第45回分子生物学会での特設会場プロジェクトの裏側
2022年11月30日から12月2日までの3日間、千葉県の幕張メッセで第45回日本分子生物学会年会(共催:日本生物物理学会)が開催されました。展示ホールにはポスター発表会場、口頭発表会場、企業展示ブースが設置され、ホールの至る所で活発な議論が行われました。参加者総数は6300人を超え、「過去開催の中でも屈指の熱い年会」との呼び声も高く、大盛況のうちに幕を閉じました。
当社の特設会場 ”ベクタービルダー会場” で実施した18講演にわたるセミナーでは、延べ426名の方にご来場とご視聴頂きました(現地参加・オンライン視聴の合計速報値)。皆さまからのアンケートは「非常に興味深かった」「製造レベルの話が大変面白かった」などのお声を頂けました。
企業展示ブースにも予想を上回る多くの方にお越し頂き、弊社ポータルサイトでのベクター設計をその場で試して頂いたり、カタログやポスターを見ながらディスカッションさせて頂いたりと、充実したプロモーションを行うことが出来ました。
そこでこのSTORYでは、従業員8名という小所帯のベクタービルダー・ジャパンが、この年会での大型協賛プロジェクト(自社特設会場でのセミナー18講演と企業展示)を成功させることが出来た訳をご紹介します。

第45回日本分子生物学会年会 展示ホールの様子。奥に見える大型モニターのあるエリアがベクタービルダー会場です。
ベクタービルダー・ジャパンとは
ベクタービルダー社は、顧客がオンラインでベクター(※)を設計・注文できる世界で唯一の商業カスタムベクタープラットフォームを提供しています。同社は、世界中の4,000以上の研究機関や製薬会社に120万以上の遺伝子導入ソリューションを提供し、毎年30万以上のプロジェクトが生産に移され、その成果はScience、Nature、Cellなどのトップ科学誌に広く報告されています。過去5年間の企業の年平均成長率は85%にも上り、世界中の研究者から好評を得続けています。
(※)ベクター:目的の遺伝子を細胞や個体に導入する「運び屋」の役割を果たす人工遺伝物質
プロジェクト成功の理由その1:最初に最重要課題を決定済に、会議は必要最小に
ベクタービルダー社の日本法人であるベクタービルダー・ジャパン株式会社は、代表取締役の亦勝実穂博士と従業員7名のまだ小規模な会社です。そのベクタービルダー・ジャパンが2022年の分子生物学会年会で特設会場(定員200名)のスポンサーシップと企業展示を申し込んだのは2022年2月でした。コロナ禍以降の現地開催イベントでの大型協賛、しかも分子生物学会には顧客も多く、失敗できない一大プロジェクトです。そこで、最重要課題である特設会場でのランチョンセミナーのご講演者を決定することから準備を始めました。ベクタービルダー社のサービスに関連した、重複しないご研究テーマの先生方にご連絡し、3名のご講演者を会期10か月前という早い段階で決定することができました。今回の協賛の「軸」が早期に定まったことによって、その後の準備が非常に進めやすくなりました。

