2030年3月以降に東証グロース市場の上場維持基準が時価総額40億円から100億円に引き上げられることを見据えた創薬ベンチャー投資をめぐるパネルディスカッションが12月11日、東京都内で開かれた。投資家や創薬事業関係者らが参加し、パネリストの“産学官金”の有識者5人がそれぞれの視点から指摘した創薬ベンチャー投資の課題について理解を深めた。
投資事業に参入した創薬ベンチャーNANOホールディングス(ナノHD、東京都港区)の主催。主催者を代表して冒頭あいさつしたナノHDの飯野智取締役は「(グロース市場上場維持基準の)いわゆる100億問題は、IPOを目指す創薬ベンチャーの足元をすくう新たな“死の谷”と認識している。そこに当社はなんとか橋を架けていきたい。SBI証券と組んで上場株式やファンドを使った新しい投資モデルを今設計している。投資家から見れば、今回の変化・危機は最大の投資チャンスだ。 当社としては新たな投資モデルの試みで、当社株主に利益を還元するだけではなく、日本の創薬ベンチャーのために“健全な資金循環”を起こしたい」と述べた。
パネリストの5人は、東京大協創プラットフォーム開発(東大IPC)パートナーの河原三紀郎氏▽Beyond Next Ventures投資部ディレクターの澤邉岳彦氏▽日本医療研究開発機構(AMED)調整役の下田裕和氏▽テック&フィンストラテジー代表取締役の⼩南欽一郎氏▽田辺ファーマ執⾏役員の長⼭和正氏。司会進行はSBI証券シニアマネージングディレクターの石井巨道氏が務めた。
石井氏は「グロース市場の上場企業は約600社。うちおよそ3分の2の約400社は100億円の時価総額を満たしていない」と指摘した上で「市場が活性化するとして(グロース市場維持基準引き上げを)歓迎する向きもあるが、既に上場している企業が上場維持に課題を抱えるばかりではなく、時価100億円維持を案じてグロース市場の新規株式公開(IPO)企業数が減ることが懸念される」と問題提起した。
東大IPCで投資と事業開発を管掌する河原氏は「日本の研究開発には素晴らしいものがあるが、事業開発や投資などのエグジット(投資回収)戦略を考える人材はこれまで薄かった。結局M&A(企業の買収・合併)をする時は、お金の出し手、出し方の問題になる。
製薬会社で研究職や事業開発を経験した後、投資の世界に転じた澤邉氏は「製薬企業の研究開発や事業開発にいた専門性を持った人材がスタートアップに入り、いろいろな経験を重ねている。AMEDの支援もあって、海外で資金調達しようというスタートアップも増えている。海外に出ていくとか、今までと違ったシナリオがいまは求められている」と述べた。
7月に経済産業省からAMEDに移った下田氏は、前臨床、治験第1~2相の開発段階にある創薬ベンチャーが行う実用化開発を支援する、AMEDの「創薬ベンチャーエコシステム強化事業」に触れ、この事業のポイントは「海外のベンチャーキャピタルなど海外のお金と人脈へつなぐ点にある」と強調。その上で治験の最終段階である「第3相試験」に対しても補助金を出す補正予算を政府は国会に提出したとして「創薬ベンチャーエコシステム強化事業で“育てたもの”が最後に到達するまで」補助金を出すなど長期的な視点で公的支援を取り組む、とした。
研究者や大手証券会社アナリストを経て,バイオベンチャーの上場に関わった小南氏は「日本では長期にわたって(創薬ベンチャーの)成功事例が出なかったことが、現在の投資側の期待のシュリンク(縮小)につながっている。反転するには何かきっかけが必要であり、今回ナノHDが打ち出した株式交換なども含めた新しい投資スキームは“きっかけ”として期待できる」と話した。
日本の大手製薬会社で経営戦略や事業開発を担当した経験のある長⼭氏は「日本の製薬会社の研究者のレベルは世界トップレベルで、日本の創薬の力は世界に誇れるものがある。資金面だけでなく事業開発や出口の部分を進める真剣な取り組みができれば、日本の技術力を世界に示すことができる。事業開発に関しては、ロイヤリティー(著作権やノウハウなどに対する使用料)などに関するナレッジ(知見)を持っているロイヤー(法律家)が伴走する仕組みが望まれる」と語った。
東京証券取引所(東証)は12月1日、企業間のM&Aや起業家の創業などを促進するため、30年3月1日以後、グロース市場の時価総額基準を「上場から5年経過後、事業年度の末日において100億円以上(改善期間1年)」とする有価証券上場規程の一部改正を12月8日から施行すると発表している。
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