デジタイザなどの計測機器メーカであるスペクトラム・インスツルメンテーション社(本社ドイツ・グロースハンスドルフ/以下、スペクトラム社)は、RPTU Kaiserslautern工科大学が同社の新しいDirect Digital Synthesis(DDS)ファームウェアオプションの使用により量子コンピュータ開発を加速させたことを発表しました。
量子コンピュータを作る方法は数多くありますが、Rymax Oneの共同研究において、RPTU Kaiserslautern工科大学は、量子ビットとして機能する単一原子の配列を作るというアプローチを採用しています。
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物理学博士Jonas Witzenrath氏、ドイツ、Kaiserslauntern工科大学の量子実験設備の前にて
物理学博士であるJonas Witzenrath氏は次のように述べています。「これは私たちの研究の進展に大きな効果をもたらしています。新しいDDSオプションを使用することにより、制御方法は急速に進歩してシステムの複雑さを軽減できたので、研究を前進させることに集中できるようになりました。次のステップは、DDSファームウェアの動的な機能を用いて静的な2次元配列で原子を並び替えることです」
さらに次の段階では、量子ビット間の相互作用を正確に制御するために、AWGを使用して理想的なUVレーザパルスを作る予定です。
「DDSは私たちのプロジェクトに欠かせないツールになっています。またDDSは非常に柔軟で、研究室の他のことにも使用できることが判明したため、専用の機器を購入する必要がなくなりました。たとえば、パルスレーザやチャープ信号の生成などにも用いることができます。私たちは、スペクトラム社と密接に協力してこのDDS機能を開発し、現在、他の研究室にも役立つように、研究用途の拡大に取り組んでいます」
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音響光学偏向器(赤い矢印)が1本のレーザビームを、原子を捕捉して保持する多数の制御可能な単一の信号に分割します。
同氏は、スペクトラム社のAWGカードを選んだ理由として、優れたアナログ性能と大容量メモリ、及びカードへの高速転送能力をあわせ持つことにより、同カードが量子研究の最適なソリューションになりつつあることを付け加えました。
ある実験例では、スペクトラム社のAWGカードM4i.6631-x8を使用して、原子をトラップする光ピンセットを発生させるAOD(音響光学偏向器)を駆動しています。このAODは、周波数が約82MHzのRF信号で駆動されています。現在の設定では、1MHzの変化で原子を伴ったピンセットが100μs以内に8μm移動し、S字型の周波数ランプを使用して加熱を最小限に抑えています。この間、信号の振幅は、光の強度の変化を補正するために線形に変化します。
DDSファームウェアオプション
DDSは、単一の固定周波数の基準クロックから任意周期の正弦波を生成させる方法です。この手法は、さまざまな信号生成用途に広く用いられています。
DDSモードでは、AWGはマルチトーンのDDS信号の発生器として機能します。このユニットに内蔵された4GByteのメモリと高速DMA転送モードにより、毎秒1,000万コマンドという高速のDDSコマンド発信が可能になります。この独自の機能により、シンプルで使いやすいDDSコマンドで、ユーザー定義のスロープ(S字型など)やさまざまな変調方式(FMやAMなど)を柔軟に実行できます。
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世界中の量子研究者に広く使用されている、1.25GS/sのサンプリングレート、16bitの分解能、2チャネルを備えたM4i.6631-x8任意波形発生器
Rymax Oneの量子コンピュータ設計
個々のYtterbium原子は、光ピンセットを使用して真空中にリュードベリ状態で浮遊しています。Rymaxの共同研究では、特に最大独立集合問題、及びそのソリューションとなる量子近似最適化アルゴリズム(QAOA)や量子アニーリングといったアルゴリズムなどの量子最適化問題に焦点を当てています。これにより、「アナログ」量子コンピューティングに最適化されたハードウェアを作ることが可能になります。設計の1つの重要な側面は(UV)レーザ光の動的な制御であり、そのためには異なるRF信号の完全な制御が必要です。そこでスペクトラム社が長年培ってきた専門技術が真価を発揮します。
スペクトラム・インスツルメンテーション社(Spectrum Instrumentation)について
1989年に創業したスペクトラム社(CEO 兼 創業者Gisela Hassler)は、モジュラー設計を利用することでデジタイザ製品および波形発生器製品をPCカード(PCIeおよびPXIe)やスタンドアローンのEthernetユニット(LXI)として幅広く生み出しています。
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