特設会場に掲示したランチョンセミナー告知ポスター
社外からは、大阪大学微生物病研究所の山本雅裕教授、京都大学iPS細胞研究所の入口翔一先生、東京大学医科学研究所の岡田尚巳教授にご講演頂きました。
4月から7月にかけては、自社WEBサイトやメールマガジンで年会協賛の告知を精力的に行いました。また、オンラインでのPRだけでなく、顧客訪問などのあらゆる機会を逃さずPR活動を行いました。8月から10月にかけては、特設会場および企業展示ブースの装飾・展示プランを決めていきました。WEBミーティングで社内の意見交換を行いましたが、会場のミニチュア模型やブースの実物大モックアップを作って完成イメージをあらかじめ共有する、論点を明示してその場で意思決定する、といった工夫で会議時間を必要最小限にし、各社員の他の業務を圧迫しないようにしました。このように準備を進めてきたことで、展示ポスターや装飾用品などの必要物の最終確認と発注を、余裕をもって行うことができました。
プロジェクト成功の理由その2:海外チームとの連携
特設会場では、ランチョンセミナー6講演、技術的な内容に特化したテクニカルセミナー12講演の計18講演を3日間で行う計画を立てました。ランチョンセミナーでは、前述の通り3名の先生方にご講演の承諾を頂きました。テクニカルセミナーについては社外講演者募集を行い、2名の方々にご講演頂けることになりました。残り13講演のうち、7講演はベクタービルダー・ジャパンのメンバーで行い、6講演をベクタービルダー社の海外チームに依頼することになりました。創業者のBruce Lahn博士をはじめ、それぞれ専門の異なる海外メンバー4人とWEBミーティングを行い、社外講演と併せたときに最も自社をアピールできるテーマや、前日のリハーサルの進め方について打ち合わせました。この時も、社内チャットツールを活用してすきま時間でこまめに情報共有を行い、会議時間を最小限にするように工夫しました。
ランチョンセミナーでウエッビナーを行うベクタービルダー社Bruce Lahn博士

特設会場に掲示したテクニカルセミナー告知ポスター
社外からは、名古屋工業大学大学院工学研究科 石川和季先生、東ソー株式会社ライフサイエンス研究所生物機能工学G 牧野友理子博士にご講演頂きました。
プロジェクト成功の理由その3:契約代理店の株式会社池田理化様のご助力
効率良くプロジェクトを実行するための様々な工夫を凝らしてきましたが、やはり少人数の弱みはあり、当日の人手がどうしても足りませんでした。そこで、ベクタービルダー社が日本でのサービスを本格的に開始した2018年からお付き合いがある主要代理店の株式会社池田理化様(※)にご助力をお願いいたしました。池田理化様は快くお引き受けくださり、3日間の会期中、毎日お二人がランチョンセミナーの運営を助けてくださいました。特設会場受付にて:左から、株式会社池田理化 小林太朗様、株式会社池田理化 戸塚洋輔様、ベクタービルダー・ジャパン株式会社 代表取締役亦勝実穂博士
亦勝実穂博士:
「株式会社池田理化様のご助力なしでは、ランチョンセミナーの円滑な運営は難しかったでしょう。ベクタービルダー・ジャパン一同、心より感謝申し上げます。」
(※)株式会社池田理化
研究者の一番近いところで最新の技術情報をもとに最適な研究環境の提供を専門とする理化学機器の専門商社です。「最大の強みは豊富な製品数と商社としてのノウハウで、国内外1,000以上のお客様のあらゆるニーズにお応えしています」
https://www.ikedarika.co.jp/
プロジェクト成功の理由その4:年会運営事務局様との密な連携
年会運営事務局様とは密に連携させて頂き、多大なご尽力を頂きました。お蔭様で、少人数で大きなイベントをやり遂げることが出来ました。この場をお借りして深くお礼申し上げます。
(左)ポスター会場内にあるフォトスポット。最終日には記念写真を撮ろうとする人々で行列が出来ました。
(右)毎日夕刻に、バイオリンのライブ演奏がありました。
成果・反響
特設会場での18講演のセミナーには、延べ426名の方にご来場頂きました(現地参加・オンライン視聴の合計速報値)。
アンケートには「非常に興味深かった」「製造レベルの話が大変面白かった」などのお声を頂けました。アンケートにご記入頂いたご質問から商談に発展し、受注に至ったケースも生まれました。
企業展示ブースにも予想を上回る多くの方にお越し頂き、弊社ポータルサイトでのベクター設計をその場で試して頂いたり、カタログやポスターを見ながらディスカッションさせて頂いたりと、充実したプロモーションを行うことが出来ました。
神戸で開催される来年の分子生物学会にも、ベクタービルダー・ジャパンは協賛させて頂く予定です。皆様の研究のお役に立つ良い展示・良い講演を来年も行いたいと、いまからワクワクしています。ご来場をお待ちしております。
第46回 日本分子生物学会年会
https://www2.aeplan.co.jp/mbsj2023/
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