「企業と福祉を結ぶ“アートの力”」
── 障がい者アートと出会い知った“支え合う世界”のつくり方
「アートで備える」—— そんな発想から生まれた『sonae 備絵』。
防災とアートを掛け合わせ、障がいのあるアーティストたちが心のままに描いた作品を企業や社会に届ける取り組みです。
一通のメールから始まった出会いをきっかけに、福祉とビジネスをつなぎ、新しい循環を生み出すまでの歩みをディレクターの野田さんが語ります。
ーー 現在、野田さんの会社ではどのような事業を展開されているのでしょうか?
野田:
企業様の販売促進やブランドづくりなど、プロモーション全般のご支援しており、その中に『sonae 備絵』という事業部があります。
私たちの主な仕事は、このsonae 備絵の商品を企業様向けにBtoBで提案・販売することです。
その取り組みの一つとして障がい者アートを取り入れた「心のままアート」というサブスクリプションサービスも展開しており、企業様へ提案・提供しています。(▶︎sonae 備絵公式サイトはこちら )
sonae 備絵の仕組みや私たちの業務について、よりイメージしていただけるよう、取り組みを紹介した動画もありますので、ぜひご覧ください。
▶︎ 動画はこちら(YouTube):
×
※野田さんご本人が、備絵の背景や業務内容をわかりやすく解説しているので、ぜひ一度ご覧ください
ーー そもそも障がい者アートに関わることになったきっかけは何だったのですか?
野田:
きっかけは、台東区の社会福祉協議会さんから届いた一通の熱いメールからです。
それまで僕たちは障がい者アートの世界をまったく知らなかったのですが、「一度話してみましょう」と打ち合わせをしたらすごく盛り上がったんです。
そこから「備絵に障がい者アートを取り入れよう」という流れになりました。
もともと備絵にはアート商品があったのですが、障がい者アートは初めてのチャレンジでした。
ーー 障がいのあるアーティストさんと関わる中で、大切にしていることはありますか?
野田:
短い時間でも、できるだけ深く相手を理解しようとすることです。
障がいのある方とない方の間には、どうしても見えない壁があります。
最初のひと言がかなり大事なので、できるだけフレンドリーに、笑顔で接するようにしています。
そして、目の前の方は、どのような方で、どのようなアートを描くのかの理解し、相手が自然体で会話できるように意識しております。
ーー それは経験とともに、だんだん分かるようになっていくのですか?
野田:
はい。いろいろな方とお会いしていく中で、少しずつ分かるようになりました。
最初は本当にうまくいかないことばかりでしたけど、次第に感覚がつかめてきた感じはあります。
まずこちらが心を開いて“敵じゃないよ、仲間だよ”と伝えることが一番大事だと思っています。
ーー これまでで特に印象に残ったエピソードはありますか?
野田:
初めて福岡の福祉事業所のアトリエに伺った時の体験が、一番強く残っています。
いろいろなアーティストさんがいて、それぞれ障がいがあり、各々全く違う世界を描いているんです。
補助員の方が一人ひとりの絵を解説してくれるのですが、「本人には黄緑に見えているけど、実際は茶色を塗っている」「音の聞こえ方が違うからこういう表現になる」 など、僕らの想像を超える感覚で作品を生み出していると教えてくれたんです。
それを知った瞬間ずっと鳥肌が立ちっぱなしで、障がい者アートってすごいなと心から思いました。
ーー 素敵な話ですね。
野田:
本当に、作品の裏を知れば知るほど興味が深まります。
ーー 障がい者アートと関わる中で、「やっていてよかった」と感じた瞬間はありますか?
野田:
理解者が増えたなと実感できる瞬間です。
アートを見た人に、障がい者の方の特性や作品の背景を説明すると、みんな驚いたり感動したりするんです。
その度に「伝わった!」と思える。それが一番うれしいですね。
ーー アーティストさんとの特徴的なエピソードはありますか?
野田:
ある作家さんとの話なんですけど、初対面で僕の名前や誕生日を聞いたあと、 「その誕生日だと木曜日だね。色は黄色だよ」 と突然言ってきたんです。
あとで気になってとある占いの暦を遡ると本当にその日が木曜日でバースデーカラーが黄色だったので驚きました。
暦や色のイメージを全部覚えていて、人との出会いも全部記憶しているんですよ、すごいですよね。
ーー それはすごい才能ですね!
では、作品を世の中に届けるうえで、苦労していることはありますか?
野田:
企業さんに提案すると、担当者の方は「すごくいい取り組みですね」と言ってはくれるのですが、上層部に上げづらいという壁があります。
社会貢献は企業のミッションに掲げられていても、実際の現場の温度感とはズレがあるので、 どうやって経営層に届く形で価値を伝えられるか、そこが一番苦労しているポイントですね。
ーー アートを通して、社会にどのような変化を起こしたいですか?
野田:
備絵は“インテリアアート × 防災”がコンセプトです。
アートの力を使って、防災意識を少しでも上げたい、「災害に備える」という気持ちが日常に溶け込むような未来をつくれたらなと思っています。
ーー 野田さんが失敗や葛藤を乗り越えるとき心がけていることはありますか?
野田:
「やらない後悔より、やって大成功」ですね。
後から「言えばよかった」と思うのが一番悔しいんですよね。
怖いけど、やってみた時って意外とうまくいくんですよね(笑)
ーー とてもいい言葉ですね。では、この事業を通じて、自分が変わったと感じることは?
野田:
社会の課題や社会貢献の“本当の意味”を理解できるようになったことです。
前は「やらされている」感覚でしたが、今は自分の言葉で本質を直接伝えたいと思っています。
世の中の不自由を解消したいという気持ちが、以前よりずっと強くなりました。
ーー 今後挑戦したい取り組みはありますか?
野田:
「私たちは障がい者アートのことを「心のままアート」と題しています。
今後は、この「心のままアート」をさらに広げていきたいと考えています。
私たちが扱う「心のままアート」は、アート技術や才能の有無に関係なく、その方が“心のまま”に描いた世界を製品にしております。
近年、障がい者アートは国内外で注目され、その独自性は日本だけでなく世界でも評価されていますが、私たちが目指しているのは、有名なアーティストだけに限定しない“多様な表現者の活躍”です。」スタートしたばかりですが、障がい者アートのサブスクをもっと広げ、備絵と合わせて防災意識の向上につながるような取り組みを進めていきたいです。
ーー 最後に、読んでいる方や支援者へのメッセージをお願いします。
野田:
「心のままアート」を取り入れていただくことで、地域の企業と福祉施設が自然とつながり、支え合える循環が生まれます。
ぜひこの記事をきっかけに、身近な福祉施設を応援する仲間になっていただけたら嬉しいです。
今回の取材を通して、障がい者アートの裏側にある「人の想い」に心を動かされました。
野田さんが語るエピソードはどれも優しく、アーティストさん一人ひとりへの深い敬意にあふれていました。
障がい者アートが広がっていくことで、地域の人たちが自然と支え合える未来が少しでも近づいて欲しいーーそんな希望が感じられる取材でした。
現在「心のままアートプロジェクト」ではこうした取り組みに共感し、支えてくださる賛同企業パートナー様も募集しています。
心のままアートを取り入れた備絵は月額8,000円から導入できるサブスクとして提供されており、企業としても取り組みやすい形で地域の福祉に寄り添える仕組みになっています。
「アート × 防災」という新しいアプローチで、日常に安心を届ける備絵の取り組みや、障がい者アートプロジェクトの詳細は公式サイトでご覧いただけます。
▶︎ sonae 備絵 公式サイト