インターネット回線や電力、ガスといったジャンルで、月間100万PVを超えるWEBメディアを運営してきた株式会社ブレイブ。「生活インフラ」という生きる上で欠かせないジャンルだからこそ、正しい情報を、誰が読んでも分かるようにお届けしてきました。


2022年6月、ブレイブはインターネット・電力・ガスをまとめてシミュレーション・申込みができるWEBサービス「クラシェルジュ」をリリースしました。これまでありがちだった情報を一方向からお届けするサイトから、読者自身が選び、比較し、手続きまで行える参加型のサービスとしてゼロから開発しました。

多くのアクセスを集めるサイトを既に持ちながら、新たなサービスをゼロから始めた背景には、多くのサービスが「自由化」されていく中、自ら情報にアクセスし、正しく選択するという行為が、既存の業界のやり方では達成できないという危機感がありました。

今回は、クラシェルジュ開発担当の伊藤雄次、長井勇樹がサービス開発の経緯を振り返り、今後の展望と想いを語りました。

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


「小学生が読んでも分かる」をモットーにした、わかりやすい言葉で情報提供を続けてきた

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―弊社では業界に先駆けて、インターネットや電力といった、自分で選ぶ生活インフラに関する情報サイトを8年以上運営してきました。

かつては光回線といえば「フレッツ光」だけでした。また電力も同様に、地域の会社としか契約できない仕組みでした。

これら生活インフラサービスが自由に選べるようになったのが今から8年ほど前、2015年~2016年頃です。弊社では真っ先に情報サイトを立ち上げ、各社の比較や詳細なレビューなど、ユーザーが選ぶ際に役立つ情報をお届けしてきました。(長井勇樹、以下、長井)

―サイトの運営では、「小学生が読んでも分かる内容にすること」を強く意識しています。

インターネット回線にしろ電力にしろ、これまでは決められた会社とのみ契約してきたため、その仕組みやサービス内容、料金体系等について詳しく知らない方がほとんどでした。そのためいざ選べるとなっても「よくわからない」というのが現状です。

一方でこれらのサービスは生活する上では必須のインフラサービスです。
「契約しなきゃいけないのに難しくてよく分からない」という状態を避けるため、全く専門知識のない方、つまり小学生でも分かるように平易で丁寧、分かりやすい情報提供に努めてきました。(伊藤雄次、以下、伊藤)

よく見るランキングが正しいとは限らない。多様なユーザーにとって最適な情報を届けることに課題感を持っていた



ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―自由化から数年が経ち、インターネット上には情報発信サイトが増えていきました。ユーザーが得られる情報が増える一方で、新たな問題が生じたんです。

みなさんも感じたことがあるかもしれませんが、よく見る「〇〇おすすめランキング10選」などの記事が正しいとは限らない、という話です。

決してサイト運営者がでたらめを書いていると言いたい訳ではありません。むしろ記事を書く側はどうにか正しくランキングを付けようとします。しかしユーザーの生活スタイルや状況が多種多様すぎるため、読んでくれているその人にとって最適とは必ずしも言えないのです。(伊藤)

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―例えば「一人暮らしにおすすめのランキング」と絞ったとしても、その単身者が勤労世代なのかそうでないのか、仕事のスタイルは日勤なのか夜勤なのか、住んでいるのは都市部なのか郊外なのか、はたまた山間部なのかによってランキングは全く変わります。しかし記事で伝えるにはどうしても限界があります。

また、そもそも生活インフラの選択は「面倒な契約ごと」という印象が強いため、長々と書いたとしても、ユーザーは読んでくれないというのが実際です。

そしてWEBサイトの中にはこうした選択の難しさを逆手に取り、贔屓にしているサービスをランキングに多数掲載する、というところも増えてしまいました。


結果として、本当にいいサービスに巡り合うことができず、自由化されたにも関わらず、結局なんとなくで決めてしまうという状況が続いていたのです。(長井)

