2025年「eGift Systemサービス」メディア向け説明会の様子
左から)ギフティ太田代表取締役、株式会社矢野経済研究所 コンシューマーマーケティングユニット 主席研究員 清水部長、ギフティ田渕副本部長
株式会社ギフティは、「キモチの循環を促進することで、よりよい関係でつながった社会をつくる」をミッションに、eギフトを軸として、人、企業、街の間に、さまざまな縁を育むサービスを提供しています。そこで大切になるのは、「あの人に贈りたい」と思ったときに贈りたいギフトが揃っていることです。
こちらの記事では、ホテル領域の開拓を中心に、“Giftify Everything,Circulate The Love.”の実現に取り組む理由や背景、サービスに込められた思いなどをご紹介します。
「eギフトでキモチを伝えたい」ギフティの創業理念を具現化する「eGift System」サービス
株式会社ギフティは、代表の太田睦さんが「友人の誕生日にメッセージとともに、店舗で引き換えられるコーヒー1杯やドーナツ1つといった気軽なギフトを、電子ギフトとしてSNS上で贈りたい」というアイデアを実現しようと、2010年8月に創業されました。11年3月にはカジュアルギフトサービス「giftee®︎」の提供を開始し、14年1月にはブランド向けにeギフトやチケットを発行し販売する「eGift System」サービスの提供を開始しました。
ギフティ第二事業本部Gift Creation副本部長、田渕恵理さんは、2014年に「giftee®︎」で、コンビニで使えるeギフトを母親に贈ったことがあるそうです。転職活動をしているときに、そのことをふと思い出してギフティに応募し、2017年に入社しました。当時は「eGift System」をブランドに導入いただき、生成したeギフトを法人に紹介するという生成と流通の両方を3名程度の小さな営業チームで回していました。
その後eギフトの認知は広まり、コロナ禍を機に市場も拡大しています。ギフトの発券から流通まで一気通貫で提供するギフティの「eギフトプラットフォーム」事業のうち、田渕さんは特にeギフトを生成する役割を担う「eGift System」サービスの拡大に力を尽くしてきました。田渕さんは「約9年間、多くのブランドと向き合い、eギフトを一緒に作っていただけるブランドを開拓しています。ブランドと一緒にeギフトを生成し、他の事業部と連携しながら、個人や法人向け、自治体向けに提供しています」と話します。
また、新型コロナウイルスの感染拡大や、サステナビリティ経営への注目の高まりなどをきっかけに、「eGift System」を導入いただくブランドのペーパーレス化やDX促進も支援しています。紙のチケットを電子化することによって、業務の改善と顧客の拡大を実現し、ブランドが抱えている課題解決を支援しようという狙いです。
贈りたいものが必ず見つかる。eギフトに込めた気持ちは必ず伝わる
ギフティ 第二事業本部Gift Creation副本部長 田渕 恵理さん
名古屋大学法学部卒業。株式会社エイチームや株式会社リクルートジョブズなどで一貫して法務としてキャリアを重ねる。「Send a small thank you」というコンセプトに魅力を感じ、2017年2月にギフティに入社。現在は第二事業本部の副本部長として、Gift Creation事業全体を統括。
田渕さんはこう語ります。「キモチの循環が会社としてのビジョンであり、キーワードです。私たちは「ありがとう」や「お疲れさま」の気持ちを、ギフトと一緒に贈ります。でも、その伝えたい気持ちに見合うギフトが見つからないからと贈るのをやめてしまっては、伝えたい気持ちがロストしてしまいます。何か気持ちを伝えたいと思ったときに、それにあったギフトが見つかるようにしたい。私たちのチームが掲げる“Giftify Everything,Circulate The Love.”は、それぞれのシチュエーションや伝えたい気持ちを表現できるギフトが必ず見つかるようにしたいという決意の表れです」。
新たなギフトを開拓する際に重要な心構えは、「何がギフトで、何がギフトではない」という定義をギフティ自身が決めてはいけないということだそうです。
田渕さんには“Giftify Everything,Circulate The Love.”の大切さを感じたエピソードがあります。食事券を電子化するプロジェクトを担当していた時、居酒屋での飲食は「ギフト」として贈られることはないと思って除外しようとしたら、代表の鈴木さんに「それって、ギフティが決めていいのかな?」と言われて、はっとしたんです。一般的にはギフトとして贈られないと思えるものも、ギフトとして販売すると思わぬ需要があったり、順調に販売が推移したりという例がたくさんあります。
喜ばれるはずの高単価のギフトは、贈りやすいものでもあってほしい
京王プラザホテルeギフト
