20世紀最大の巨匠と称される振付家モーリス・ベジャール(1927~2007)。そんなベジャールは大の日本びいきで、和を題材にした作品をいくつか発表し、今日まで上演され続けている。
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『M』は三島由紀夫という人物や特定の作品をバレエ化するというものではなく、1人の芸術家としての三島を、彼の代表作である「潮騒」「金閣寺」「鏡子の家」「鹿鳴館」「午後の曳航」などの名作のエッセンスと絡め、何よりも言葉が命である作家を、言葉を用いないバレエで視覚化させたという大胆な作品だ。
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「鹿鳴館」の場面より photo Kiyonori Hasegawa
舞台は静かな潮騒の音にのせ、老婆(三島の祖母である夏子)に手をひかれて子役扮する少年三島が登場する場面で幕をあける。女性ダンサーたちによる波を表現する美しい群舞が舞台いっぱいに広がり、観客は一気に三島ワールドへと誘われる。その後は世界五大バレエ団とも称される実力派揃いの東京バレエ団のダンサーたちによる力強い踊りが次々とつむがれ、圧巻のフィナーレまで約100分間、息をつくひまもないほど濃厚かつ美しい場面がまるで絵巻物のように展開されていく。
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幕開けの場面。子役扮する少年三島が老婆に扮したダンサーに手をひかれ舞台に登場する photo Kiyonori Hasegawa
作品のタイトルでもある『M』はMishimaの頭文字であるとともに、海(Mer)、変容(Metamorphose)、死(Mort)、神秘(Mystere)、神話(Mythologie)といった三島の人生の表象でもある。ベジャールは自作の1つをいずれも45歳で夭折したQUEENのフレディ・マーキュリーとベジャールの愛弟子ジョルジュ・ドンに捧げられているが、『M』はベジャールよりも2歳年上で、同じく45歳で自裁した三島に献じられている。三島文学のファンも必見だ。
本作は日本国内のみならず、海外でもパリ・オペラ座やミラノ・スカラ座、ベルリン・ドイツ・オペラなどヨーロッパの名立たる劇場で上演され喝采を浴びてきた。このような独創的な作品が創れるのは、ベジャールをおいて他にいない。三島由紀夫生誕100年は昭和100年でもある。
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1993年パリ・オペラ座公演より photo: Jacqus Moatt
『M』の初演を観た文芸評論家の故奥野健男は、「ぼくはホール全体に三島由紀夫の魂がいきいきと蘇るのを、この目で、この耳で確かめた」と評した。生誕100年を機に5年ぶりに再演する今回の『M』によって、現代の観客にも三島の魂にふれてもらいたい。昭和の熱気を感じてほしい。三島はベジャールの『M』に乗って還ってくる。
先日は都内にある東京バレエ団のスタジオでマスコミ向けにリハーサルが公開され、上野水香、柄本弾、宮川新大、池本祥真、沖香菜子ら、バレエ団の主力メンバーが総出演する圧巻の踊りの数々に稽古場は外の暑さをも凌駕するほどの熱気にあふれていた。
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男性ダンサーの充実度では他団の追随を許さない東京バレエ団。手前より柄本弾、宮川新大、生方隆之介 photo Shoko Matsuhashi
公開リハーサルでは、男性ダンサーたちの力強い踊りが特徴の“武士道”の場面が披露され、メインとなる男性4名(イチ=柄本弾、ニ=宮川新大、サン=生方隆之介、シ=池本祥真)が登場。彼らは三島の分身であり、全編をとおしてハードな振付を踊りついでいく。4名でひとつ、まさに全員が高いレベルで拮抗していないと表現ができないハイレベルな踊りは圧巻の一言につきる。
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三島の聖(性)と愛の象徴でもある聖セバスチャン役は樋口祐輝(写真中央)と大塚卓のダブルキャストが組まれている。 photo Shoko Matsuhashi
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2020年に続いてIVーシ(死)役を演じる池本祥真。
『M』の特徴のひとつが音楽。黛敏郎によって生み出された20をこえるオリジナルの楽曲に加え、ドビュッシーの名曲からわらべ歌、シャンソン、ワーグナーの音楽のピアノ演奏まで多彩な音楽がちりばめられ、ここまで要素の異なる音楽を1つにまとめあげたベジャールの手腕は驚くばかりだ。21世紀の現代でも褪せることはなく、ますます輝いているようにすら感じる。また、今回の公演では名ピアニストの菊池洋子がその腕前を披露することも注目される。菊池は近年世界バレエフェスティバルをはじめとする大舞台で著名なダンサーたちと共演を重ねており、持ち前のスケールの大きさと繊細さを両立させた演奏でバレエ公演を盛り上げてきた。今回はさらに円熟味を増した音色が聴けることだろう。
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海上の月を演じる金子仁美(写真左)を指導する佐野志織(東京バレエ団芸術監督)。佐野は1993年の初演の舞台にも出演し、再演時に女性のメインロールである海上の月を演じている。 photo Shoko Matsuhashi
リハーサルでは女性たちの踊りも公開され、佐野志織(東京バレエ団芸術監督)の陣頭指揮のもと、木村和夫(東京バレエ団バレエスタッフ)ら指導陣が目線や指先などの細部までこだわり作品に磨きをかけている様子が印象的だった。
三島由紀夫生誕100年という節目の年に相応しい大舞台がまもなく幕をあける。三島が死してなお歴史に名を残したとすれば、この『M』もこの先三島の名前とともに長く踊り継がれていくのだろう。
三島由紀夫生誕100年記念
東京バレエ団『M』
振付・演出・衣裳コンセプト:モーリス・ベジャール
音楽:黛 敏郎、C.ドビュッシー、J.シュトラウス二世、E.サティ、R.ワーグナー
【公演日程】
2025年
9/20(土)14:00
9/21(日)14:00
9/23(火祝)13:00
上演時間:約1時間40分(休憩なし)
会場:東京文化会館(上野)
ピアノ:菊池 洋子
【チケット料金】
S:¥15,000 A:¥12,000 B:¥9,000 C:¥7,000 D:¥5,000
ミシマU39シート:¥4,000
U25シート:¥2,000
※ミシマU39シートは39歳以下、U25シートは25歳以下限定のチケット。座席指定不可
【公式サイト】
Japanese https://www.nbs.or.jp/stages/2025/m/
English https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/index.html
簡体字 https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/cn.html
繁体字 https://www.nbs.or.jp/lp/m/2025/tw.html
【プロモーション映像】
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