韓国の李在明(イ・ジェミョン)大統領は1月28日にX(旧ツイッター)で「たばこのように、砂糖負担金で砂糖使用を抑制し、地域・公共医療強化に再投資」とし、「みなさんの意見はどうですか」と投稿した。

 さらに国民の80%が砂糖税導入に賛成しているという内容の記事を上げ、「砂糖負担金」構想が急浮上した。

 厳密に言うと、砂糖税と砂糖負担金は異なる。砂糖税は一般財源だが、砂糖負担金は特定目的に限定した財源となる。韓国では、たばこの価格には各種税とともに国民健康増進負担金が上乗せされている。

 この負担金は禁煙教育や広報、受動喫煙被害の予防や受動喫煙被害者支援などに使われている。李大統領の提案は、砂糖も、たばこのように、負担金を付加して、その価格上昇で使用を抑制し、その収入を公共医療の強化に使おうというもののようだ。

 韓国の疾病管理庁は2月9日、報告書「糖類摂取の現状」を発表、国民1人当たりの1日の糖類摂取量は2023年時点で59・8グラムで、16年の67・9グラムに比べれば減ったが、20年の58・7グラムよりは増加したとした。

 総エネルギー摂取量のうち糖類による摂取が20%を超える割合(糖類過剰摂取者の比率)は20年の15・2%から23年には16・9%に上昇し、6人に1人が糖分を取り過ぎているという。

 特に1~9歳の糖類過剰摂取率が26・7%と最も高い。乳製品や氷菓類を中心に糖類の摂取が目立つ。10~18歳が17・4%、19~29歳が17・0%と青少年・若者層で高かった。

 全体で見ると、糖類の主な摂取源は飲料・茶類で、次いで果物類、乳製品・氷菓類、パン・菓子類だった。

 李大統領の提案について、「加糖食品の摂取増加は肥満や糖尿病の増加原因になっており、その抑制効果がある」「個人の健康を守り、財源を公共医療に再投資できる」「若者の加糖飲料水の摂取制限になる」といった賛成論がある。

 一方で「最も被害を受けるのは低所得者層だ」「需要が減らず、結局は国民の負担が増え、政府の財源確保になるだけ」「自動販売機などで手に入りやすい炭酸飲料水の入手を制限する方が良い」といった反対意見もある。

 世界保健機関(WHO)は16年に肥満や糖尿病の対策として、砂糖を多く含む清涼飲料水への課税強化を各国に呼びかけた。

 世界各国でも砂糖に関連して課税や負担金を導入する国が増えている。

 検索サイトで調べると、ノルウェーでは健康や肥満対策ではなく、チョコレートや菓子を「贅沢(ぜいたく)品」として1922年に砂糖税が導入されたという。肥満や糖尿病の増加に苦しんでいたサモアでは84年に、加糖された清涼飲料水や炭酸飲料を対象に砂糖税を課すという世界でも先駆的な措置を取った。

 WHOの勧告もあり、現在では、英国やフランスなど120を超える国・地域で砂糖に関連する税や負担金を導入している。

 日本には縁がないと思っていたら、1901(明治34)年に贅沢品として砂糖消費税法が制定され、89年の消費税導入まで存続していたという。日本はノルウェーより20年以上も前に贅沢品として砂糖税を導入していた。日本でも復活はあるのだろうか。

 しかし、日本政府が防衛費の増加を補塡(ほてん)するために一般財源に使える砂糖税を復活させることだけは御免被りたい。

ひらい・ひさし 共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞、朝鮮問題報道でボーン・上田賞を受賞。

著書に「ソウル打令 反日と嫌韓の谷間で」(徳間文庫)、「北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ」(岩波現代文庫)など。

【KyodoWeekly(株式会社共同通信社発行)No.11からの転載】

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