そして、“Giftify Everything,Circulate The Love.”の具現化に取り組む田渕さんたちが、2025年の注力マーケットとして考えたのが「ホテル」です。田渕さんは「ホテル業界は、ギフト券を紙で用意しているところが多く、その運用に明確な課題がありました。課題解決をギフティがお手伝いさせていただけるのではないかと、注力して取り組むことを決めました」と言います。
ギフトの品ぞろえには、低単価から高付加のギフトまで、バリエーションの豊富さが求められます。ギフティが法人・自治体向けに展開する「giftee for Business」サービスでは、企業が福利厚生や永年勤続表彰などで従業員向けにギフトを贈る「コーポレートギフト」の領域が昨今急成長を遂げています。この領域では、高単価なギフトに高いニーズがあり、特にホテルのレストランやリラクゼーションサービスなどの高単価ギフトは、特別な記念日などに適した魅力あるギフトのひとつです。「いくつかのホテルにご提案する中で、京王プラザホテル様をはじめ数社に導入させていただくことができました」(田渕さん)。
そもそも、ホテル業界に注目したのは、田渕さん自身の経験も大きく影響しているそうです。以前に、田渕さんが上司へ出産祝いとしてホテルランチの食事券を贈ろうとしたときのことです。
ホテルの食事券などのギフト券は、自分のために購入する自家需要と誰かに贈るためのギフト券の両方が紙券で用意されているケースが多く、そもそもギフト券を定常販売していないホテルもあります。また、自家需要のみ電子化対応していてもギフトは紙券で運用しているケースや、一部のみ電子化しているケースなど、その運用はホテルによってさまざまです。田渕さんは「ホテルの食事券は喜ばれるギフトなのに、購入するのに手間と時間がかかるうえ、お相手に贈るのにも手渡しか郵送という手段を取るしかなく、これは絶対に電子化するべきだろうと思いました」と振り返ります。
京王プラザホテルは、ギフティの「eGift System」を活用して、自家需要とギフト需要のどちらにも対応したデジタルのチケットを一括して運用しているほか、ふるさと納税や会員向けポイントプログラムのポイント交換先としてeギフトをラインナップしたり、ウイスキーセミナーや季節性のあるイベントチケットの販売にeギフト販売サイトを活用したりと、「eGift System」サービスを多用途に活用されています。
コンテンツ拡充×フォーマット多様化で“Giftify Everything,Circulate The Love.”の世界観を目指す
田渕さんはホテルのeギフトの反響について、こう話します。「紙券を販売しているホテルでは、販売日や販売数量の記録、またお客様がホテルで使う際にシリアルコードと照合して使用済みにする作業など、煩雑な業務をアナログで運用されているホテルが多いようです。また、購入者にとっても、郵送する場合は購入からお相手の手元にわたるまで1週間程度かかり、気軽に購入・贈呈するのが難しいと思っている方もいらっしゃったのではないかと思います。eギフト化によってこうした悩みを解消できるほか、紙券で在庫を確保する必要もないため、季節性の高い限定商品・サービスやイベントなどのトライアルにも活用しやすくなると喜んでいただけました」。
これまでに、カフェチェーンやコンビニ、ライフスタイル雑貨なども含めた全体の「eGift System」サービスの導入ブランド数は、2025年9月末時点で288社。そのうちホテル業界では、京王プラザホテルのほか、東京マリオットホテルなど9社が導入し、宿泊、レストラン、バー、スパなど176施設で利用が可能だといいます。田渕さんは「今後も、レストランやスパなどの施設がある滞在型のフルサービスホテルを中心に営業を展開していきたいです。そして、さらに「eGift System」サービスを洗練させていきたいです。」と話します。
「eGift System」サービスは業界・業種を問わず多くのブランドに提供し、導入数は右肩上がりで拡大していますが、それぞれのブランドのニーズや抱える課題も多様化しており、eギフト生成によるギフト需要獲得、eギフト生成後の流通拡大、eギフト以外のDX施策など、ギフティが取り組むべき課題もさまざまあります。
コンテンツ拡充、フォーマット開発、流通チャネル拡大、ブランドのDXサポートなどやるべきことは明確です。田渕さんは、「引き続き、コンテンツ拡充に力を入れていきます。ホテルやカスタマイズギフトなど新しいギフトを発掘するとともに、引き続き飲食店、小売店のeギフトも拡大させていきたいです。それに加えて、カタログギフトや店舗での新しい体験を提案するなど、ギフトの贈り方のフォーマットの種類も増やしていきます。コンテンツ拡充×フォーマット多様化によって、“Giftify Everything,Circulate The Love.”の世界観に近づけていきたいです」と意欲を示しています。