京都旅行というと、最近は大勢の観光客でごった返しているイメージがありますが、実は穴場エリアがあるんです。それが、丹後。
レストラン列車「丹後くろまつ号」を取材してきたら、風景もお料理もまだまだ知らない京都の魅力を味わい尽くせる列車旅でもう大・満・足!
京都方面への旅行を計画している人はもちろん、観光列車に興味があるほんのり鉄子ちゃんにもぜひチェックしてほしいっっ。
【レストラン列車「丹後くろまつ号」とは】
取材させていただいたのは、WILLER TRAINSが運行する京都丹後鉄道のレストラン列車「丹後くろまつ号」。2025年10月から運行を開始する秋冬コースに試乗させていただきました。
乗車するのは、黒くてツヤツヤの「丹後くろまつ号」です。日本三景のひとつである天橋立の「白砂青松」、その風景を象徴する「松」がテーマなんですって。美しい! カッコいい! ロゴ素敵!
車内は天然木が贅沢に使われていてこれまた上品。ノスタルジックなのに洗練されていて、機能美とデザインが共存していて、なんというか……高級旅館みたいな佇まいです。語彙力、終わってます。
でねでね、これは私のような「そこまで詳しいわけじゃないけど好き」レベルの鉄オタでもピンと来ると思うんですが、「丹後くろまつ号」の内装どこかで見たことがありません?
そう、あの超豪華クルーズトレイン「ななつ星 in 九州」などのデザインを手がけている水戸岡鋭治さんが担当されているんです!!!! まさかの水戸岡さんが手がけた車両に乗車できるとは……嬉しいっ。
走行するのは穏やかな山あい、そして若狭湾の海岸線に沿うエリア。見どころでの停車はもちろん、車中で提供されるお料理も地元の食材をふんだんに使っているとのことでとても楽しみ!
【料理がバツグンにおいしい】
10月から運行されるコースは以下の3つ。今回は「モーニングコース」と「ランチコース」に試乗してきました。
・モーニングコース
~大江山鬼退治伝説の地を味わう~
福知山 → 天橋立
・ランチコース
~古代伝承「羽衣天女伝説」に想いを馳せる~
天橋立 → 西舞鶴
・海上自衛隊 舞鶴地方隊コラボコース
~海上自衛隊 艦内食をイメージしたコース~
天橋立 → 西舞鶴
・モーニングコース
プロデュースは、1970年創業・地元食材にこだわる「パティスリーカフェ・カタシマ」。1皿目の「大江山酒呑退治プレート」には「鬼のこん棒パイコルネ」や「鬼ババァと菊芋のポタージュ」など。鬼ババァて!となりますが、大江町の名物どぶろくの名前なんですって。
鬼のこん棒に見立てたパイコルネは、カリッカリサクサクでまず生地がめちゃくちゃおいしい! フィリングはひとつがスモークサーモン&ポテトとチーズのペースト、もうひとつがロースハム&玉ねぎのムースでしっかり「お食事」です。
2皿目「大江山デザートプレート」もこれまた絶品ぞろい。金太郎プレミアムロール、め~っちゃ可愛い! 老舗「山城屋茶舗」が焙煎する赤鬼ほうじ茶を練りこんだ一品で、お茶の香りがしっかりと感じられます。
大江山BonBonは文字通り「大江山」をかたどっているそう。和栗の渋皮煮、バニラクリームにマロンクリーム、チョコレートが渾然一体となっていて最高でした……!
大江山駅で途中下車して散策する時間があったり、「元伊勢内宮 皇大神社」一の鳥居が見える位置で停車してくれたりと、観光列車らしいサービスもしっかりと充実。
山間の景色と稲穂の揺れる田園地帯の風景に、今まで知っている「京都」とはまた違った良さを感じられました。
・ランチコース
天橋立にある「セントラーレ・ホテル京丹後」料理長がプロデュースする羽衣天女御膳。<羽衣天女>は「天女の里で作られた蒟蒻の旨煮」など5品、見た目にも綺麗で上品なお皿にうっとり……!
<向附>は「旬のお造里 三種盛り あしらい一式」、この日はカンパチ、サワラ、スズキ。ホテル特製の羽衣に見立てた泡醤油で!
その後も幽庵焼きに東寺蒸し、「琥珀和牛」のステーキと、地元食材を使った京都らしいお料理を次々にいただけます。
最後のデザートまでひとつひとつのお味が際立っていて「京都のおいしいものを絶対においしく食べていただく」という気概を勝手に感じてしまいました。
アテンダントさんの提供のタイミングやお料理の説明、気遣いも素晴らしくて感激しっぱなし。列車の中でこんなに素敵なサービスを受けて、こんなに上質なお料理をいただけるっていうのがシンプルに凄かったです。
乗車終盤には、土木遺産に認定されている由良川橋梁を渡る感動的な瞬間も……! いやこれ、乗車してるの最高だけど外から通過してるのを見るのも最高なはずなので私が2人欲しい!
【わざわざ乗りに行く価値がある】
「レストラン列車」発着のメインとなる「天橋立」駅から歩くと、ほどなくして「海の京都」を堪能できる絶景に遭遇~っ! 高台からは龍のように見えることで有名ですが、実際に海沿いの松林を歩くと自然が作り上げた奇跡の風景を体感できます。本当におすすめ!
また大江山に天橋立といえば、小倉百人一首に収録されている小式部内侍の和歌「大江山いく野の道の遠ければ まだふみもみず天の橋立」。この歌、めちゃくちゃカッコいいエピソードがあるので興味がある方はぜひ調べてみてください。
ほかにも「鬼退治」「天女の羽衣」など、どこかで1度は触れたことがある伝説がそこかしこに残っている丹後。ぜひ「丹後くろまつ号」に乗って、その魅力を体感してみてほしい!
京都丹後鉄道に乗るためには京都駅からさらに移動が必要ではありますが、素敵な車両とおいしい京料理と最高の風景を、心ゆくまで楽しめるはずです。各コースのメニュー詳細・予約などは、参考リンクより公式サイトにてご確認くださいね!
■レストラン列車「丹後くろまつ号」(予約制)
・モーニングコース
~大江山鬼退治伝説の地を味わう~
運行:金、土、日、祝日
時刻:福知山10:08発 → 天橋立11:48着
価格:大人お1人様 7000円
・ランチコース
~羽衣天女御膳~
運行:金、土、日、祝日
時刻:天橋立13:05発 → 西舞鶴14:50着
価格:大人お1人様 15000円
・海上自衛隊 舞鶴地方隊コラボコース
(特製クリアファイル&限定護守印付き)
~護衛艦 みょうこう ビーフカレー<丹後くろまつ号スペシャル>~
運行:金、土、日、祝日
時刻:天橋立16:05発 → 西舞鶴17:24着
価格:大人お1人様 4500円
※各コース、小児用料金の設定はありません
※気象条件、車両トラブル等により運行時刻が変更、短縮される場合があります
参考リンク:丹後くろまつ号
執筆・撮影:森本マリ
Photo:(c)Pouch
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