「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」のミッションのもと、リノベるで

は、個人・法人・産業支援と3つの領域でリノベーションプラットフォームを構築し、リノベーションをスタンダードな選択肢にすべく取り組んでいます。このうち、「住宅リノベーションプラットフォーム」では、「リノベる。」をはじめとした、個人のお客さま向けの住宅リノベーションを展開しています。


住宅リノベーションにおいて、リノベるが特に大切にしているのが、「家づくりの体験価値を最大に。」すること。そのために「住宅業界No.1のNPSスコア」を目指しています。

NPSとは、「Net Promoter Score(ネットプロモータースコア)※」の略で、商品やサービスに対する信頼や愛着といった顧客ロイヤルティを数値化する指標です。リノベるでは2016年から、アンケートという形でNPSを計測しています。

※注:NPSは、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標又はサービスマークです。

今回は、NPSのアンケートを通じてお客さまと向き合う「これまで」と「これから」について、本取り組みの中心となったホームソリューション本部 本部長・安江浩と、ワンストップリノベーションサービスの前工程(カウンセリング~物件購入)を担うソリューションプランニング部 部長・齋藤高央、後工程(設計・施工・引き渡し)を担当する首都圏デザイン部 部長・萩森浩美の3名に聞きました。

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▲左から、齋藤高央(ソリューションプランニング部 部長)、安江浩(執行役員・ホームソリューション本部 本部長)、萩森浩美(首都圏デザイン部 部長)

■起きていることを可視化し、良質なサービスにするためのNPS

―まずはNPSとはどのようなものか教えてください。

安江:

ワンストップリノベーションサービス「リノベる。」では、中古マンションの物件探しから、リノベーションの設計施工までを一括でサポートしています。その過程において、計4回、お客様にはサービスの満足度をお伺いするアンケートに回答いただいています。これはNPS(ネットプロモータースコア)の考えに基づいて作成しています。質問はシンプルで、点数評価に加え、自由記述の設問も設けています。

NPSアンケートが他と異なるのは、「友人や知人にどの程度おすすめしたくなるサービス・商品でしたか?」ということを点数化して聞く点です。この質問が軸になるので、自社に都合良く解釈できるものではなく、客観的かつ明確な指標(スコア)として自分たちのサービスを見つめなおす手掛かりになります。


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▲NPS(Net Promoter Score)は、顧客ロイヤルティを測るための指標。「この商品やサービスをどれくらい他の人に勧めたいですか?」という質問を顧客に行い、0から10の11段階で評価してもらう。この評価を基に、推奨者(9-10)、中立者(7-8)、批判者(0-6)に分類し、推奨者割合から、批判者割合を引いたものがNPSスコアとなる。

―リノベるでのNPSに関する取り組みは、いつから、なぜ始まったのでしょうか。

安江:

2016年頃からスタートしました。「お客さまの体験価値をもっと高めたい」と

いう想いからです。

当時、リノベーションのご依頼が増え、すべての案件を、従来のように細かく追いきれない時期があったんですね。様々な声が届くものの、その背景や理由が見えづらく、現場の中に埋もれてしまっている感覚がありました。

また、物件売買・設計・施工といった専門性の高いサービスは、どうしても担当個人の接客力に依存する面があり、担当者によるばらつきが出やすいです。

そうした状況を網羅的に可視化・定量化して、「本当にお客さまにとってよいサービスが提供できているか」をしっかり確認できるようにしたいと始まったのが、NPSアンケートの取得です。

NPSは他社でも活用されており、共通の指標として、自社の成果を外部と比較することができます。長期的にサービス品質を改善していくうえで、非常に有効な指標だと考えました。


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▲安江浩(リノベる 執行役員 ホームソリューション本部 本部長)

―「住宅業界No.1のNPSスコア」を目指した背景を教えてください。

安江:

リノベるは、「日本の暮らしを、世界で一番、かしこく素敵に。」というミッションを掲げています。実現のためには、リノベーションを限られた一部の人に向けたサービスにせず、より多くの方に向けて提供していく必要があります。

また、リノベーションをスタンダードな選択肢にするためには、単に件数を追うのではなく、質の高いリノベーションであること、幅広いお客さまに満足いただけるサービス品質を維持、向上させることが不可欠です。その指標としてNPSを取り入れ、「住宅業界No.1」を目指して取り組んでいます。

■前工程では顧客体験の向上や組織文化の醸成に活用

―NPSへの具体的な取り組みについて教えてください。前工程(カウンセリング~物件購入)ではどのように運営されていますか。

齋藤:

