2025年に創業200周年を迎えた株式会社伊勢半が展開するロングセラー商品、「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」は1975年に発売し、この冬50周年を迎えました。
発売初期から変わらぬ処方で使った人の心をつかむ使用感と、イエロー&ブラウンのレトロなパッケージデザインで、発売以来たくさんのお客様に愛され続けるハンドクリームです。
今回は、働く社員からの支持も厚い同品のロングセラーの裏側について、商品プランナーを務める葛西瑠璃子に話を聞きました。
株式会社伊勢半 開発本部 商品開発部 葛西瑠璃子
キスミー薬用シリーズのロングセラー ハンドクリームが、ブランド誕生50周年を記念した限定デザインで登場!PR TIMES×
手荒れが当たり前だった50年前の冬、“うるおうのにベタつかない”を実現したハンドクリーム
「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」は有効成分と保湿成分のW効果で、なめらかでうるおいのある美しい手肌を長時間キープしてくれるハンドクリーム。ビタミンE誘導体(トコフェロール酢酸エステル)配合で、しもやけ・あかぎれ・ひび割れを防いでくれます。
家族でたっぷり使えるボトルタイプは発売当時から定番のオリジナルサイズ。現在では、ライフスタイルの変化に合わせ、持ち歩きにも便利なチューブタイプも販売しています。
水はじき効果で乾燥・荒れをケアしつつ、手肌を水からも保護することから、美容師・看護師など水を扱う仕事や手洗いの多い職業の方にも愛用いただいています。
葛西:同品が発売された50年前、“冬といえば手荒れは当たり前”、“ひび・あかぎれになるのは仕方ない”という認識がまだ一般的な時代でした。保湿・ハンドケアへの意識もまだ成熟しておらず、商品自体もまだ市場に多くはありませんでした。
そうした時代に薬用と高保湿で“うるおうのにベタつかない”ハンドクリームとして、市場に打ち出したのがこの商品でした。
2年にわたる処方開発、研究員の強いこだわりが実現した唯一無二の繊細さ
時は昭和40年代、商品誕生の少し前に遡ります。伊勢半では手荒れに悩む人々のために、手荒れにしっかり効果がありながらも、“うるおうのにベタつかない”ハンドクリームはできないものかと研究が進められていました。
しかし、肌になじんでしっかりうるおうハンドクリームの開発には多くの壁がありました。そのひとつが保湿剤の配合バランスの調整でした。
葛西:当時の話によると、ベタつかないハンドクリームは保湿剤を多く配合すると実現できますが、そうするとクリームの安定性が悪くなってしまいます。
処方の絶妙なバランスの模索にも多くの苦労があったようです。クリームの処方が出来上がった後も、容器との相性が悪かったりすると再度処方のバランスを調整する必要がありました。
生産に至るまでも、製造過程でのテクニックや配合手順の不具合による失敗など、トライアンドエラーに約2年の歳月を費やしたとのことです。
1975年発売当時の「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」
現在までパッケージデザインもほぼ受け継がれている
安全性・有効性・安定性のチェックを繰り返し、1975年10月ついに発売の時を迎えました。これまでのベタつくハンドクリームとは一線を画し、肌になじんで保湿効果が8時間※後も続く、「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」は今なお変わらぬ処方で愛され続けています。
※当社調べ。効果には個人差があります
葛西:この商品は、製造時のコントロールがとても難しい製法や保湿剤が用いられた唯一無二の処方で、現在でも機械の操作法や調合がわずかでも狂うと完成できない、大変複雑な調合法によって作られています。当社の研究員曰く、この処方の緻密さからは当時の研究担当者の執念ともいえるような、強いこだわりが感じられるそうです。
ユニークな創造性が生んだオリジナルキャラクターと遊び心あふれるプロモーション
オリジナルキャラクターの「やっくん(左)」・「やっこちゃん(右)」
