顧客ビジネスの現場には、AIの活用やデジタル化が進む一方で、数字や効率だけでは測れない、人の迷いや感情の揺らぎ、言葉には現れない不安が存在します。そうした人の心が動く瞬間に寄り添う力は、人にしか生み出せない価値であり、これからも顧客ビジネスの根幹であり続けるはずです。


では、その価値や現場力をどう育て最大化していくのか。

そして企業や現場は何を備え、どう支え合うべきなのか。

本ストーリーでは、店舗や販売員の育成・マネジメントを通して現場力を高めてきた株式会社BRUSH 取締役会長 秋山恵倭子と、DX推進により総合人材サービスの提供価値向上に取り組む株式会社iDA 経営改革本部 執行役員 渡邊佑樹が対談。ファッション・ビューティー業界を専門に多様なソリューションを提供するワールド・モード・ホールディングスのグループ企業として、日頃から協力し、現場の課題に向き合ってきた2社だからこそ語れる”問いへのヒント”を探っていきます。

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写真左から:㈱iDA 経営改革本部 執行役員 渡邊佑樹、㈱BRUSH 取締役会長 秋山恵倭子

AIでは代替できない、人が生み出す価値とは何か



ーファッションの店頭や人材サービスの領域においてAI活用やデジタル化が進んでいるかと思います。どのような変化を感じていますか?

渡邊:人材サービスに関しては、職歴を入れたら自動マッチングするなど、ある程度AIで置き換えられる部分もあります。ただ、その結果に対して背中を押してあげたり、将来を想像させてあげることができるのは人の力だと思います。

秋山:販売の現場でもAIやデジタルによる効率化は進んでいますが、店舗が提供する価値や体験は代替できません。私は販売の本質を「人に幸せを届ける仕事」だと思っています。ものを買う行為は人生の選択の一つ。その瞬間に立ち会って、お客様の迷いを希望に変える。気持ちに寄り添う対応は、人にしかできないことです。

ー「ここはデジタルに任せる」「ここは人が担う」という線引きはどのように考えていますか。


秋山:クライアントに合わせた課題解決や研修などは人でないと担えない部分です。そこにより注力できる環境を整えるために、ツールやシステムなどのデジタル化を進めています。

渡邊:iDAでは、リサーチ、商品検索や数値管理、システム間連携など、人よりデジタルが得意な領域で効率化を図っています。例えば、今まで各自がExcelで管理していたデータをダッシュボード化したり、面談でヒアリングした内容の要約、職務経歴書や履歴書の作成にAIを活用することで、稼げた時間を求職者との対話など人が担うべき対応に充てることができます。もちろん人によるチェックは必要です。その点は注意をしながら進めています。

ー うまく使える人と、そうでない人の差も出てきそうですね。

秋山:自分の考えが煮詰まったときに整理してもらう、知らないことを調べる、といった補助的な使い方なら良いと思います。とても便利ですが、怖いのは丸呑みしてしまうことです。AIは人を否定しないので、それが問題だと感じています。

渡邊:確かに、思考を深める使い方は素晴らしいと思いますが、何も考えずに使うと効率化ではなく思考停止を招く恐れがありますよね。目の前の情報を鵜呑みにするのは以前からある課題で、それがAIになって顕在化しているのかもしれません。
情報を受け止めて自分で咀嚼し、自分なりの考えを持って発言する。そして批判的思考を持ち、掘り下げて考える。自分の中でそういう仕組みを持つことが益々重要になるのだと思います。

AI時代にこそ高まる「人にしか生み出せない価値」──BRUSHとiDAが考える、現場の力を最大化する支援とは【WMH STORY vol.6 店頭支援編】


サービスの提供価値を高めるために、現場の力をどう引き出すか



現場を担う人たちの力を引き出し、サービスの提供価値を高めるために、取り組んでいることや意識されていることはありますか?

