カーボンニュートラルへの取り組みが社会全体のテーマとなる中、物流や営業活動を支える車のEV化も急速に進んでいる。しかし、EVならではの静音性や加速性能が、ドライバーの負担を軽減し「働きやすさ」につながるという期待がある一方、航続距離や充電インフラに対する不安が、新たなストレスを生んでいる可能性も指摘されている。

企業の環境対応と、現場で働く人々の労働環境。この両面からEVを評価するためには、実際に日々運転しているドライバーのリアルな声に耳を傾けることが不可欠だ。そこで、商用EV・充電器導入支援サービスを提供するCUBE-LINX(東京都日野市)は、「業務でEVを運転する人のEV利用実態と意識に関する調査」を実施した。調査対象は、業務でEVを日常的に運転している20代~50代の男女298人。

 まず、「これまでに運転してきたEV以外の車両での業務においてストレスや身体的な疲労を感じた点は何か」(複数回答)を尋ねると、1位が「給油所へ行く手間や給油作業」(40.9%)、2位が「メンテナンスの手間」(37.6%)、3位が「エンジンの騒音や振動」(31.5%)という結果に。4位以降も20%を超える回答が並び、EV以外の車両での業務では「アクセル・ブレーキ操作による足の疲労」や「排気ガスの臭い」、「車両の振動による身体への負担」といった点にもストレスや身体的な疲労を感じていたことが判明した。

 次に、「業務でEVを運転するようになり、従来の車両と比較して、業務における疲労やストレスはどのように変化したか」という問いに対し、1位が「変わらない」で32.5%、2位が「やや減った」で31.2%、3位が「やや増えた」で18.5%、4位が「大幅に減った」で9.4%という結果に。「変わらない」という回答が最も多いものの、2位と4位の回答を合計すると回答率40.6%となり、業務でEVを日常的に運転している人の4割以上が、従来の車両に比べ、疲労やストレスが軽減されたと感じていることがわかった。

 また、「今後も業務で使用する車両はEVが良いと思うか」と尋ねると、1位は「どちらかといえばそう思う」(43.9%)で、以下、「とてもそう思う」(29.9%)、「あまりそう思わない」(19.5%)と続いた。1位と2位の回答を合計すると、業務でEVを日常的に運転している人の7割強が、今後も業務でEV車両を使用することに肯定的な意向を示していることがうかがえる。

 次に、「業務でEVを運転することについて、不安や困ることは何か」(複数回答)と聞くと、1位「バッテリー切れの不安」(52.7%)、2位「充電ステーションが見つかりにくいこと」(45.0%)、3位「充電待ち時間が発生すること」(43.3%)がトップ3という結果に。

 調査の最後に、「業務でEVを運転することについて、最も大きな課題だと感じることは何か」を尋ねると、1位は「充電スタンドの不足」(23.2%)となり、2位「充電待ちの発生」(18.8%)、3位「充電時間の長さ」(18.5%)と続いた。

 この調査の結果から、業務でEVを日常的に運転する人が、その際に不安や困難を感じることは主に「バッテリー切れの不安」や「充電ステーションが見つかりにくいこと」であり、最も大きな課題だと感じることは、「充電スタンドの不足」であることが明らかに。業務におけるEVの持続可能性は、ドライバーのこれらの不安をどれくらい解消できるかにかかっているのかもしれない。

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