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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000009.000065444.html
高橋誠一郎
食品営業マネージャー。1987年、ボッシュ パッケージング テクノロジー(シンテゴンテクノロジー旧社名)に入社。製袋充填包装機、無菌液体充填機等を中心に営業一筋。
シンテゴンテクノロジー株式会社
2020年1月、株主がボッシュグループからCVCキャピタルパートナーズとなり、社名をシンテゴンテクノロジーに変更。世界に30拠点、社員数は6,000名。食品と医薬品の 包装事業をグローバルに展開する。包装機械単独の企業としては世界最大手。
「日本の包装は、ガラパゴス化するかもしれない」
ドイツ本社のサステナブル包装チームとの会議を繰り返すたびに、高橋は危機感を持つようになった。ヨーロッパの包装は、プラスチックも紙も、リサイクルが基本だ。サステナブルな包装=リサイクルを意味する。
しかし、すべてのプラスチック包装がリサイクルされているわけでない。ドイツでさえも、まだ50%弱だが、100%リサイクルに向けて、EUが中心になり、法律、税制など様々な手法を駆使して、リサイクルを推し進めている。その姿勢は一貫して、ブレが ない。
今年、日本では「プラスチック資源循環促進法(以下、プラ新法)」が成立した。プラスチックのリサイクルに向けて一歩前進したとはいえ、ヨーロッパに比べて周回遅れの様相は否めない。
今、日本の包装は、プラスチックを減らすこと「リデュース」に軸足を置いている。
(高橋)
「プラスチックは、環境に良くないという風潮がありますが、私は、プラスチックは素晴らしい包装資材だと思っています。
プラスチックの原料は石油で、石油は無限ではない、枯渇させない、というのがプラスチックをめぐる問題の当初の目的でした。
石油を枯渇させないという点では、リサイクルもリデュースも共通です。どちらがベストかは私にはわかりませんが、確実にリサイクルの流れはグローバル化しています。
実は、私は、今回のプラ新法※には期待をしていたのですが、肩透かしされたという印象です。消費者、地方自治体、民間企業頼りで、残念ながら、国の強い意志を感じませんでした。日本では、プラスチックのリサイクルは、まだ遠いのかなぁと考えています」
※プラ新法
「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」を指す。2021年6月に成立した。
参照:環境省 プラスチック資源循環法関連
https://www.env.go.jp/recycle/plastic/circulation.html
古くて新しい「紙包装」
高橋は、プラスチックに代わる包装資材として、古くて新しい「紙」に注目している。 また、紙包装は、高橋の仕事の原点とも重なる。(高橋)
「1970年の大阪万国博覧会くらいまでは、包装といえば紙で、魚は新聞紙、肉は経木で畳まれ白い紙で丁寧に包まれていました。
1960年代後半、プラスチックは、夢の包装資材として普及しました。
輸送は容易で、賞味期限は延び、食品の工業化に貢献し、スーパーマーケットが躍進する動因となりました。
こうした中でも、最後まで生き延びていた紙包装は、小麦粉でした。
1960年代半ばから上市され、1990年代まで小麦粉の紙包装は、普通に店頭に並んでいました。
実は、あの包装機はシンテゴン製で、私が若い頃に担当をしていたんです。
日本では見かけなくなりましたが、今でもヨーロッパでは、小麦粉、砂糖、ショートパスタは紙包装が基本なんです。
私の仕事の原点は「紙包装」から始まっていると言えるかもしれませんね」
シンテゴンの包装機械も、紙包装が原点であった。
シンテゴンテクノロジーは、ドイツの自動車部品大手のボッシュの事業部として、1969年に発足した。
ドイツに点在していた包装機械メーカー数社が統合する形で設立したことから、最も古い会社であるヘッサー (Hesser) は、1861年に設立し、約160年の歴史がある。
当時の包装といえば、紙しかなかった。
日本の包装の工業化はプラスチックから始まったと言えるが、ヨーロッパは紙から始まったということができる。
(高橋)
「シンテゴンの前身にあたるヘッサーという会社は、両刃剃刀を油紙でラッピングする包装機械を開発しました。当時は画期的な発明でした。日本で導入された小麦粉の包装機もオリジナルはヘッサーです。
日本の包装機械メーカーは、プラスチックからスタートしていますが、シンテゴンの包装機は、紙からスタートしました。紙を扱うノウハウをシンテゴンは今も持っています」
なぜ「紙包装」なのか?