いわゆる営業にあたるカウンセリング担当は、物件の売買契約完了までのサービスについて、NPSを運用しています。アンケートは物件の売買契約が完了したタイミングで回答いただくため、僕たちにとっては、サービスを提供し終わってからの活用になります。

そのため、トラブルの早期発見というより、顧客体験の向上や、組織文化の醸成のために活用している面が大きいです。自分たちの今の仕事が、お客さまにどの程度満足していただけたかを客観的に把握できるため、NPSアンケートの結果はとても大事にしています。

また、NPSアンケートでいただくご指摘を通じて、ヒアリング力の向上やサービスフローの見直しなど、具体的な改善点も多く見つかっています。

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▲齋藤高央(ホームソリューション本部 ソリューションプランニング部 部長)

齋藤:

一例をあげると、それまでは物件資料を提示しながら、お客さまの希望条件に合致する物件をご紹介していました。
しかし、NPSアンケートの活用によって、丁寧にヒアリングしたうえで物件を紹介するやり方のほうが、お客さまからの満足度も高く、僕たちにも合っていることがわかってきました。

そこで、「何がほしいのか」ではなく「なぜほしいのか」という背景に踏み込み、お客さまの人生に寄り添った形で物件を紹介するスタイルに変えていきました。NPSアンケートがきっかけとなって、今の営業スタイルの根幹を創ることができたと思います。

また、不動産の売買契約や住宅ローンの手続きなどは、大多数のお客さまにとっては初めての経験であるため、スケジュール感がわかりにくかったり、各フェーズごとに変わる担当者間の、引継ぎへの不安の声もありました。現在は、ボールが落ちることがないよう、テクノロジーの力も借りながら、仕組みの強化を進めています。

―取り組み続けるなかで、苦労したことはありますか。

齋藤:

NPSのスコアが低い場合、上長からお客さまに連絡を取って、理由をお伺いしています。シンプルにお客さまの声を聞くというのは、自分がお客さまからどう見られていたかを知ることでもあり、怖い面もありますが、あえて情報の本質を自分から求めにいくことを続けていることが、苦労している部分といえるかもしれません。

一方で、それを積み重ねることで、自分やメンバーが「どこを向いて仕事をすべきか」が明確になっていきました。自己満足や自分勝手な仕事がなくなっていき、現場に良い影響を与えていると感じています。改善点も自然とメンバーからあがるようになってきて、個人の取り組み方だけでなく、フロー自体の見直しを考えるきっかけにもなっています。

■後工程はトラブルの早期発見に活用。
品質の平準化につなげる

―後工程(設計・施工・引き渡し)におけるNPSについて教えてください。

萩森:

設計・施工では、主にトラブルの早期発見を目的に活用しています。例えば、未決事項や曖昧な点がないか、問題なく引き渡しができているか、などを確認します。トラブルを芽の段階で発見し、対応につなげています。

以前は、担当者の経験値によってどうしてもバラつきが出てしまい、担当者次第でお客さまの満足の度合いが変わってしまうという面がありました。

NPSアンケートを運用することにより、品質平準化への課題がしっかり見えてきて、今では、「リノベるのサービスを使えば、担当者が誰であってもこれだけの満足が得られる」という仕組みが整ってきたと思います。

具体的には、NPSアンケートでよく挙がる声を細かく明文化して、マニュアルやチェックリストに落とし込むようにしています。それをもとに運用することで、経験値にかかわらず一定の品質を提供できるようになっています。今もアップデートを続けています。

―NPSの運用による変化はありますか?

萩森:

NPSアンケートが戻ってきたタイミングにあわせて、案件ごとに上長と担当者でアンケートに記載の内容について深めるミーティングを行うようになりました。改善につなげる時間をもつことで、メンバーの仕事に対する意識が明確に変わっていったと感じています。

また、NPSの数値が芳しくなかった場合、接客・プラン・施工のどこに課題があるかが明確に見えるようになり、それをもとにメンバーから意見が自然と挙がるようになってきました。自分事として改善に取り組む姿勢が浸透し、「どうすれば満足度を上げられるか」という会話が増え、濃度がどんどん濃くなっているように感じています。


リノベるのバリューのスローガンは「中(うち)から目線」と言い、お客様の中(うち)側に入ったつもりで物事を見て、考えようという意味なのですが、NPSに向き合うことを通じて、「中から目線」が私たちがいちばん大事にしている価値観なのだという意識も確実に根づいています。

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▲萩森浩美(ホームソリューション本部 首都圏デザイン部 部長)

