監査法人のEY新日本(東京都千代田区)が将来有望なスタートアップ企業を選ぶ「EY Innovative Startup(イーワイ・イノベーティブ・スタートアップ)2026」の表彰式が3月19日、東京都内で開かれ、選ばれた受賞企業15社の革新的な取り組みをたたえた。

 同表彰制度は、日本経済を活性化させる“イノベーション(技術革新)”の促進を目的に、EY新日本が2017年から毎年実施。

今年で節目の10回目を迎えた。事業の成長性▽製品・サービスの革新性▽社会課題解決に貢献する社会性―の3点を評価基準に、EY新日本の担当者が毎年リストアップするおよそ300社の中から毎年10~15社程度を選出している。今回は「スタートアップへの投資を促進する分野」など計11分野から選んだ。今回を含め168社を選定し、うち13社が新規株式公開(IPO)を果たしている、という。

 午後6時半から始まった表彰式には受賞企業の代表のほか、投資案件に関心を持つ金融機関関係者、過去の受賞企業の関係者らが参加。冒頭あいさつした来賓の今枝宗一郎内閣府副大臣兼デジタル副大臣は「政府はスタートアップを支援する大きな方向性を打ち出している。経済成長できなかった日本の失われた30年を乗り越える可能性を持つ皆さんのイノベーションに期待したい」と述べた。

 EY新日本の松村洋季理事長は「スタートアップ支援はEYの価値観の根幹。IPO支援だけでなく、皆さんのようなスタートアップ企業が社会の中で活躍できる、羽ばたけるように取り組んでいる」と話した。乾杯の音頭を取ったEY新日本の矢部直哉常務理事は「今日受賞された企業の皆さまも数年後、あるいはもっと早く日本を代表する企業になっていただけると思う」と期待した。

 受賞企業15社はそれぞれの取り組みの概要を発表し、参加した金融機関関係者らにアピールした。

 ロケット事業を展開する受賞企業「将来宇宙輸送システム」(東京都中央区)の畑田康二郎社長は「繰り返し使えるタイプのロケットを開発して人や物を毎日のように宇宙に届ける世界を実現したい」と事業の到達点を語った。

 スタートアップ支援に向けたストックオプション(株式購入権)の流通事業に取り組む受賞企業「Nstock」(エヌストック、東京都中央区)の宮田昇始社長は「日本にストックオプションを売買できるセカンダリーマーケット(流通市場)の開業準備を進めている。未上場でもストックオプションを行使できるように日本でも法律が変わったが、この権利を換金する手段(市場)が日本にはまだない」と指摘。「セカンダリーマーケットがあるアメリカでは、スペースXやオープンAIなどの社員はストックオプションを換金できる。それがスタートアップを大きく成長させるシステムとして機能している」と述べ「日本でもセカンダリーマーケットをつくり、時価総額1兆円のスタートアップを誕生させることを夢見ている」と話した。

 沖縄科学技術大学院大発のスタートアップの受賞企業Qubitcore(キュービットコア、横浜市)の綿貫竜太代表取締役CEOは「我々が目指すのは、誤り耐性がある量子コンピュータの実現。これは究極の次世代コンピュータだ。実現すれば次の産業革命をけん引し“来たる量子時代”の経済・産業・安全保障を支える存在になる」と量子コンピュータ事業の重要性を強調した。

 受賞企業15社は次の通り(カッコ内は代表者)。

CULTA(代表取締役CEO・野秋収平)▽Alumnote(代表取締役CEO・中沢冬芽)▽Nstock(代表取締役社長・宮田昇始)▽ジェリクル(代表取締役CEO・増井公祐)▽JiMED(代表取締役・中村仁)▽PST(代表取締役CEO・大塚寛)▽Boston Medical Sciences(代表取締役CEO・岡本将輝)▽メデタ(代表取締役CEO・伊藤慎悟)▽LINEAイノベーション(代表取締役CEO・野尻悠太)▽シンクロア(代表取締役・綾部華織)▽Qubitcore(代表取締役CEO・綿貫竜太)▽ChillStack(代表取締役CEO・伊東道明)▽将来宇宙輸送システム(代表取締役社長CEO・畑田康二郎)▽JOYCLE(代表取締役CEO・小柳裕太郎)▽おてつたび(代表取締役CEO・永岡里菜)

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