1995年に誕生したキッコーマンの濃縮つゆ『本つゆ』。リニューアルを経て『濃いだし 本つゆ』の名称となった今なお、多くの方にご愛用いただいている商品です。
2025年は発売から30年の節目。国産原料の使用や、発売当初から受け継いできた削りたての節へのこだわりなど、変わりゆく人々の暮らしや食卓にどう寄り添ってきたのか──。その軌跡を、キッコーマン食品株式会社 プロダクト・マネジャー室 つゆ・和風調味料グループの村垣祐介に聞きました。

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『濃いだし 本つゆ』はだし原料国産100%、さらに、削りたての節を使用

『濃いだし 本つゆ』は、めんつゆとしてはもちろん、料理の味付けにも活用できる万能調味料です。1995年の『本つゆ』発売当初から原料にこだわっています。『濃いだし 本つゆ』のだし原料はすべて国産。また、削る前の丸ごとの「節」を仕入れ、自社工場で削ってから抽出することで、削りたてならではの新鮮かつ豊かな風味を引き出しています。

さらに、しょうゆを製造するメーカーの矜持として、しょうゆには並々ならぬこだわりがあります。「本当にだしに合うしょうゆ」を追求し、数あるしょうゆの中から、だしの風味を引き立てながらしょうゆ自体のうま味をもったものを選び抜きました。

時代の流れに合わせて変化してきた、キッコーマンの『本つゆ』

1990年代は、お客様の嗜好が多様化し、差別化された商品が求められるようになっていました。そんな時代に誕生したのが、大豆を丸ごと使った『特選 丸大豆しょうゆ』(1990年発売)のような高付加価値の商品。つゆについても、市場に定着できる強いブランドを生み出すべく、1992年に削りたての節と丸大豆しょうゆを使った、ストレートタイプの『ざるそばつゆ』『そうめんつゆ』を発売しました。


これらの売れ行きが好調だったことを受けて開発に着手したのが、同じく削りたての節を使った本格的な3倍濃縮のつゆ『本つゆ』です。1994年につゆ・たれの支出額がしょうゆの支出額を上回った(*)ことから、ステーキ用のしょうゆの発売など、つゆ・たれ類のラインアップ拡大を検討する中でのことでした。共働き家庭の増加により調理にかける時間が短くなったこの時代、味が簡単に決まるつゆ・たれの使用量が増えるのは自然な流れです。そこでつゆの「汎用性」を考えたときに導き出されたのが、「冷たい麺だけでなく温かい麺も、その上、季節を問わず料理にも使える商品を」という答えでした。

(*)出典:総務省統計局(家計調査 二人以上世帯、年間)

当時のことを知る社員に聞くと、しょうゆ市場の縮小に対しては相当な危機感を抱いていたそうなので、『本つゆ』への期待度は高かったと思います。実際のところ、プロジェクトの規模も大きく、商品開発だけでなく営業の支社長やマネジャーなどがチームを組んで、商品のコンセプトから販売まで一気通貫で進めていたのだとか。ちなみに、販売用の資料には麺職人の格好をした人物が『本つゆ』をアピールする写真が載っているんですが、実はこちらも全員、キッコーマンの社員なんです。全社一丸となって取り組むことで、社員のモチベーションを上げながら進めていったんですね。

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当時の資料に残る、職人に扮したキッコーマン社員



全社を挙げての開発で本格的なつゆを目指した『本つゆ』は、原料にも大いにこだわりました。キッコーマンはしょうゆだけでなくみりんも製造しているので、自社のプライドをかけてしょうゆとみりんは上質なものを選択。もちろん、だしにもこだわり、削りたての節を原料としていました。

かくして1995年に発売を迎えた『本つゆ』。

100万人のお客様へお届けしようと、全国の店頭で試食販売を行うなど、プロモーション活動も盛んでしたが、発売当初からすべて順調に進んだわけではありませんでした。つゆの色やだしの種類などはエリアによって嗜好が異なるため、お客様の声を聞きながらスピード感をもって改良し続けたことで、全国的なつゆブランドへと成長していったんです。

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素材の上質さとおいしさをうたう、『本つゆ』誕生時の広告





2016年のリニューアルで誕生した、4倍濃縮の『濃いだし 本つゆ』

順調に拡大を続ける濃縮つゆ市場でしたが、『本つゆ』の誕生から15年を経過したころから陰りが見えはじめました。その背景にあったのは、人口の減少と共働き家庭の増加です。世代別の濃縮つゆの購入量を調べてみると、30代~40代のお客様が明らかに減少。同時に見えたのが、この世代の方々は麺だけでなく、料理にも使う人が増えているということでした。こうした流れを受け、2016年に『本つゆ』のリニューアルを実施。もともと万能調味料であることを目指した商品でしたが、より使いやすく、これ1本でどんな料理にも頼れる存在となるべく生まれ変わったんです。

『濃いだし 本つゆ』と名付けられた本商品の最大の変更点は、濃縮3倍から4倍になったこと。また、より香りを出すために、新たなだしの取り方の「だし香り抽出製法」と、深いコクとまろやかな味わいを生み出す特許製法「熟成かえし製法」を採用しています。しょうゆを寝かせてつくるかえしは、そば屋などで使われるもの。うま味が強い半面、穏やかでだしを引き立てる力がありますが、工場の規模で効率良く、安定した品質でつくるのはかなり難しかったそうです。



