マニュライフ・ファイナンシャル・グループ(本拠:カナダ)の日本法人、マニュライフ生命(東京都新宿区)は、健康で経済的にも不安のない生活を送るための方策を研究・提案する「長寿経済インスティテュート(研究所)」を、1月19日から日本でも展開したと発表した。日本は世界トップクラスの長寿国だが、老後の生活に不安を抱えている人は多く、独自の指標で課題を可視化し、解決のための行動につなげてもらおうという狙い。
▼最高の人生送る準備へ
-長寿経済インスティテュートの概要を教えて下さい。
研究や提言、コミュニティ投資を通じて、人々がより長く、より健やかに、お金の不安なく生きられるよう行動を促すグローバル・プラットフォームです。世界全体で2030年までに3億5千万カナダドル(約400億円)を投じ、日本にも専門知識をすべて持ち込んで課題の解決を支援するとともに、日本で得られた研究成果を世界的に共有します。
-どのような活動をするのですか。
長寿社会における生活の質(QOL)と経済面での備えに焦点を当て、世界共通の三つの柱を軸に、参加者自ら行動を起こすきっかけを提供します。その柱とは①長寿社会で人々がより豊かに生きるための理解を深めるための「研究と知見」②健康、ウェルネス、経済的準備を促進するための取り組みを通じた「イノベーションと提言」③知識の向上、公平性の促進、そして長寿に関する行動を推進する「コミュニティとのパートナーシップ」です。
-日本の研究者との共同研究と聞きました。
井上哲浩慶応大教授と共同で、行動心理学の視点からお金に関してどのように意思決定をするかについての研究を行います。長寿に関する研究や、最高の人生を送るための準備についての理解、そして何より重要な行動の起こし方について、提携できる他の機関も探していく予定です。
▼77%が老後資金に不安
-日本展開の背景は。
日本人は長生きで、概して健康的な生活を送っています。
-どのような準備ができていないから悲観的なのでしょうか。
調査では、日本人は金融資産の72%を現金や預金で保持しています。他のアジアの国・地域の50%より高い比率です。何十年もインフレがなかったので、現金のまま持っていることでお金は実質的に増え、これまでは「勝てる戦略」だったからです
最近、インフレが本格的にやってきました。しかし、デフレが長かったため、インフレの複利効果があまり理解されていないように思います。現在45歳の人が、持っているお金でおにぎりを10個買えるとしましょう。インフレが続くと、30年後には同じお金で3個しか買えなくなるかもしれません。「インフレ率3%」が何を意味するか理解しにくくても、3分の1しか買えなくなることに気づくとハッとするはずです。
-インフレは多くの人が実感していると思います。
私は日本に来て1年弱ですが、日常生活の中でインフレを目の当たりにしています。ある日、コンビニに行くと、前日まで240円だったコーヒーが260円になっていました。一晩で8%も上がったわけです。同様に、とんかつ屋では「ご飯のお代わり自由」だったのが、小、中、大から選ぶようになりました。もちろん、それがビジネスの現場でのインフレへの対処法なのですが…。インフレ傾向が続けば今買えるものが将来は買えなくなる、と気づくと「今日から行動を起こさなければ」という意識につながるはずです。
▼分散投資、まず専門家に相談を
-現金、預金に頼らず投資すべきだということでしょうか。
人々は投資をしたり、現金以外に分散させたりする経験や習慣を持っていませんでした。日本に限らず、インフレという変化が起きても、習慣を変えるのは難しい。私たちの活動を通じてやりたいことは、計画を持ち、現金から脱して他の種類の金融ソリューションへの投資を始めることがいかに重要か、という認識を高めることです。
-バブル経済の崩壊やリーマン・ショックを経験した世代では、投資のリスクを心配する人も少なくないようです。
1月19日に開いたシンポジウムで、基調講演者の1人は「最大のリスクは現金を持ち続けること、何もしないこと」と話しました。
行動する際には、ファイナンシャルプランナー(FP)などの専門家に相談してください。多くの日本人はプロの助言を求めに行っていません。病気になったり健康を管理したかったりすれば、医者に行きますよね。しかし、私たちの調査では、FPを活用している日本人は20%、アジアの他の地域では平均50%を超えていました。
-FPへの相談自体、まだハードルが高いのでは。
日本人はお金について話すことに少し抵抗を感じる、ある種のタブーのようなものがあるのかもしれません。私たちがやりたいのは、相談を「普通のこと」にすることです。お金や財務の準備について話し、助けを求めることは何も悪いことではないという雰囲気を作りたいのです。引退への準備を整えるために、プロの助言を求める必要があります。