高橋は、日本でのプラスチックのリサイクルの難しさと、紙のリサイクルの可能性について指摘する。(高橋)
「ヨーロッパでは、プラスチックの包材には、識別番号がついています。
PETだけではなく、PP (ポリプロピレン)、PE (ポリエチレン)といった素材が、一目で わかるようになっています。可能な限り単一な素材にして、素材に応じて回収とリサイクルができるフローが完成しています。
一方、日本では「プラマーク」だけですので、消費者による素材ごとの分別は不可能です。また、PP+PEといった複合材がほとんどです。
日本では、包装資材の製造という入り口から、回収・再生という出口まで、一貫性が なく、現在の方法では、プラスチック包材のリサイクルは不可能に近いと言えます。
日本でも、PETボトルについては、1番 PETの表記があります。
実は、日本は、PETについては世界一の回収率で、再生も世界一です。
もともと日本はリサイクル大国です。日本人は仕組みさえ整えばできるはずです。
PETのリサイクルに似ているのが、紙だと考えています。
紙のリサイクルは、世界一位がドイツ、二位が日本です。
飲料紙パックのリサイクル、古紙回収など紙を回収し、再生する優秀なインフラを日本は有しています」
ヨーロッパの紙包装と日本の紙包装は違う
「紙マーク」が付いた包装を最近見かけるようになってきた。循環している矢印が紙と いう漢字を囲んでいるので、リサイクルができると考えている人も多い。しかし、「紙マーク」の要件は重量比で50%超の紙を使っていることで、49%はプラスチックでも構わない。こうした複合包装資材は、紙のリサイクルにも、プラスチックの リサイクルにも使えず、燃やすだけになる。しかし、プラスチックの削減には大きく貢献する。
一方、ヨーロッパの紙包装には「Recyclable (リサイクルできる)」という表記がされている。紙包装=リサイクルを意味し、リサイクルするために重量比で約80%以上の紙が要求されている。
ヨーロッパと日本の立ち位置が、紙の成分構成についても「リデュース」と「リサイクル」という面で対峙していることがわかる。
(高橋)
「80%以上が紙となると、高度な包装技術が必要となります。
紙には、もう一つの大きな課題がある。
コストアップである。
プラスチックに比べて、資材コストは約2倍になるとも言われている。
しかし、ヨーロッパではネスレ、マース等の大手を中心にリサイクルできる紙包装に力を入れている。
(高橋)
「ヨーロッパに拠点を置くメーカーは、紙を採用する際に、色々と工夫をしています。
例えば、同じ製品であっても、プラスチック包装と紙包装では、製品の中身を変えたり
しています。アーモンドの量を減らして、ピーナッツを増やすとか。根性を出すのではなく、知恵を出して多角的に調整をして、コストを吸収しています。
また、無理には紙包装には切り替えてはいません。
直接製品を包装する紙の場合は、バリア要求の低い、チョコレートに絞っていたり、バリア性を要求しない集積包装に紙を使ったりしています。
集積包装は紙で、充填する個包装はリサイクル可能なプラスチックにするなど、適材適所で、紙とプラスチックを上手に使い分けています」
クロス・ネットワーキング・イベントという新しいチャレンジ
“シンテゴンは2025年までに全ての食品包装機械をサステナブルな素材に対応する”という大きな目標を掲げた。サステナブルな素材とは、いうまでもなく「リサイクルできる包装資材」を意味する。しかしこのターゲットを達成するためには包装に関わる各プレイヤーの連携がなくては実現しないと考える。
