※1 プラズマサイトイド樹状細胞
■研究成果(概要)
ヒト由来のpDCを通常温度(37℃)、もしくは高温(38.5℃)で培養し、H1N1※2のみを添加する、もしくは、乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)とH1N1の両方を添加した細胞の48時間後のIFN-α※3産生量を測定しました。高温条件下において、pDCの働きが低下し、乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)の添加によって活性低下が抑制される傾向が確認されました。
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■得られた示唆
本結果は、乳酸菌L.ラクティス プラズマ(プラズマ乳酸菌)が高温条件下で低下するpDCの活性を維持する有効な手段のひとつとなることを示唆しています。
※2 不活化インフルエンザウイルス
※3 インターフェロンαという抗ウイルス性物質
■医学博士 西崎 泰弘氏からの解説
2025年6月1日、日本では労働安全衛生法が一部改正され、職場における熱中症対策が罰則規定付きで義務化されました。熱中症は、脱水と深部体温上昇がもたらす死に直結する病態で、昨年の5-9月は、過去最高の9万7578人が救急担送され、うち120人が死亡、2178人が3週間以上の入院を要しました。今年も昨年並みの猛暑が予測されていますのでしっかりした予防が必要です。
本研究では先ず、免疫の司令塔であるプラズマサイトイド樹状細胞(pDC)をヒトの体内温度(深部体温)と同じ37℃と38.5℃で培養しました。そして次に、その培養槽にインフルエンザAのH1N1の抗原を添加しました。H1N1抗原とはインフルエンザAウイルスの1つの構造であり、1918年のスペインかぜ、1977年のソ連かぜ、あるいは2009年に世界的流行した新型インフルエンザが持っていた構造です。抗原のみでは増殖力と持たないため感染は成立しませんが、感染時と同様の免疫刺激作用は発揮されます。
熱中症による死因は「多臓器不全」であることが多いのですが、熱中症予防には脱水回避とともに免疫のケアが重要であることが医学的に知られています。
熱中症モデルによる解析によって、エンドトキシンと呼ばれる腸管内の毒素が、高体温や脱水からくる免疫の異常すなわち不活発化によって拡散され、「エンドトキセミア」と呼ばれる状態となって重症化に至ることが判っているのです。
気温が高い時、ヒトは汗をかいて表面温度を下げ、結果的に深部体温を下げます。しかしエンドトキセミアによって惹起される「サイトカインストーム」は、身体の中から発熱するため直接的に深部体温を上げてしまうのです。最終的にエンドトキセミアは、全身性の炎症反応を引き起こし、多臓器不全に至ってしまう訳です。
日頃からの免疫のケアと飲水が熱中症を予防します。皆さんもぜひ取り組んで下さい。
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医学博士:西崎 泰弘
1986年東海大学医学部卒業。慶應義塾大学医学部大学院、UCLAリサーチフェローを経て、現在、東海大学医学部総合診療学系健康管理学領域 主任教授、東海大学大学院医学研究科ライフケアセンター長、日本総合健診医学会理事長、国際健診学会理事長、健康長寿研究教育センター理事長を務める。
キリングループは、長期経営構想「キリングループ・ビジョン2027」を策定し、「食から医にわたる領域で価値を創造し、世界のCSV※4 先進企業となる」ことを目指しています。その実現に向けて、人々の健康に貢献していく「ヘルスサイエンス事業」の育成を進めています。その一つとして、キリングループの35年の研究から生まれた「プラズマ乳酸菌」を使用した商品をグループ横断で展開し、「免疫ケア」をしながら生活する一人ひとりの健康を支援し、明るく健康で生き生きと過ごせる社会の実現を目指します。
※4 Creating Shared Valueの略。お客様や社会と共有できる価値の創造企業プレスリリース詳細へ : https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000001287.000073077.htmlPR TIMESトップへ : https://prtimes.jp