ジャパン・ハウス ロンドンは5 月17 日(月)より、その革新的な布作りで世界的に注目されるテキスタイルデザイナー須藤玲子の展覧会『MAKING NUNO Japanese Textile Innovation from Sudō Reiko 須藤玲子:NUNO の布づくり』をスタートしました。日本のテキスタイルへの関心の高さもあり、ロックダウン緩和が実施されたばかりのロンドンで現地の人々の注目を集めています。
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アイデアの源泉から生産工程までを明らかにする展示
須藤玲子はテキスタイルブランドNUNO のディレクターとして、永年独自の布づくりに取り組んできました。
本展は2019 年に香港のアートセンターCHAT(Centre for Heritage, Arts and Textile)で、高橋瑞木(CHAT エグゼクティブディレクター兼チーフキュレーター)のキュレーションにより大きな成功を収めた展覧会をベースにしながら、須藤のクリエイションのサステナブルな側面に特に焦点をあてたものです。会場ではアートディレクションを担当したパノラマティクス(旧:ライゾマティクス・アーキテクチャー)の齋藤精一による音と光、映像を交えたインスタレ−ションで工場での生産工程を再現するほか、アイデアの源泉となる素材、スケッチ、プロトタイプなどを展示し、その革新的な布づくりの全貌に迫るものです。
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シルクの廃物利用「きびそ」プロジェクト
須藤のサステナブルな布作りに注目した本展のみどころのひとつが、鶴岡シルク株式会社(山形県)との「きびそ」をつかったプロジェクトの展示です。蚕が繭をつくるときに最初に吐き出す太くて硬い⽷である「きびそ」は、これまで織物には不向きとして捨てられていましたが、同社は須藤のアドバスによりその「きびそ」を細い⽷に加工する技術の開発に成功します。こうして無駄なく原材料を用いることで誕生した「きびそ」を用いたテキスタイルは、独特の張りと天然の保湿性、抗菌性を備え、環境負荷を抑えられるだけでなく、魅力あるあらたな素材としてその普及が進みました。
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日本の繊維産業の可能性を広げるサステナブルな取組み
一方、本展では伝統的な染織技術を最新の素材や製造技術と融合することで、独創的なテキスタイルを生み出す須藤の手法についても、持続可能性という観点から再定義を試みています。須藤による全国の工場や職人とのコラボレーションは、その多くが存続の危機に瀕している日本の染織産地の産業としての可能性を広げ、時代に即した技術の伝承を促すサステナブルな取組みであるといえます。会場ではその事例として箔押しやちりめんの技法を独自の解釈で布作りに用いる京丹後での取組みや、熱によって収縮する工業用素材を活用した《ジェリーフィッシュ》の製造工程などを紹介しています。
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海外で注目される日本の染織文化
着物によって発展した日本の高度な染織文化は世界に類をみないものです。また世界的に着物のコレクションが盛んになるなど、欧米を中心に日本の染織文化への関心が高まっています。
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鶴岡の「きびそ」の工場見学など、展覧会の一部コンテンツは日本からオンラインで参加・視聴が可能です。詳細は以下のインフォメーションの【Online】をご確認ください。
『MAKING NUNO Japanese Textile Innovation from Sudō Reiko
須藤玲子:NUNO の布づくり』
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期間:2021 年5 月17 日(月)− 7 月11 日(日)
会場:Japan House London
入場無料(予約制)
詳細:https://www.japanhouselondon.uk/whats-on/2021/exhibition-making-nuno-japanese-textile-innovation-from-sudo-reiko/
【Online】 3D ギャラリー
会場の様子を3D画像でご覧いただけます。
*ジャパン ハウス・ロンドンのウェブサイトにて近日公開予定
【Online】 オンラインイベント
『工場見学:サステナブルなテキスタイル「きびそ」』
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Kibiso - Textile Sustainability in Yamagata: Workshop Visit & Conversation
「きびそ」の糸をつくる製糸工場をオンラインで結び、その生産の現場をライブにてご紹介します。
参加無料(ZOOMのみ事前申込制)/ 一部英語のみ
出演:大和匡輔(鶴岡シルク株式会社 代表取締役)
清野 力 (松岡株式会社 代表取締役社長 )
須藤玲子 (NUNO デザインディレクター)
サイモン・ライト(ジャパン・ハウス ロンドン企画局長 )
参加無料(ZOOMのみ事前申込制)/ 一部英語のみ
*詳細・視聴申込は以下のウェブサイトをご覧ください。
https://www.japanhouselondon.uk/whats-on/2021/kibiso-textile-sustainability-in-yamagata-workshop-visit-and-conversation/
*同イベントは以下のライヴストリーミングでの視聴が可能です
(後日アーカイブ映像公開あり)
Facebook:https://www.facebook.com/japanhouseldn
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCoIFQMdO72fkaEue2WM-QGw
LinkedIn: https://www.linkedin.com/company/japan-house-london
