株式会社ジェーシービー(以下:JCB)は、2004年から安全なクレジットカード決済とグローバルでの互換性を促進する「EMVCo(イーエムブイコ)」に参画しています。JCBがEMVCoに参画し20周年を迎えた現在まで、さまざまなプロダクトや仕様の検討・開発、啓蒙などに携わってきました。


今回は、EMVCoの具体的な活動の1つとして、「IC関連プロダクト」の取り組みについて、塩田さん、湯浅さん、岩﨑さん、藤本さんにお話をうかがいました。

EMVCoの詳細については、こちらの記事も合わせてチェック!

■JCBがEMVCoに参画して20周年!世界中で安心してカード決済できる舞台裏に迫る

【前編】

https://pr.global.jcb/n/n0aaa668581df?utm_source=prts0528&utm_medium=emvco&utm_id=prts0528https://prtimes.jp/story/detail/db8lkNIgYQb

【後編】

https://pr.global.jcb/n/n953df6cb1487?utm_source=prts0528&utm_medium=emvco&utm_id=prts0528

ICとは?キャッシュレス社会を支える技術の全貌

――今回のテーマであるICはどのようなものか教えてください

湯浅: IC(Integrated Circuitの略)自体は一般名称なのですが、今回のテーマにおいては、対面取引に関わるIC取引技術全般を指しています。①クレジットカードを端末に差し込む決済(接触IC)、②Apple PayやGoogle Payを使ったスマホ決済、タッチ決済(非接触IC)などが代表的な事例です。これらの決済をするために、プロダクトとしては、カード端末機やリーダーライター、ICチップ搭載の接触・非接触カード、スマートフォンの決済アプリが挙げられます。

最近ではスマホ自体を決済端末として活用するケースも増えており、この技術でもICを利用していますね。

【前編】JCB×EMVCoの挑戦! アジア代表としてIC決済の標準化で築く、キャッシュレス社会の未来


――IC決済の標準化が必要になった背景や、標準化前に存在していた課題は何でしたか?

塩田:現在のクレジットカードにはICチップが搭載されていますが、1990年代頃磁気ストライプ付きクレジットカードが主流でした。国ごとに規格が異なり、海外で使用できないことがありました。また、磁気ストライプはスキミング被害が多く、セキュリティ面での課題も散見されました。これらの課題を解決するため、業界ではIC決済の導入が進み、IC決済仕様の標準化や安全性向上を目的として、EMVCoとしての取り組みが始まりました。

【前編】JCB×EMVCoの挑戦! アジア代表としてIC決済の標準化で築く、キャッシュレス社会の未来


業界全体の発展へ向けて。EMVCoが担うIC決済の標準化とJCBの役割

――EMVCoはIC決済の標準化に向けて、具体的にどういった取り組みを行ってきましたか?



塩田:EMVCoではIC決済の標準仕様を策定しています。まず、カード会社やシステム開発ベンダーなどのステークホルダーの意見を収集し、仕様案を策定します。その後、業界関係者と調整しながらフィードバックを受け、最終的な標準仕様を決定するプロセスを取っています。

湯浅:仕様の策定に加えて、製品が仕様通りに開発されているかを確認するためのテストケース策定やテストツール準備もしています。仕様が導入されると、市場で新たな課題が発生することもあるため、端末やカードのエラーを分析し、継続的な品質向上にも取り組んでいます。


【前編】JCB×EMVCoの挑戦! アジア代表としてIC決済の標準化で築く、キャッシュレス社会の未来


アジア代表としての使命。JCBが推進するIC決済のグローバル標準化

――JCBはICの標準化においてどのような取り組みを行いましたか?

塩田:EMVCoでは年に数回、業界のステークホルダーと仕様の標準化やそれに関連する活動について議論し、専門的な質問にも対応しながら進めています。標準仕様を作成するワーキンググループが多数存在しており、私自身、仕様書を作成するワーキンググループの議長を務めています。

湯浅: JCBは日本やアジアを代表するブランドを意識して、国際標準への反映に取り組んでいます。EMVCoの議論では欧米の商習慣に偏りがちですが、日本やアジアの決済文化を取り入れるよう働きかけています。例えば、IC化初期の頃には、ガソリンスタンドなどでの有効性チェックの方法などガイドラインを策定し、業界全体のスムーズな運用作成を行いました。

藤本:また、スマートフォンを決済端末として利用する際のカード/モバイル読み取り性能や、日本特有のFeliCaを搭載したカードの動作検証も行い、標準仕様の策定にも貢献しました。

――標準化により、お客様にとってどのような利便性向上がありましたか?

湯浅:ユーザーにとっては、どこでも同じ方法で決済できる「いつでも・どこでも・安心して使える」環境が整ったことが最大のメリットです。裏側のシステムが統一されていることで、違和感なく決済を利用できます。

塩田:新しい決済端末の市場投入スピードも向上しました。以前はブランドごとに個別のテストを受ける必要がありましたが、標準化により一度のテストで対応可能となり、新技術がより早く普及できるようになりました。

標準化がなければ、端末メーカーやシステムベンダーは各ブランドの仕様に対応するために膨大なコストと労力をかける必要がありました。標準化は業界全体の発展に貢献しています。

【前編】JCB×EMVCoの挑戦! アジア代表としてIC決済の標準化で築く、キャッシュレス社会の未来


もう1つの大きなメリットは、セキュリティ向上です。
最新技術が迅速に導入され、安全な決済環境が整います。また、コロナ禍でユーザーが自分でカードやスマホをかざして決済するニーズの高まりに合わせて非接触ICの普及も進み、不正利用のリスクの低減とユーザーの利便性向上が同時に進みました。

――標準化を進めるため、JCBはEMVCoに参画している他のブランドとどのように協力してますか?

岩﨑:標準化の議論は週1~2回の会議で行われ、ブランド間で対等に意見を出し合います。競合企業同士でも「業界全体の最適解」を目指し、年齢や立場を超えた議論を重ねてます。EMVCoの標準化活動には「イコールコントリビューション(Equal Contribution)」の考え方があり、すべてのメンバーが対等に貢献することで、スムーズな標準化が実現しています。

【前編】JCB×EMVCoの挑戦! アジア代表としてIC決済の標準化で築く、キャッシュレス社会の未来


藤本:単独では限界がある中、複数のブランドが協力し課題解決するのもEMVCoならではの活動だと思います。例えばスマートフォンを決済端末として活用するプロジェクトにおいて、従来の決済端末には規格がありますが、スマートフォンにはないため、どの程度の基準を設けるかを検討しました。各ブランドが協力し、ICチップメーカーなどからカードを調達できたことで、実践的なテストが可能になり基準策定の一助になりました。

■後編へ続く・・・

https://pr.global.jcb/n/n65aa1a29148a?utm_source=prts0619&utm_medium=emvco2&utm_id=prts0619

JCB to(ジェーシービート)

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