FPに相談した人は、一般的に将来に自信を持っています。FPを活用している日本人のうち「十分な老後資金がある」と答えた人は42%でしたが、活用していない人では18%と差がありました。
▼8分野で課題を可視化
-投資では何を判断基準にすればいいのでしょう。
ヒントになるのが、マニュライフが米マサチューセッツ工科大エイジラボ(MIT AgeLab)と2025年に共同開発した長寿準備指数(LPI: Longevity Preparedness Index)です。高齢期にどれだけ充実した生活を送る準備ができているかを、社会的つながり、経済、日常活動、介護、住まい、地域社会、健康、ライフステージの移行の8つの分野で測定するものです。
米国で行った調査で気づいたのは、長寿への備えはお金や健康だけでなく、多くの重要な要素があるということです。例えば「家」。その家で心地よく齢を重ねるための準備ができているか、適切なケアプラン(介護計画)はあるか、日常生活における動作で誰かの助けが得られるようになっているか-などです。
-日本版を作るのですか。
同じものにするか、日本に合わせて修正するかは検討中ですが、どれほど準備ができているかを包括的に見る活動の参考にしたいと考えています。平均値を知ることで、人々が準備するのを助けるために私たちがどこにエネルギーを注ぐべきかという洞察が得られます。
最終的には、人々が自分で診断し個人的に活用できるものにしたいと考えています。
▼資産配分の見直しを
-いつから行動すればいいのでしょう。40代、50代では遅いですか。
決してそんなことはありません。早ければ早い方が良いのですが、今からでも遅くはありません。40代、50代の方なら、退職後の人生が30年、40年と続く可能性があります。若い頃に比べれば、より大きな犠牲を払ったり大きな投資をしたりする必要があるかもしれませんが「何もしないより、何かをする方が良い」ということは、いくら強調してもしきれません。
-社長ご自身は、どのような準備を。
好んでやっているのは、自分の資産を見て、現金、投資、不動産、投資信託などがどれくらいの配分になっているかを、一定の頻度で把握することです。ちょうど今は年初で税金の準備をしているので、これらの数字を見直している最中です。
私からのアドバイスは、自分の財務、資産、負債、借金を時々見直して「将来の準備のために正しいことをしているか?」と自問する習慣をつけるということです。現金のまま持ち続け、インフレがこのまま続けば、自分の購買力は下がってしまう。
▼快適な生活送る権利
-御社の強みは何だとお考えですか。
100年以上の歴史があり、数千万人ものお客様から得られた膨大なグローバルな保険数理データを持っています。それによって個々人の寿命、健康寿命、資産寿命をモデル化し、それらの相互作用を見ることができます。
また、投資信託や資産運用など多様な資産形成ビジネスがあり、グローバルには退職金ビジネスを展開しています。資産の生成と承継も専門としています。これは保険会社特有のものだと思います。リタイア期間中に最高の人生を送ることだけでなく、子や孫にどのような財産を残せるか、という点です。
100年以上にわたり得たデータと培ってきた専門知識に基づき、マニュライフは独自の地位を築いていると考えています。そして、日本や他の市場でこのデータを収集することで比較対照し、日本人の役に立つ洞察を導き出すことができるのです
-不安を抱える人へメッセージをお願いします。
長寿は不安ではなく希望の源であるべきです。対話や教育、理解、そして助けを求めることを通じて、将来に対して希望と自信を持てるようにしたいと考えています。人々が「退職後はどんな風になるだろう? どんな人生を送りたいか? 何をしたいか?」といったことにワクワクし、夢を現実にするために行動し始めるようにしたいのです。老後について日本では、不安や資金のギャップばかりが語られてきました。それを「楽しみにすべきこと」に変えたいのです。
私はこれまでに七つの国に住んできましたが、日本人は晩年になっても自分自身のため、配偶者やパートナーのため、家族のために、一生懸命働いています。その分、快適な退職生活を送り、やりたいことをする権利があると感じています。77%の人が不安を感じている現状をひっくり返すのを目標に、マニュライフは情熱を持って取り組んでいきます。
【略歴】
Ryan Charland(ライアン・シャーランド) 1980年、カナダ生まれ。トロント大卒(保険数理学学士)。カナダの大手金融グループであるマニュライフ・ファイナンシャル・コーポレーションでキャリアをスタートし、カナダ、米国、香港、フィリピン、インドネシアなどで勤務。2025年5月から現職。保険・年金数理の専門機関である米国アクチュアリー会(FSA)正会員。
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