【Online】終了イベント アーカイブ映像 以下のURLより各イベントのアーカイブをご覧いただけます。
『NUNOの布づくり:パネルディスカッション』
MAKING NUNO at Japan House London: Online Panel Discussion
須藤玲子のほか、本展のベースとなった香港CHATでの展覧会を手掛けた高橋瑞木、展覧会のアート・ディレクションを担当したパノラマティクスの齋藤精一、ジャパン・ハウス ロンドンの企画局長のサイモン・ライト。本展のキーパーソン4名が揃って展覧会について語ります。
https://www.youtube.com/watch?v=6wmgEMXK11g
『須藤玲子 テキスタイルイノベーション』
Textile Innovation from Sudō Reiko: Talk & Conversation
須藤玲子が自身のクリエイションについて豊富なヴィジュアルと共に語ります。
https://www.youtube.com/watch?v=Aw0e3WeHdpA
『オンライン工場見学:丹後ちりめん』
Tango Chirimen: Factory Visit & Conversation
京丹後でちりめんを製造する田勇機業をオンラインで訪問しその製造工程を見学します。
https://www.youtube.com/watch?v=MLWYHYU8hj4
須藤 玲子 / Reiko Sudō
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茨城県石岡市生まれ。武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科テキスタイル研究室助手を経て、株式会社 布 の設立に参加。現在取締役デザインディレクター。英国UCA芸術大学より名誉修士号授与。2019年より東京造形大学名誉教授。2008年より良品計画のファブリック企画開発、鶴岡織物工業協同組合、株式会社アズのデザインアドバイスを手がける。2016年無印良品アドバイザリーボードに就任。 毎日デザイン賞、ロスコー賞、JID部門賞等受賞。日本の伝統的な染織技術から現代の先端技術までを駆使し、新しいテキスタイルづくりをおこなう。作品は国内外で高い評価を得ており、ニューヨーク近代美術館、メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ビクトリア&アルバート博物館、東京国立近代美術館等に永久保存されている。代表作にマンダリンオリエンタル東京、東京アメリカンクラブ、大分県立美術館のアトリウムのテキスタイルデザインがある。2018年 国立新美術館にて大規模なテキスタイルインスタレーション「こいのぼりなう!」、2019年 香港のCHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) にてSudo Reiko: Making NUNO Textiles を開催。
齋藤精一 / Saitō Seiichi
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パノラマティクス主宰 1975年 神奈川県生まれ、東京理科大学理工学部建築学科卒。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からニューヨークで活動を開始。Omnicom Group傘下のArnell Groupにてクリエイティブ職に携わり、2003年の越後妻有アートトリエンナーレでのアーティスト選出を機に帰国。フリーランスのクリエイターとして活躍後、2006年株式会社ライゾマティクス(現:株式会社アブストラクトエンジン)設立、2016年よりRhizomatiks Architectureを主宰。2020年組織変更によりRhizomatiks ArchitectureはPanoramatiksと改め、俯瞰的な視点でこれまで繋がらなかった領域を横断し組織や人を繋ぎ、仕組みづくりから考えつくるチームを立ち上げる。
現在では、行政や企業などの企画や実装アドバイザーも数多く行う。2018-2021年グッドデザイン賞審査委員副委員長。2020年ドバイ万博 日本館クリエイティブ・アドバイザー。2025年大阪・関西万博People’s Living Labクリエイター。
ジャパン・ハウス ロンドンについて
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ジャパン・ハウスは日本の多様な魅力や政策・取組を発信することにより、日本への理解と共感の裾野を広げることを目的に、外務省により世界の 3 都市(サンパウロ・ロサンゼルス・ロンドン)に設置された拠点。ジャパン・ハウス ロンドンは日本文化への関心が高まる欧州の拠点として、ロンドン市内の文化的・商業的建造物が多く所在するエリアの目抜き通りケンジントン・ハイストリートに 2018 年 6 月に開館した。
CHATについて
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CHAT (Centre for Heritage, Arts and Textile) は、戦後から2008年まで操業されていた紡績工場、南豐紗廠(南豐テキスタイル)の近代産業遺産保存プロジェクトの一貫として創立された非営利のアートセンター。元紡績工場という建物の歴史を尊重し、忘れ去られつつある香港のテキスタイル産業の歴史を伝えながら、テキスタイルの素材、アジアにおけるテキスタイル産業の歴史、現在のテキスタイル産業の問題点を主題にした現代アーティストやデザイナーや、テキスタイルを実験的に用いるアーティストの展覧会を発表しているほか、来場者が体験できる布や糸を使ったワークショップ、アーティスト・イン・レジデンスプログラム、国際シンポジウムなども開催している。20
19年に本展のベースとなる展覧会 『Sudo Reiko: Making NUNO Textiles』を開催した。エグゼクティブ・ディレクター兼チーフ・キュレーターは元水戸芸術館主任学芸員の高橋瑞木。HP(mill6chat.org)
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