リニューアル後のパッケージには、だしの原料が国産100%であることを明記しました。そしてこれは豆知識ですが、パッケージの裏面に書かれている「原材料名」には、その材料が工場に搬入された状態を記載しなければいけません。たとえば、節について「粗砕」や「粉砕」と記載がある場合には、既に削られている節を使用していることになります。

『濃いだし 本つゆ』のパッケージを見ると、原材料名に「節」という記載があります。つまり、「削り節」ではなく「節」の状態で仕入れていて、キッコーマンの工場内で削っているということ。削りたてのかつお節で取るだしは、香りが違います!これはリニューアルしても変わることのない、発売当初からのこだわりです。

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また、新たに「くびれプッシュボトル」を採用したのも、リニューアル時の変更点。キッコーマンの『いつでも新鮮 しぼりたて生しょうゆ』に採用された1滴ずつ出せるボトルをヒントとしており、密封ボトルではありませんが、量の調整がしやすく持ちやすい容器です。ボトルのくびれ部分を押すと、使用する量を自在に調節できる上、手にフィットして持ちやすく片手で注げ、狙ったところにも注ぎやすいので、つけ・かけ、炒め物などに使いやすくなりました。

さらに細かい点ですが、中栓がなくなったこともお客様に高く評価されています。中栓を開ける手間をかけたくないという方は意外と多く、キャップの外装シールを外せばすぐに使えると好評です。

少量でしっかり味が決まる。
4倍濃縮が生きる『濃いだし 本つゆ』活用術


『濃いだし 本つゆ』を使っているお客様からよく聞かれるのは、4倍濃縮となったことで使い方の幅が広がったということ。2倍や3倍濃縮のつゆが多い中で、『濃いだし 本つゆ』は4倍濃縮なので味が濃くて少量で味付けできます。そのため炒め物でも水っぽくなりにくく、弁当のおかずに使えば汁もれの心配が少なくなるという声もあります。

また、4倍濃縮だと単純にお得。濃縮つゆに水を加えて80mlのつけつゆをつくったとき、500mlだと2倍濃縮は約13杯分、3倍濃縮は約19杯分ができますが、『濃いだし 本つゆ』は25杯分と経済的なんです。原料や製法にこだわり、濃縮倍率を高めながらも多くのお客様がお求めやすい商品を目指した本商品。1本あれば料理がもっと簡単に、おいしくなるので、ぜひお試しいただきたいです。

個人的には、フライパンひとつでできる「豚バラキャベツのだしバタおかず鍋」がおすすめ。野菜と『濃いだし本つゆ』の水分だけで蒸す、うま味が凝縮した「ごはんに合う蒸し鍋」です。また、この商品は濃いので、しょうゆ代わりとして冷奴や卵かけごはんにも使えます。キッコーマンのサイト内にある「濃いだし 本つゆでつくるレシピ集」では、500品以上のレシピが紹介されているので、使い方に迷うこともありません。

『本つゆ』30年に見る食卓の進化──“めんつゆ”が変えた家庭の味


「濃いだし 本つゆでつくるレシピ集」には、料理家とのコラボレシピも掲載

食にまつわるシーンに笑顔を。

これからのつゆづくりに向けて思うこと

近年は食生活も多様化しています。家族が異なる時間、異なるメニューで食事をする「個食」や、すぐに食べられる「即食」といった言葉もよく耳にしますが、いろいろな人がそれぞれの食の時間を過ごしている点には、真摯に向き合っていきたいですね。また、日本の季節は四季から「猛暑」が加わった五季に変化したと捉えているので、それに合わせた商品展開やメニュー提案も強化していきたいと思います。

私たちキッコーマンは、食にまつわる体験から得る楽しさや喜び、しあわせな気持ちを「おいしい記憶」として大切にしています。コーポレートスローガンである「おいしい記憶をつくりたい。」の考えのもと、食を通して笑顔になれるような、そんな商品をお届けしていきたいですね。

おかげさまで『濃いだし 本つゆ』は、幅広い年代のお客様からご支持をいただいております。特に30~40代のお客様からの支持が高く、同年代におけるシェアNo.1を獲得(*)しています。先日もX(旧Twitter)で「本つゆ30周年キャンペーン」を実施したところ、「本つゆと同年代です」「子どもの頃からずっと家にありました」といった多くの投稿をいただきました。こうした声を拝見しながら、『本つゆ』はお客様とともに歩み、育てていただいたブランドなのだと、改めて感慨深く感じております。

(*)出典:インテージSCI 濃縮麺つゆ市場 2024年4月~2025年3月 購買金額シェア

いろいろな人の思いが込められ、支えられながら30周年を迎えた『濃いだし 本つゆ』は、これ1本あれば間違いない――そう胸を張れる商品です。これからの30年も、その先も、多くの人にとって頼りになる相棒的な存在としてあり続けたいと思っています。

商品・サービス情報

濃いだし 本つゆ

『本つゆ』30年に見る食卓の進化──“めんつゆ”が変えた家庭の味


【だし原料国産100%/削りたての節使用】濃縮4倍でコスパが高く、だし味のきいたさまざまな料理がつくれる万能めんつゆです。
麺や鍋料理はもちろん、炒め物も!定番・人気レシピを1本でつくれる使い勝手と、本格的なだしの味わいが魅力です。

ブランドサイト:https://www.kikkoman.co.jp/kikkoman/hontuyu/
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