【最新公開シネマ批評】
映画ライター斎藤香が現在公開中の映画のなかから、オススメ作品をひとつ厳選して、本音レビューをします。

今回ピックアップするのは、timeleszの寺西拓人さんの初主演映画『天文館探偵物語』(2025年12月5日公開)です。
鹿児島県鹿児島市の中心歓楽街として有名な天文館で探偵として活躍する主人公を寺西さんがさわやかにかっこよく演じています!

では、物語から。

【物語】
天文館で探偵として働いている宇佐美蓮(寺西拓人さん)。しかし、探偵とは名ばかりで便利屋のような仕事が多いんです。

この日も「逃げた亀を探す」という依頼に懸命に取り組んでいましたが、相棒の山下健斗(肥後遼太郎さん)がスリを目撃。ふたりでスリを捕まえますが、犯人は夫のDVから逃れてきたシングルマザー橋口凪(大原優乃さん)でした。

この出会いがきっかけで、宇佐美と探偵仲間たちは大きな事件に巻き込まれていくのです。

【寺西拓人主演に大抜擢!】
男性アイドルグループ・timeleszのメンバーとして大活躍中の寺西拓人さん。人気スターが主演に抜擢されることは多いけれど、本作は寺西さんがtimeleszのメンバーになる前にキャスティングされていたんです。舞台で演技力を磨いてきた寺西さん。業界ではずっと前から注目されていたんですね。

そして本作の主人公・宇佐美蓮は寺西さんにピッタリでした。探偵という看板を掲げていますが、依頼されるのは商店街の困りごとばかり。
加えてスリだと思って捕まえたシングルマザーが子どもを抱えて困っていることを知ると、宇佐美はやさしいので助けちゃうんですよ。

また、宇佐美がバイトをしているバーは裏で託児施設も運営しているという設定で、映画前半で宇佐美と仲間たちが人情味あふれる探偵であることがわかります。

【やさしさと正義感にあふれている主人公】
宇佐美が助けた凪の夫ファミリーには権力者がいて、彼らは巨悪に立ち向かうことになるのです。宇佐美は凪と子どもにはやさしいのですが、背後に潜む悪に対しては怒りを燃やし戦うことを厭わない。

実は宇佐美には苦い過去があり、彼が探偵をやっているのは贖罪の気持ちもあるのです。

宇佐美蓮はただの正義感あふれる探偵ではなく、複雑な背景も見え隠れするキャラクターってところがよかったです。少し陰があり、そこが寺西さんのさりげない色気につながっていました。見事に映画初主演作を演じ切ったのではないでしょうか。

【年齢問わず楽しめるところが◎】
後半の悪事にメスを入れていく展開はいいのですが、正直ハラハラするというほどのスリルや意外性はありません。善悪がきっちり分かれているのでわかりやすく、幅広い年齢層が楽しめる作りになっているチャーミングな映画という感じ。

またtimeleszの原嘉孝さんや寺西さんと同じ事務所の俳優である高田翔さん、室龍太さんも出演しているので、アイドルファンは必見!

鹿児島市・天文館でロケをしているのでどこかほのぼのとした空気も感じられますし、気負わずに楽しめる作品ですよ。

執筆:斎藤 香(c)Pouch
Photo:Ⓒ2025「天文館探偵物語」製作委員会

『天文館探偵物語』
2025年12月5日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:諸江 亮
主演:寺西拓人
出演:大原優乃 肥後遼太郎/室 龍太 高田 翔 原 嘉孝(友情出演)/西岡德馬

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