そして、2010年にはオリジナルキャラクターの「やっくん」が誕生。翌2011年には「やっこちゃん」が誕生し、プロモーションに彩りを添えました。突然のオリジナルキャラクターの登場、何かきっかけはあったのでしょうか。
葛西:もともと2010年に店頭販促用として商品ボトルのビッグダミー(大型模型)を制作していたところ、ある社員から「試しに顔をつけたら面白いんじゃない?」というアイデアが飛び出しました。
周囲もそのユニークな発想に賛同し、結果としてオリジナルキャラクター「やっくん」が誕生しました。
もう一つの売れ筋であるチューブタイプもキャラクター化してみようということで、翌年「やっこちゃん」が仲間入りしました。
当時、巷では“ゆるキャラ”ブームの全盛期。やっくんもどこかゆるく愛嬌があって親しみやすいキャラクターとしてデザインされました。その後、やっくんを模したプロモーション什器が作られるなど、商品の認知拡大や店頭の盛り上げ役として活用されていきます。
やっくんの頭に商品を並べた販促什器は店頭でも目を引く存在感
葛西:やっくん誕生のきっかけとなった商品のビッグダミーを活かし、キャラクターの形をした販促什器が作られました。シンプルな作りながらも、店頭で目を引くインパクトあるデザインが評価され、2011年にはプロモーション業界において権威のある、日本プロモーショナル・マーケティング協会の「JPM POP クリエイティブ・アワード」にて金賞をいただくことができました。
そして今年、ブランド誕生50周年を記念したやっくん・やっこちゃんのオリジナルデザインのアイテムが発売されました。この企画は、どういった経緯で実施することになったのでしょうか?
50周年を記念して発売された「やっくん」「やっこちゃん」の特別パッケージ
葛西:2025年は「キスミー薬用シリーズ」誕生50周年のほかに、会社としても創業200周年を迎えたメモリアルイヤーでした。そこで、何か盛り上げる企画ができないものかと数年前から検討を重ねてきました。
オリジナルキャラクターを使ったプロモーション什器はすでに作ったことがありましたが、商品パッケージに用いたことがなかったので、これを機にトライしてみようということになりました。
リピーターも多いロングセラー商品ですが、新たなお客様の目にも留まるよう、店頭でも目を引く愛嬌あるデザインに仕上げました。
お客様も社員も魅了する、50年愛され続けるロングセラーの秘訣
発売から50年、今もなお変わらず愛され続けるロングセラー商品となった「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」。
葛西:他にも「美容師になって以来続いていた手荒れの悩みがなくなりました。」「塗った直後にパソコンを触ってもベタベタしません」といった日常に寄り添っている商品であることを感じられるようなメッセージや、「娘もお嫁さんも愛用しています。」というロングセラー商品ならではの、世代を超えて愛用いただけていることがわかるようなメッセージもいただきました。
実は、社員からの人気も高いアイテムで、伊勢半グループ創業200周年記念誌で社員に実施したアンケートでは、「ヒロインメイク」「ヘビーローテーション」などの人気ブランドのアイテムも並ぶなか、“社員が全力でオススメしたい商品ランキング=第2位”、“社員がリアルに一番リピートしている商品ランキング=第3位”にランクイン!年齢・性別問わず多くの社員から支持を集める商品であることが分かりました。
葛西:社員からも「伊勢半入社以来10年近く愛用しています。」「これは誰にすすめても、みんなリピートしてくれる商品です!伊勢半の歴史の長さを象徴するようなものです!」など、熱い想いを感じるコメントが多くありました。50周年記念パッケージのハンドクリームをデスクに置いている社員もよく見ますし、社内のマスコット的存在としても親しまれているような気がしてうれしいですね。
「キスミー薬用ハンドクリーム<医薬部外品>」のロングセラーの秘訣、お分かりいただけましたでしょうか?
変わることのないものづくりへの真摯な姿勢と、遊び心あるユニークな発想によって柔軟に変化していくもの。こうして積み重ねてきた半世紀にわたる信頼で、これからも世代を超えて選ばれる存在であり続けたいと思います。