薬の包装シートをペンやベンチなどにアップサイクル　第一三共ヘルスケアとテラサイクルジャパンの取り組み、東京・東大和市でも

　錠剤が入ったシート状のパッケージは、病院からの処方や、ドラッグストアなどでの薬の購入の際にもなじみの深いもの。このパッケージ「おくすりシート」を回収してリサイクルする「おくすりシート リサイクルプログラム」を、第一三共ヘルスケア(東京)がテラサイクルジャパン(横浜市)と協働して2022年10月から横浜市内で展開している。

　第一三共ヘルスケアによると、「おくすりシート」は国内だけでも年間1万3000トンが生産されている。必要不可欠な医薬品包装資材という特性上、削減が難しく、今後も高齢化の進展に伴い使用量の増加が見込まれるという。「おくすりシート リサイクルプログラム」は、使用済みの「おくすりシート」を生活者参加型で回収・リサイクルする日本初(テラサイクルジャパン調べ)のプログラム。「おくすりシート」がリサイクル可能な資源であることを広く知ってもらい、資源として循環する仕組みを確立することを目指している。2025年11月末までに、横浜市内の薬局・ドラッグストア・病院・公共施設など102カ所で16トン(約1600万枚相当)を回収。回収後は粉砕・加工し、ボールペン・トレー・ベンチ・カウンターテーブルなどに再生して活用されている。今年10月には早稲田大学の構内に、「おくすりシート」の再生素材を用いて作製したカウンターテーブルなどが設置された。

　東大和市では、2026年1月までに、市役所・市民センター・公民館の全10カ所に、専用回収BOX「おくすりシートくるりんBOX」を設置。その後、調剤薬局やドラッグストア、病院などの施設へと回収拠点を広げていく予定。回収対象は、薬局・ドラッグストアなどで購入した薬、病院・クリニックで処方された薬で、購入店舗や薬のメーカーは問わない。

　12月11日には東大和市役所で、東大和市・第一三共ヘルスケア・テラサイクルジャパンの三者による協定締結式を実施。

　テラサイクルジャパン・ジェネラルマネージャーの浪花優子氏は、「小さなシートも積み重なれば相当量の廃棄物となります。現在、おくすりシートが多くの皆さまのご協力によって回収され、資源循環の仕組みが形づくられつつあります。このたび東大和市様と新たに取り組みを開始し、エリアを拡大できることを大変うれしく思います」とコメント。

　東大和市の和地仁美市長は同プログラムについて、「先行して実施している横浜市を拝見しますと、高い回収実績を挙げております。今後、当市でも多くの市民の関心を集め、プラスチックの分別やリサイクルへの理解促進が期待できる取組であると認識しております」と話した。

　第一三共ヘルスケアは、今後、回収した「おくすりシート」の再生を加速するため、より効率的なリサイクル手法を検討するとともに、回収拠点の拡大を目指していくとしている。