秋山:販売員の皆さんには、販売の仕事の素晴らしさ、人が提供できる価値とは何かをしっかりとお伝えしています。ファッションは服だけの話ではなく生活や人となり全てに通じています。「どんな空気をまといたいのか」が装いに現れるので、お客様の背景までをよく見ていないと、正しいご提案はできません。

そして、リテールのビジネスで何よりも重要なのは「自分を買ってもらうこと」です。まず信頼していただかないと始まらない。どんな人から買いたいか、信頼されるのはどんな人かを自分で考え、答えを見つけることが必要です。だから、私は教えるというより問いを投げかけるようにしています。

渡邊:私の場合は「人がやらなくていいところ」を積極的にデジタルに置き換えていき、人間力だけに集中してもらえる環境を整えています。

ーデジタル化が進む中で、現場には「自分の仕事がAIに取られるのでは」と不安になるスタッフもいるのではないでしょうか?

渡邊:人材サービスの仕事は、人が時間をかけて人と向き合う仕事なので、仕事がAIに置き換えられることはないと思っています。むしろ、その人たちの生産性や仕事の価値を最大化するためのサポートをしてくれる存在です。
私が裏方となってそういう支援をしていくので、求職者と向き合う皆さんには、今の仕事を愚直に続けることを大切にしてもらいたいです。

ー販売の現場についてはどうですか?

秋山:販売員はお客様以上にブランドや製品の知識を持っていなければならないし、販売技術や高い感度が求められる。クリエイティビティの高い専門職です。販売員の皆さんには、自信を持って続けてほしいということをお伝えしています。

AI時代にこそ高まる「人にしか生み出せない価値」──BRUSHとiDAが考える、現場の力を最大化する支援とは【WMH STORY vol.6 店頭支援編】


同時に、販売という仕事とどう向き合うかという問いかけもしています。商品を覚えて語れるようになるまでには時間がかかります。働き方の選択肢が多い時代とは言え、身につける前に次へ移ることを繰り返してしまうと、キャリアアップのつもりがキャリアチェンジを重ねているだけになってしまうこともあります。だからこそ、仕事の価値やキャリアについて考える大切さについてもお話しています。

渡邊:働いてみないと分からない部分もあるので、試行期間として必要な側面もあるかと思います。ただ、キャリアの積み重ねや仕事への責任意識の持ち方にも関わるので、キャリア支援をする上でのひとつの課題として捉えています。

求められるのは「人間力」と「責任感」。見極め、育てるために大切なこと



ー ”人の仕事”がより重要になる中で、求められる人材像とは?

秋山:販売で一番大事なのは「人間力」です。
知識はAIが補えますが、人を思いやる気持ちや倫理観はAIには作れません。販売員はチームの仕事です。倫理観やモラルに対する意識が揃わないと、組織はうまくいきません。

渡邊:人材サービスも同じです。人間力の根底にあるのは「責任感」だと思っています。AIはレスポンス(response)はできてもそこに責任(responsibility)はないですよね。採用活動はその人の人生に関わる仕事だからこそ、相手のために責任を持って発言や行動ができることがより一層重要になっていくと考えています。

ー責任感や人間力のある人をどう見極めたり、育てたりしていますか。

秋山:見極めるという点では、「当たり前のことを当たり前に考えられる人か」という基本的な姿勢を重視しています。育成に関しては、まだまだ課題に感じています。仕組み化や言語化が必要だと思いつつ、小さな組織ゆえに私自身がプレーヤーとして動くことも多くあります。その分、私自身の仕事への向き合い方が見られているという意識を持って行動しています。


渡邊:責任感や人間力の見極めは難しいですね。正直、一緒に働いてみないと分からない部分もあるので、瞬時に深いところまで見抜くというより、懸念点がないかを丁寧に確認するイメージです。育てる面では「問いかけ」を大切にしています。「それは求職者のためになるのか?」という軸を常に持ち出すことで、判断基準が自然と身についていくと思っています。

