干、変則的なディスクをご紹介しよう。それは「シュッツ&鈴木大介 play シューベルト」と題したアルバム。
一つは楽器の組み合わせだ。CD全体はウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の首席フルート奏者カール=ハインツ・シュッツを中心とした構成なのだが、こうしたケースで通常パートナーを務めるピアノではなく、日本を代表するギター奏者・鈴木大介が共演している。つまりフルートとギターのコラボ。それゆえ、金属的な刺激をまったく感じさせない、古雅でやさしい響きが耳を癒してくれる。
もう一つは選曲。最初に登場するのは、シューベルトの「フルート、ギター、ヴィオラとチェロのための四重奏曲」というレアな作品。これは、ボヘミア出身の作曲家兼ギター奏者で同時代にウィーンで活躍したマティーカの「ノットゥルノ」の編曲だ。
お次は20世紀イタリアの作曲家カステルヌオーヴォ=テデスコの「フルートとギターのためのソナチネ」、そして最後にようやくシューベルトの自作が来る。だがこれも歌曲の編曲。「美しい水車屋の娘」の楽曲や「音楽に寄す」「糸をつむぐグレートヒェン」といった有名曲が多いものの、フルートとギターによる演奏は極めて珍しい。かように本ディスクは、他に類を見ない内容となっている。
演奏自体は、まず純朴な音色を生かしたシュッツのナチュラルな名奏が光っており、鈴木は細やかな表現で的確に色を添える。
最初の四重奏曲では、ウィーン・フィルの弦楽器の名手2人を加えて、愉悦感に富んだアンサンブルが展開されている。またC=テデスコの作品では、第2楽章の哀切な表現や第3楽章の名人芸が印象深い。
さらに聴きものなのが歌曲の数々。ここでは両楽器のデュオに合った巧みな選曲がなされ、鈴木がさりげなくも美しいアレンジを施している。シュッツの温かな歌い回しとギターとの音色配合の美感が相まった演奏にも清新な感触が横溢(おういつ)し、シューベルト歌曲のメロディーの魅力を再発見させてくれる。
じっくり聴いても良し、夜のお酒のバックにもまた良し。これは、素朴で味わい深い素敵(すてき)なアルバムだ。
【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No. 42からの転載】
柴田克彦(しばた・かつひこ) 音楽ライター、評論家。雑誌、コンサート・プログラム、CDブックレットなどへの寄稿のほか、講演や講座も受け持つ。著書に「山本直純と小澤征爾」(朝日新書)、「1曲1分でわかる!吹奏楽編曲されているクラシック名曲集」(音楽之友社)。
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