ある一人の読者からの電話で、生活インフラは人生の一部なんだと実感した



ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―こうした「ユーザーが正しく選べない」という問題を、実際に実感する出来事がありました。

ある日、弊社に一本の電話が入りました。お相手は50代前後の女性で、焦った様子でした。曰く「一人暮らしをしている娘が契約した電力会社が、かなりの高額な電気代になっている。支払えないでいたら強制解約になってしまい、困っている」とのことでした。

詳細を聞くと、とても一人暮らしの方には推奨できない料金プランを契約していることが分かりました。その方には詳細を説明の上、今後の対応をお伝えし問題は解決しましたが、当時は真冬で、とても電気がないと生活できない時期でした。改めて生活インフラは人生の一部なんだと感じました。(伊藤)

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―サイト運営ではデータやユーザー行動を定量的に見がちですが、その奥にはリアルな生活があるということを改めて気付かされた出来事です。

上記は特に記憶に残っている一件ですが、似たような契約の困りごとは多くメールやコメントで寄せられています。内容も料金に関する困りごとから、解約におけるトラブル、ネット回線の通信環境の問題など様々です。

既存の一方向からのみの情報提供ではダメだと実感し、ユーザー参加型のサービスを作ろうと動き出しました。
(長井)

いざ開発スタート!しかしコロナ禍とエネルギー問題の直撃を受け、オンライン特化のサービスに転換した

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―インターネット上だけでの情報提供ではどうしても限界があると感じ、対面・実店舗型の展開を想定して新規サービス「クラシェルジュ」の開発を始めました。

要件定義およびビジネススキームが固まり、満を持して開発を進めていた矢先、新型コロナウイルス問題が直撃しました。

さらに追い打ちをかけるように、世界的なインフレ、エネルギー不足などを背景とした電気代の高騰により、電力会社の事業撤退が相次ぎました。

電力の乗り換えを収益化の大きな柱として考えていたため、マネタイズ面でも大きな障壁が立ちはだかることになったのです。(伊藤)

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―こうした社会情勢の変化を受け、社内で改めて知恵を絞り合いました。結果、私たちが実現したいことはオンラインでも出来るのではないか、むしろ自分たちの強みはインターネット上で生きるのではないかと考えました。

私たちの強みとは、ユーザーの細かなニーズや注目されるキーワード、WEBページのクリック率などのデータを元にサイトに落とし込めるということです。

方針転換を受け、当初、対面でコンシェルジュが案内しようとしていた内容も、全てWEBサービスの中で実装していくことにしました。

いざ開発を再開し、サービスとしてローンチした後も、最初は当然数字的に厳しかったです。それこそ売上は0円という時期も続きました。それでもサービス展開を続け、ローンチ1年で前年比700%の収益増まで拡大することができました。(長井)

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―収益化できた理由として一番大きかったのは、広告費をかけずにやれたということです。私たちの強みはWEB、とりわけSEO(検索エンジン最適化)について知見が深いところにあります。


SEOではユーザーが検索して自らアクセスしてくれるため、広告費をかけて露出する必要がありません。また、インターネットや電力といったジャンルで長年やってきた経験から、市場の中での穴場、いわばブルーオーシャンを探すこともできました。(伊藤)

―「選択と集中」というのもテーマでした。もちろんサービスとして大きくするために幅広く展開したかったのですが、最短で収益化につなげるにはある程度狙う幅を絞り込む必要がありました。具体的には取り扱う商材の数です。

幸い、長年の経験からどの商材を狙えば収益化しやすいか、費用対効果が高いかということを知っていました。幅広く扱いたくなる気持ちを抑え、今はここにリソースを限定して投下する、といった判断で進めてきたことが、収益増に繋がった理由と考えています。(長井)

私たちのミッションは、クリアで快適な選択体験を提供すること

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―クラシェルジュのミッションは「クリアで快適な選択体験を提供する」ことにあります。