現場が”人がやるべき仕事”に集中できる環境づくりへ



ー 今後取り組んでいきたいことを教えてください。短期・長期の視点で、デジタル施策やAIとの向き合い方も含めてお願いします。

秋山:デジタル化は今後必須だと考えています。まずは私たちが正しく理解し、店頭や現場にとって何が役に立つかを考え形に落とし込んでいくとともに、提供しているコンテンツも改良していくつもりです。店舗の成長を支援するための有益なツールとして活用していきます。

渡邊:人がやるべきところ以外はデジタルで最短化し、人の生産性を高めたいです。例えば、コーディネーターが全ての求人を完璧に把握して、目の前の求職者に最適なものを提案するのは正直難しい。そこにデジタルを介入させることで、裏側でレコメンドを出し、コーディネーターが責任を持って判断し提案できるようにサポートする仕組みを整えていきたいと考えています。
加えて来期は、派遣されたスタッフがより高いアウトプットを出せるようなサービスやアプリケーションなどの開発も検討しています。販売の現場を私たちのノウハウとテクノロジーの力でもっと支えていきたいです。

AI時代にこそ高まる「人にしか生み出せない価値」──BRUSHとiDAが考える、現場の力を最大化する支援とは【WMH STORY vol.6 店頭支援編】


※WMH STORY vol.1~vol.5もぜひご覧ください。

創業25年を迎えたiDAが事業拡大とV字回復を実現した理由 。ファッション・ビューティー領域に特化した総合人材サービスで唯一の存在に。【WMH STORY 人材・教育編 vol.1】PR TIMES STORY×現場の持続可能性を支える”人”への投資 ー ファッション・ビューティー業界にいま必要な教育とは【WMH STORY 人材・教育編 vol.2】PR TIMES STORY×広告会社から統合マーケティング企業へーAIADと双葉通信社の軌跡から読み解く、日本のファッションマーケティングの変遷【WMH STORY マーケティング編 vol.3】PR TIMES STORY×日本発ブランドを世界へ。WMHの総合支援とGDXのECビジネスの融合で実現する、新たな海外進出支援とは? 【WMH STORYマーケティング編 vol.4】PR TIMES STORY×「売れる店」だけではなく「選ばれ続ける人」へ。BRUSHが提供する、店舗づくりの本質【WMH STORY vol.5 店頭支援編】PR TIMES STORY×

【株式会社BRUSH について】

2015年設立の、ワールド・モード・ホールディングス株式会社のグループ企業。各種研修(セールステクニック・マネジメント・階層別トレーニングなど)から店舗運営に必要なメソッド(計数管理・顧客育成・イベント管理など)、OJT教育までをワンストップで実施。プロのリサーチャーによる店舗診断や接客マニュアル制作なども行う。店舗運営の課題をクリアにして可視化させ優先順位を付ける、本質的なソリューションとコンサルティングを提供しています。https://brush-mode.jp/

【株式会社iDA について】

1999年3月創業。ワールド・モード・ホールディングスのグループ企業であり、ファッション・ビューティー業界を中心にクライアントニーズに応じて人材紹介、派遣、教育、店舗運営などトータルメニューでサービスを提供。求職者のキャリアプランやライフスタイルに沿った提案を行い、年間約1800人の社員転籍等を実現しています。

https://www.ida-mode.com/

【ワールド・モード・ホールディングス株式会社について】

ファッション・ビューティー業界を専門に人材やデジタルマーケティング、店舗代行など様々なソリューションを提供するグループ。iDA、BRUSH、AIAD、AIAD LAB、フォーアンビション、VISUAL MERCHANDISING STUDIO、双葉通信社 の7 社の国内事業会社および シンガポール、オーストラリア、台湾、ベトナム、マレーシアに海外拠点を持ち、専門性の高い各社のシナジーによって、クライアント企業の課題に応じた実効性の高いソリューションを提供しています。https://worldmode.com/
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