2024年の日本の「時間当たり労働生産性」はOECD加盟38カ国中28位(日本生産性本部調べ)と低迷、人手不足も深刻で「生産性の向上」が依然として日本経済の大きな課題の一つとなっている。

 大企業対象に業務改善サービス事業を展開するゴウリカマーケティング(東京都渋谷区)の調べでは、生産性向上の“切り札”とされる人工知能(AI)導入や業務のデジタル化推進(DX)に取り組んでいる企業でもおよそ8割が「業務改善効果」を実感できていない、という。

同社は、ある程度の専門知識や経験が求められる「専門的定型業務」の効率化が、これからの日本企業の労働生産性向上の鍵を握ると分析している。

 この分析は、同社が2026年1月に従業員千人以上の大企業を対象に実施したアンケート調査に基づく。それによると、過去3年以内にAI活用、DXに取り組んだ企業のうち、「専門的定型業務」の負担が「減少した」との回答は21.5%にとどまり、「負担が増加した」(32.7%)と「負担は変わらない」(45.8%)を合わせたおよそ8割がAI、DXの効果を実感できていないことが分かったという。

 同社の説明によると、専門的定型業務とは「一定の知識や経験、専門性を必要とする一方で業務の進め方や手順がある程度“定型化”されている業務」のこと。例えば、販促用のカタログやボードの制作業務や人事の採用業務など。これらの業務は一定の専門性(カタログやボード制作の場合なら印刷に関する知識など)が求められるため、業務が属人化しやすく、担当者が本業である「コア業務」に割くべき時間が削られてしまう弊害があるという。

 東京都内で2月13日開いた記者会見で、今回のアンケート結果などを発表したゴウリカマーケティングの岡本賢祐社長は「企業の生産性を向上させるためには、現状では全業務時間の4分の1を占めているとされるこの専門的定型業務に関わる時間を減らし、その浮いた時間をコア業務に振り向けさせることが有効です。弊社では必要な専門家(デザイナー・プランナー・エンジニアなど)を顧客企業に常駐させ、必要な技術、協力企業(印刷会社やデザイン会社など)を提供する“仕組み”を提案して、企業の生産性向上に貢献しています。顧客が業務削減に成功した場合にその削減額の一部が弊社の利益になります。弊社もリスクを負って取り組んでいます」と話した。

 記者会見には、販促業務の効率化のためゴウリカマーケティングのサービスを利用している大手菓子メーカー・ブルボン(新潟県柏崎市)の常務取締役・井手規秀さんが同席。菓子製品の販促PRで必要となるボード制作業務の仕組みを変えた経験を語った。

井手さんは「分かりやすく説明すると、ゴウリカさんのサービスを利用したことで、ボード制作業務に関わっていた社員の送信メール数は50本から1本になりました。弊社はボードのデザインを決めるだけで、その後の業務はゴウリカさんに担ってもらう仕組みにしました。これまでより業務コストは4割ほど削減できました」と説明した。

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