国内の失明原因1位である緑内障。その早期発見と24時間モニタリングを可能にする画期的なデバイスが、そう遠くない将来に登場しそうだ。
早稲田大学の三宅丈雄教授、アズハリ・サマン次席研究員らと山口大学の木村和博教授・芦森温茂助教らの共同研究グループは、眼圧を無線で、かつ従来方式の約183倍という極めて高い感度で計測できるスマートコンタクトレンズを開発したと発表した。この成果は、2026年1月13日付の国際学術誌「NPJ Flexible Electronics」に掲載された。
研究チームは、導電性高分子(PEDOT:PSS)と接着性高分子(PVA)を用いた多層構造の抵抗センサーを開発。さらに、電気メッキ技術で伸縮性を持たせたアンテナをソフトコンタクトレンズ上に直接形成することに成功した。
従来の眼圧計測レンズは硬いハードレンズが主流で、装用感や価格が課題だった。一方、ソフトレンズに電子部品を載せると乾燥で剥離する問題があったが、今回の伸縮アンテナによりその弱点を克服した。
今回のブレークスルーの鍵となったのが、読み出し側に導入したパリティ・時間(PT)対称性共振結合回路だ。従来の無線方式では難しかった微細な変化を増幅し、従来比約183倍(36.333Ω/mmHg)という超高感度での計測に成功した。
また、開発したレンズの可視光透過率は80%以上と高く、視界を妨げない。さらに、ウサギを使った試験やヒト角膜上皮細胞を用いた生体適合性試験では、24~48時間後も細胞生存率90%以上を維持し、安全性が確認された。
研究チームは「健常者が日常的に装着することで、緑内障の早期発見につながるセルフケアデバイスとしての展開が期待できる」としている。
緑内障は眼圧の上昇により視神経が障害される疾患で、国内の患者数は推計400万人以上。
研究チームは今後、レンズ製造、無線検出器の開発を行える企業との連携を進め、臨床試験や製品化を目指す。なお、PT対称性を利用した高感度無線計測技術は、眼科領域にとどまらず、心血管・皮膚・呼吸など他の生体センシングにも応用可能だという。











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