亡命、けが、病気と、直面するさまざまな困難を一つ一つ乗り越え、舞台に復帰した天才ピアニスト、スタニスラフ・ブーニン。9年間の活動休止を経て復帰するまでの舞台裏を描いたノンフィクション、『ブーニン』(小堺正記、NHK取材班著、東洋経済新報、税込み1760円)が発売された。
ブーニンは1966年、ソ連時代のモスクワ生まれ。祖父は「ロシアンピアニズムの開祖」とも呼ばれるゲンリヒ・ネイガウスという"サラブレッド"。17歳でロン・ティボー国際コンクール優勝。その2年後、ショパン国際ピアノコンクールでは、二次予選で伝説の"猫のワルツ"を披露して1位に。だが、ソ連当局による監視と締め付けでモスクワ音楽院を退学となり、当時の西ドイツに亡命した。
2013年の活動中止のきっかけは、左肩の石灰沈着性腱板炎による左手のマヒ。さらに2018年には自宅で転倒して左足首を骨折。持病の1型糖尿病の影響で壊死(えし)が進み、医師から「左足切断」を勧められるという絶望的な状況に直面していた。
その後、左足首を8センチメートル短くして保存する大手術を受けた。復帰を支えたのは、ジャーナリストでもある妻。イタリアのピアノメーカー・ファツィオリと、彼の音色を熟知する調律師らが一丸となった「チーム・ブーニン」。特注のペダル制作し、献身的なリハビリのサポートを通じて彼を再び舞台へと導いた。
2026年2月には関連映画も公開される予定。書籍の発売を記念して、東洋経済ID会員限定で、映画『ブーニン』ムビチケカード前売り券が抽選で10人に当たるプレゼントキャンペーンも実施される。詳細は応募ページに掲載している。











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