■組織の体質が変化。さらにパートナーへも広がる

―全体的に変化が起きてきた実感はありますか。

安江:

できるだけ早くお客さまの不安や不満の芽をキャッチアップして解決するフローが構築できてきましたね。当事者であるお客さまの不安や不満に対応しつつ、そこから得られた気づきをもとに、さらに社内業務をより良いものへと仕組み化していく。このサイクルがまわるようになってきたことで、組織の体質としてすごく良くなったと思います。

現在では、引越し後に実施しているNPSアンケートでもかなり高いスコアを安定して得られるようになってきています。

NPSアンケートの取得を始めた当初は、スコアと業務内容との相関性が見えにくく、「何をすればスコアが上がるのか」が手探りでした。しかし、3~4年前から「ここを改善すれば伸びるのでは」といった相関が見えはじめ、管理もしやすくなりましたし、不足点の発見やトラブルの未然防止にもつながっています。その結果、不満の言葉を頂くことが確実に減ってきています。

―パートナー企業に対してはNPSをどのように活用していますか。

安江:

設計・施工いずれにおいても、NPSのスコアをもとに、パートナー企業にフィードバックをしています。


「たくさん案件をこなしてくれる」、「金額が合わせやすい」といった評価だけでは、お客さま目線の仕事にならなかったり、意識も高められないと思います。そのため、リノベるが大切にしている価値観を共有したうえで、NPSを評価指標として取り入れるようにしました。これにより、パートナー企業の意識にも変化が生まれてきています。

最近では、NPSのスコア向上に向けて「自分たちも頑張りたい」とポジティブに受け止め取り組んでくれるパートナーが増えてきています。スコアが伸び悩む場合は、情報を共有しながら改善に伴走する体制ができています。

■NPSを追い続けるその先に、成長がある

―今後、どのようにNPSを活用していこうと考えていますか。

安江:

もともとは社内改善のために始めたNPSですが、いまではこのスコアを高めることで、リノベるのリノベーションサービスがより広がっていく根源になってきていると感じます。

NPSは、働く私たちにとってもすごく大事な指標ですし、パートナー企業の皆さまにとっても、真剣に追いかけるべき目標だと考えています。これからもお客さまの声を第一の基準として追い続けることで、個人としても、そして企業としても、持続的に成長していけるのではないかと思っています。

また、NPSを通じて磨いたカウンセリング力や品質向上への取り組みなど、リノベるの住まいづくりのナレッジは、会社の財産として、法人事業や新規事業などでも活かしていけると考えています。実際、お客さまの声がもとになって、新サービス

(※The R. by RENOVERU)が誕生しました。

NPSアンケートは成長のタネだらけです。成長のヒントを見つけるって、実は結構大変で難しいことなんですが、やはりそれは現場にたくさん落ちているんですよね。それを拾いに行くことが大切ですし、NPSを通じて得た気づきを未来に役立てていきたいです。

―NPSスコア業界No.1を目指すことで、リノベるがどう成長していくと思いますか。

齋藤:

NPSアンケートでできることには2つあると思っています。ひとつは顧客満足度の向上につなげること。もうひとつは、ゼロから新しい価値を生み出すということ。

お客さまの声に正面から向き合うことで、現在の課題を改善するだけでなく、すでにできていることをさらに高めることができますし、そこからまったく新しい取り組みが生まれる可能性もあると思っています。

また、NPSのスコアが高くなると、それ自体が会社の武器になっていきます。お客さまの方から「満足度が高い会社」として興味を持っていただけるようになり、それはまた新たな出会いや大きなチャンスを生むのではないかと思います。

萩森:

設計・施工においても「顧客満足度が高い」という点を、これまで以上にしっかりアピールしていきたいと考えています。NPSは、働く私たち自身が誇りを持てるサービスにしていくための、ひとつの方法だとも思っています。

安江:

リノベーション業界は成熟期に入ってきていて、競合企業も多く、コモディティ化も進んでいます。各社が似たサービスを提供している状態において、差別化していくためには、やはりNPSを通じて、お客さまの声をしっかり掘り下げていく必要があるだろうと思っています。

お客さまが抱える課題を、どれだけ丁寧に見つけ出せるか。そして、その課題をいかに価値へと変えていけるか。リノベるのビジョン「課題を価値に。」変えるべく、取り組み続けていきます。

リノベる。(サービスHP):www.renoveru.jp

リノベる株式会社(会社HP):www.renoveru.co.jp

The R. by RENOVERU ページ:https://www.renoveru.jp/events/basic_the_r01
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