その味の裏には、「日本一うまいたこ焼を通じて、ほっとした安らぎと笑顔がいっぱいのだんらんを提供する」という創業時から変わらぬ理念と、それを体現するための日々の積み重ねがあります。中でも銀だこの味を支える根幹となっているのが、店舗で腕をふるう「職人」たちの存在。今回は、そうした職人たちの技術や思い、新たな挑戦に触れることで、銀だこに息づく理念や価値観に迫ります。銀だこを運営する株式会社ホットランドホールディングス(以下、ホットランド)で商品開発部の責任者を務める川島拓也氏と、広報室の丸山美嘉氏に話を聞きました。
広報室 マネージャー・丸山(写真左)、商品開発部 本部長・川島(写真右)
■始まりは焼きそば屋。根底には「食を通じて人を笑顔にしたい」の思い
当社のルーツは、1988年に群馬県で創業した焼きそば店「ホットランド焼きそば」です。創業者の佐瀬守男は、鉄工所を営む家庭に育ち、母親が休憩時に従業員に焼きそばをふるまう姿を見て育ちました。その焼きそばを囲んで笑顔が広がる様子に心を動かされ、「食を通じて人を笑顔にしたい」という思いを抱き、焼きそば屋をオープン。その後お客様のリクエストに応える形で様々なメニューを増やし、その中の1つが「たこ焼」でした。
数ある商品の中からたこ焼に特化するという転換点。「やるからには、日本一おいしいたこ焼をつくろう」という強い思いを胸に、佐瀬は関西での修行や、タコの目利きを学ぶために築地市場へ通う日々を重ねました。そして1997年、群馬県に築地銀だこの1号店がオープン。

銀だこハイボール酒場は、“たこ焼をつまみに”お好きなアルコールを楽しむスタイル
■素材から焼き方、そして「人」まで。一つひとつの要素と向き合う
銀だこの味を支えるのは、「たこ焼を構成する一つひとつの要素と向き合う姿勢」です。素材選びから焼きの技術、店舗での接客まで、全ての工程において丁寧さを積み重ねることで、たこ焼という一舟に深みが生まれています。まずたこ焼を焼くのに欠かせない特注の鉄板は熱伝導率の良い南部鉄を使い、球体の部分をあえてザラザラに仕上げています。こうすることで油が馴染みやすくなり、銀だこ特有の「外はパリッと」した食感を生み出すのです。
素材へのこだわりも細部に及びます。タコはモーリタニアやベトナムなど、世界中から厳選したものを使用。特に象徴的なのが、たこ焼の中に入れる青のりと、外にかける青のりを使い分けている点です。中に入れる青のりは熱を加えることで風味が増すものを、トッピングには彩りや香りが引き立つものを選んでいます。たこ焼を入れる舟も、余分な油や水分を吸ってくれる白樺の木で作った特注品。一つひとつの素材や備品に、美味しさを最大限に引き出すための役割があります。
■「手焼き」にこだわる理由。人間の感覚や気配りこそが、銀だこの味の核心
こうしたこだわりの中でも、銀だこを語る上で欠かせないのが、店舗でたこ焼を焼く「職人」たちの存在です。「焼き」はたこ焼の味を大きく左右する重要な工程。同じ生地、同じ具材を使っても、火加減や焼くタイミング、ひっくり返すタイミングによって、食感も風味も変わってしまいます。外側のパリッとした食感と、中のトロッとした食感のバランスを保つには、熟練した技術と経験が必要不可欠。その微妙な火加減とタイミングを見極めるのが、現場に立つ職人たちなのです。多くの業界で機械による効率化が進み、最近ではたこ焼ロボットの登場も見られます。しかし銀だこでは創業時から変わらず、「手焼き」かつ「両手を使って焼く」スタイルを守り続けています。

教育トレーナーによる新人研修の様子
「たこ焼ロボットの導入も検証したことはあるのですが、結論として、銀だこのたこ焼は再現できませんでした。と言うのも、銀だこではマニュアルに加えて、生地の量やタコの大きさ、その日の気温や湿度などによって焼き加減を微妙に調整しながらたこ焼を作っているのです。例えば、少し肌寒い日には普段よりもよく焼いてアツアツにしたり、綺麗な形にするために途中で生地を部分的に足したり。効率化や単なるマニュアルでは対応しきれない、人間の感覚や気配りこそが、銀だこの美味しさを完成させる“最後の一手”となっているのです」

