お米のことを楽しく学べる施設「ヤンマー米ギャラリー」(東京都中央区)で12月12日、地元京橋築地小の5年生54人が、農作業の機械化、自動化などで100年余りの間に様変わりした米作りに関わる幅広い知識を学習した。

 大型画面の映像で米作りの省力化の歴史を学んだ児童は、ヤンマーが用意した「ワークシート」に時折、要点をメモしながら、腰を折り曲げて行う田植えや臼を回してもみ殻を除く昔の「手作業」の大変さや、田植え機・脱穀機などの農業機械やICT(情報通信技術)を活用して省力化、効率化に努める現代の「スマート農業」の進展ぶりに驚いていた。

 昔の米作りに興味を抱いたという男子児童は「田植えも刈り取りも手作業なんてびっくりした。今は農家さんの負担が減って良かった」と話した。スマート農業に関心を持ったという別の男子児童は「人工衛星も使って米作りができるようになるなんてすごいと思った」と語り、無線通信技術も活用して作業の自動化を進める技術革新に感銘していた。

 山田錦やコシヒカリ、あきたこまち、ヒノヒカリなど、お米の各銘柄の特徴を学ぶために設けられたテーブル型パネルには3つの画面がある。画面に表示されるいくつかの質問に回答すると、例えば「あなたは山田錦タイプ」と画面に各銘柄の特徴に応じた「性格診断結果」が示される。

 これに一緒に挑戦した6人の児童はそれぞれの診断結果に「私はヒノヒカリ。あなたは?」「私と同じタイプだよ」などとおしゃべりして楽しんでいた。「山田錦タイプ」(“人と違うこと”で自分らしさを表現しようとするクリエーター気質の持ち主)と評価された女子児童は「私は自由が好きだから、めっちゃ当たっている」と喜んだ。

 またお米を原料とする甘酒に関するクイズも行われ、子どもたちが発酵と腐敗の区別や甘酒原料の一つでカビの一種である「米こうじ」の働きなどを知り、多様で奥深い「コメ加工食品」への理解を深めた。

 児童は、米ギャラリーを開設した農機製造大手ヤンマーHD(大阪市)の社員、野村優希さんから、「小形ディーゼルエンジン」を開発したヤンマー創業者・山岡孫吉(1888~1962年)の創業にかけた思いなどを聞き、さまざまな農機を作って農家を重労働から解放してきたヤンマーの歩みを知った。

米ギャラリーは入館無料の体験型施設としてヤンマーが2023年1月開設。小学校など学校単位の見学も増えており、子どもたちが気軽にお米のことを学ぶ施設として親しまれている。

 今回の京橋築地小児童の見学に際しては、児童が米ギャラリーで感じたこと、学んだこと、未来のお米作りについて考えたことなどを書き込む4ページ分の「ワークシート」を作成して配布。見学者・来館者に役立つ工夫を重ねている。

 この日児童にヤンマーの歴史を分かりやすく説明した野村さんは「見学に役立ててもらおうとワークシートを今回作成しました。今後も社会見学で訪れる児童・生徒に配布していきたい」と述べた。

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