クラシェルジュのサービスはシミュレーション・申込ができる機能コラムでの情報発信の2本立てで構成されていますが、特に注力したのは前者です。

シミュレーション機能では地域と住居のタイプ、世帯人数の3つの情報を入れるだけで膨大なデータから最適なサービスを算出して提示します。一目でどのサービスがお得かがわかるように、節約額をグラフ化したり、詳細検索の機能を充実させました。

特に詳細検索は、文字ベースの記事では反映できなかったユーザー個々のニーズをくみ取れるように、可能な限り細かく設定しています。これまでのサイト運営で培った知見をもとに、かゆいところに手が届くように設計しました。
(長井)

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―例えば「単純な節約額だとA社の方がお得だけど、あなたがよく使うこのポイントがたまるB社の方がトータルで考えればお得ですよ」「新規で回線を引くなら、キャッシュバック額が高いA社より工事費がそもそもかからないB社の方が安くなります」など、詳細検索を通じて絞り込んだ提案ができるようになっています。

また、インターネット回線と電力、ガスをセットで契約できる場合、そのお得な組み合わせも提示しています。インターネット回線だけ、電力だけの比較サイトではないため、一つのサイトの中で行き来しながら比較・検討できるのもクラシェルジュの強みだと思っています。

なお、インターネット回線の事業者さんとは幸運なことに何社かお取引があるのですが、電力の事業者さんはまだ開拓中の段階です。ぜひクラシェルジュにご興味を持っていただけた会社さんは、ご一緒にお取り組みできればと思います。(伊藤)

契約手続きという「面倒ごと」からの脱却。ワクワクする未来のためにサービス開発を続けてゆく



ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー


―インターネット回線にしろ電力にしろガスにしろ、多くのみなさんにとっては「面倒な契約ごと」でしかないというのが現状だと思っています。私たちのひそかな夢として、こうした生活インフラの契約を「ワクワクするもの」に変えられたらという思いがあります。(長井)

―例えば友人や知人と食事をするのでお店を選ぶ、となった場合、そのお店でどんな美味しい料理が食べられるのか、そこでどんな楽しい会が開けるのか、ワクワクしながら探しますよね。洋服を選ぶ際も、それを着てどんな自分になれるだろうか、どこへ遊びに行こうかなど、楽しい想像を膨らませると思います。

生活インフラの契約でも、同じようにワクワクしながら選んでいただけるようにしたいのです。「この会社を選んだらこんなメリットが受けられるんだ」「こんなに快適に利用できるようになるんだ」など、クラシェルジュを通してワクワクする未来を想像していただけるように、これからもサービス改善に全力で尽力していきます。
(伊藤)

■「CRACIERGE(クラシェルジュ)」について

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【サービス概要】

インターネット・電力・ガスをまとめてシミュレーション・申込みができるWEBサービス

居住地や家族構成・ライフスタイルなどからひとりひとりに合ったサービスをご案内します。

サイトURL:https://cracierge.jp/

コラムページ:https://cracierge.jp/articles/

【サービスの特長】 

・店舗に行かずオンライン上で契約が可能

・「毎月の支払いを安くしたい」「ポイントを貯めたい」など様々なニーズに対応

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー
長井勇樹 

株式会社ブレイブ Webマーケティング事業部

サブマネージャー

2019年入社。WEBディレクター兼ライターとしてオウンドメディア運営に従事。現在はクラシェルジュの事業責任者として各種マーケティングおよびユーザーエクスペリエンスの最適化を行う。

ライフラインの契約を「ワクワクするもの」に変える。コロナ禍と電力会社の事業撤退による危機を乗り越えて成長する「クラシェルジュ」の開発ストーリー
伊藤雄次 

株式会社ブレイブ Webマーケティング事業部

開発責任者

2020年入社。WEBライターとしてスタートし、2021年からはフルスタックエンジニアの経験を活かし社内のシステム開発とメディア保守管理を兼務。現在はクラシェルジュ開発責任者として、ライターチームと連携しクラシェルジュのサービス向上を担う。
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