ヨーロッパでは食品・菓子メーカー、包装資材メーカー、コンバーター(印刷、包装資材の加工、製袋などを行う)、包装機械メーカーなどとのフラットな連携が形成され始めている。
(高橋)
「サステナブルというテーマで、様々な方にお会いする過程で、包装機械メーカーの重要性を再認識することになりました。
日本には、世界に誇れる優秀な素材メーカー、コンバーターがありますが、「この資材は包装ができるか?」という問い合わせを多く受けるようになり、包装がボトルネックになっていることに気づきました。
また、業態の垣根を飛び越えて、情報交換が取りにくい環境であることも感じました」
高橋は、サステナブルな包装を実現するためには、包装に関係する様々なプレイヤーが 横断的に情報を交換ができる「場」が必要だと気づいた。
(高橋)
「ドイツ本社が作ったプレゼン資料に「サステナビリティは一人で吹く口笛ではありません。それはオーケストラが奏でる交響曲です。その実現には、包装分野における付加価値連鎖全体を通じた献身的なチームワークが必要です」というドイツ人らしい抒情詩のようなメッセージがありました。言い得て妙。
さて、異業種のチームワークを作るため「場」には、「テーブル」が必要…。テーブルは、包装機だ、と直観しました。上司に提案をしたところ面白いということで、思いのほかスムーズにこの企画は通りました。
イベントの名前も様々なプレイヤーが出会う場所を提供するという意味で ”CrossNetworking Event (クロス・ネットワーキング・イベント)としました」
デモ包装機は、シンテゴンのオランダ製の縦型包装機で最上位機種を埼玉県滑川町の自社工場に用意した。
紙は4種類、プラスチック(複合材を含む)ではパーツを変えるだけで7種類の袋形態を 一つの機械で実現できるモデルだ。
また、縦型包装機では難しいジッパーの装着も可能である。
今回のイベントでは、同一サイズのリサイクル可能な単一素材プラスチックと紙の包装を短時間で包材替えできる様子を見分してもらい、また、包装の品質も手に取って確認してもらう。
10人以内の小集団でのイベントで、2022年 1年間を通して随時開催を計画している。
来場される方々の興味に応じて、関係する異業種の方にも参加してもらいマッチングの場としても活用する。
シンテゴンの日本法人は1982年に設立され、2022年は40周年でもある。このイベントを40周年の目玉としても位置付けている。
サステナブルという、新しい価値を再認識
シンテゴンの包装機は、国内ではコーヒーロースターのお客様で多く採用されている。 包装形態の柔軟性と、高い包装能力・品質に加え、煎りたてのコーヒーから出るガスを 抜くバルブの品質が高く評価されているためだ。(高橋)
「私は、コーヒーロースターのお客様にシンゴンの包装機の価値がわかっていただければそれで良いかな、国内の包装機メーカーとガチンコで競合する必要は無いだろう、と考えていました。
一方、シンテゴンがヨーロッパの様々なお客様のサステナブル包装を次々と実現する様子を見て、シンテゴンの機械には「サステナブル=リサイクル対応」という、もう一つの 高い価値があることを気付き、「日本のお客様にも伝えたい」という気持ちが日に日に 強くなってきました。
日本ではリサイクルのインフラは整っていませんが、消費者やお客様の意識は確実に数年前とは変わってきています。
まずはこうした考えに賛同していただける方々との出会いが重要だと考えています。このクロス・ネットワーキング・イベントをそうした出会いの場にしたいと考えています。
私の夢ですか?
「リサイクル」という表記が無くても、店頭に並ぶ全ての包装がリサイクルできる未来が、私の夢でしょうか。微力ながら、そのお役に立てればと考えています」