海水温の上昇でサンゴが白化、死滅する問題が世界中で報告される中、これはうれしい光景だ。オーストラリア北東部のクイーンズランド沖にあるグレートバリアリーフでは、今年もサンゴの大規模な一斉産卵がピークを迎えている。
クイーンズランド州政府観光局によると、海の中にまるでピンク色の雪が舞うような神秘的な光景が広がったのは12月9日。この幻想的な“雪景色”を生み出しているのが、世界最大のサンゴ礁群・グレートバリアリーフで起きる年に一度の大規模産卵だ。広大なリーフの各所でサンゴの一斉産卵がピークを迎え、今年は大シャコ貝や軟体動物、巻貝類も活発に動き、海中全体が生命の営みに満ちる一夜になったという。
15年間リーフで働き、8回の産卵を目撃してきた海洋生物学者のミシェル・バリー氏は「途中で視界が完全に失われるほど、卵と精子が水中を舞い、まるでピンク色の吹雪のようでした。周囲の生物も一斉に動き出し、水中には生命の渦が生まれていました。グレートバリアリーフが今も力強く生きていることを全身で実感できる、特別な瞬間でした」と話している。海洋教育リーダーのロビンソン氏は「今回のような広範囲での大規模産卵は、サンゴが依然として健康で回復力を保っていることを示しています」とする一方、「気候変動はリーフにとって最大の脅威である状況に変わりはありません」と警鐘を鳴らしている。











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