千枚通しを2本使用し、魚介や出汁の旨味をギュッと閉じ込め焼き上げます
こうした技術の裏には、理念に根ざした日々の実践と、互いに刺激し合う社内の文化があります。
またお客様との接点が多い職人にとって、創業時からある「接客用語」も大切な文化の一つです。中でも代表的なのが、「おいしく召し上がれますように」と「ありがとうございます」という言葉。商品をお渡しする瞬間に掛ける「おいしく召し上がれますように」という一言には、買っていただいた後の時間も楽しく過ごしてほしいという願いを込めています。また「ありがとうございます」という現在形での感謝は、お客様との関係を未来へと繋げたいという思いの表れ。これらの言葉は、テイクアウト専門店として限られた時間の中でも、お客様との心の繋がりを大切にしたいという気持ちから生まれました。
こうした理念や文化が浸透しているからこそ、職人たちは共通の意識を持って焼きの現場に立つことができています。その技術と意識をさらに高める場として機能しているのが、世界一のたこ焼職人を決める社内コンテスト「あつあつグランプリ」です。全国の店舗で活躍するたこ焼職人の「技と心(サービス)の向上」を目的に、2000年より不定期で開催している同イベント。毎回約4000人がエントリーし、各エリアの予選を勝ち抜いた代表者が本戦に出場します。


「あつあつグランプリ」会場の様子
川島:「『あつあつグランプリ』は、優勝することはもちろん出場したこと自体が職人たちの中では大きな誇りとなる特別な存在。この大きな目標が、職人たちの成長と日々の仕事へのモチベーションに繋がっています。またお客様から『〇〇さんが焼いたたこ焼が良い』などと職人を褒めていただく声もモチベーションとなり、一人ひとりのやりがいや店舗全体の士気を上げる要因になっていると感じます」
■美味しさの追求は終わらない。年に20~30種の新商品を開発
定番の味や根底にある考え方を守り続けながらも、「食を通じて人を笑顔にしたい」という創業時からの思いのもと、常に新たな挑戦に取り組んでいます。年に20~30種発表する新商品は、その挑戦の象徴とも言えます。


川島氏が本社キッチンにて商品開発の様子
新商品を開発するチームは日々たこ焼を作り、味の探求に取り組んでいます。新メニューの考案に際して最も重要視しているのは、お子様からご年配の方まで、誰もが楽しめる味であること。たこ焼本来の風味を活かしながらも、より美味しくなる組み合わせを追求し、メニューごとにオリジナルのソースを一から開発しています。また、新たな味を次々と生み出す理由には、お客様にいつ訪れても新鮮な驚きや楽しさを感じていただきたいという思いがあります。
銀だこの挑戦は、海外展開にも及んでいます。その代表例が、2024年に実現したドジャー・スタジアムへの出店です。日本の野球場の多くに店舗を持ち、「観戦飯」として親しまれてきた実績が、出店実現の背景の1つにありました。しかし、海外ではたこ焼は知っていても食べた事がない人も多く、どのようにして親しみやすい味を提供するかが重要な検討事項となりました。そこで現地の食文化に合わせた「チーズ&ワカモレ」味を開発。一方で、現在は日本の出汁文化を伝える和風の商品も提供するなど、日本の食文化と現地の嗜好の両方に配慮した展開を続けています。

銀だこドジャー・スタジアム店 行列の様子
こうした挑戦の根底にあるのは、「変わらぬ思い」と「進化を続ける姿勢」です。国内外を問わず、銀だこはこれからも、たこ焼の可能性を広げていきます。最後に丸山氏は「たこ焼には、人を笑顔にする不思議な力がある」と話します。
丸山:「どんな時でもほっとできる食べ物だと感じますし、そういった温かい時間を提供し続けるためにも、お客様に支持され続けるブランドでなければなりません。30年、50年先も、誰かの人生のワンシーンに寄り添える存在でありたいです」

デリバリーサービスは、企業・ホームパーティーや差し入れなどにも便利と人気
一粒のたこ焼に込められた思いと技術、そして未来への挑戦。
築地銀だこ公式サイト:https://www.gindaco.com/
銀だこデジタルスタンプカード:https://app.gindaco.com/