プライム ライフ テクノロジーズグループ(以下、PLTグループ)は、2022年7月に脱炭素社会を目指して、「2050年までにカーボンニュートラルを実現する」ことを宣言しました。2023年4月には、これらの取り組みのガバナンス機能を担うカーボンニュートラル推進委員会が発足し、「2030年までに住宅事業におけるGHG(温室効果ガス)排出量を2020年比で50%削減する」という中間目標を設定、達成に向けて様々な施策に取り組んでいるところです。
2030年までの折り返し地点を迎えた現在、住宅事業において全体のGHG排出量の大半を占める、スコープ3の「カテゴリー1(購入した製品・サービス)」と「カテゴリー11(販売した製品の使用)」が、目標達成のために必ず越えなければならない大きなハードルだということが見えてきました。この2つのカテゴリーで、GHG排出量を削減するためにどのようなプロセスが必要なのか、またそこで直面する課題をどのように克服しようとしているのか。カーボンニュートラル推進委員会の基盤構築部会で事務局を担当する、PLT技術企画推進部 担当部長兼技術企画課課長の林康治と技術企画課主任の福田綾に聞きました。

カーボンニュートラル達成に向けた取り組みのいま


中間目標達成に向けた4つの重点取り組み

先述のとおりPLTグループでは、グループの中心となる住宅事業におけるGHG排出量を2030年に2020年比で50%削減する中間目標を掲げています。そして、この目標を達成するために、「新築戸建住宅におけるZEH率90%」「低層集合住宅におけるZEH-M率50%」「エコリフォーム削減貢献量75%増」「サプライヤーへの対応 基盤づくりと低減化支援」の4つを重点取り組みとして位置付けています。これまでの取り組みの結果、2020年に306万t- CO₂だったGHG排出量は、2024年には216万t- CO₂へと3割ほど減少しています。

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カーボンニュートラル推進委員会/基盤構築部会が担う役割

こうしたGHG排出量の算定・報告は、国際的な基準である「GHGプロトコル」に沿った3つの分類に基づいて行う必要があります。具体的には、事業者自らが使った燃料の燃焼や工場での製造過程などから排出されるGHGである「スコープ1」、電力会社から購入する電気や、他社から購入した熱や冷水、蒸気などの利用によって排出されるGHGである「スコープ2」、そして原材料の調達から商品の輸送、販売、使用、そして廃棄に至る過程で排出されるGHGである「スコープ3」です。林と福田が所属するカーボンニュートラル推進委員会の基盤構築部会では、これら3つのスコープごとにGHG排出量の算定・報告に必要な共通ルールの策定とその算定、さらにグループ内で算定した数値を客観的に裏付け、信頼性を確保するための第三者検証に向けた準備を担っています。

各社がそれぞれでGHG排出量削減の取り組みを行っている中で、さらにPLTグループ全体で取り組みを行う意義について、林は「各社が学び合うことでそれぞれのレベルを向上させることができるだけでなく、数値を客観的に評価する第三者検証はコストを要するため、グループ全体で取り組むことで規模のメリットを出すこともできます」と語ります。

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データを精査し係数を統一、第三者検証へ

PLTグループ全体のGHG排出量を算定するには、グループ5社それぞれからデータを集める必要があります。ただ、各社からデータを集めるのは膨大な作業となります。
「例えば、スコープ1・2に関わる電力の消費量に関しては、5社約800拠点からあがってくる請求書データをもとに、各社から集まってくるデータを集計する作業が必要です。また、電気を1kWh使うごとに、どれくらいのGHGが排出されるかを数値化した電力換算係数一つとっても各社で異なる係数を使っていたため、それらの整合性を図るために係数を統一するなどの作業が必要でした」と集計を担当する林は苦労を語ります。

このようにしてグループ内で算出したデータについては、単にグループ内で「排出量を計算しました」という“自己申告”で済ませることもできますが、株主や金融機関、取引先などに対して説得力を高めるためには第三者検証が求められます。林は「PLTは、上場企業ではありませんが、5社を合わせた規模の大きさ、住宅メーカー、建設会社としての責務として、客観的な裏付けと信頼性の確保のために第三者検証が必要だと考えています」と述べます。すでに「スコープ1」「スコープ2」については2024年から、「スコープ3」については、25年にグループ全社で第三者検証を行っています。

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求められる「スコープ3-1」「スコープ3-11」の取り組み

GHG排出量については2030年の中間目標に向けて順調に削減が進みつつありますが、目標の達成にさらに近づけていくためには、特に「スコープ3」のうち、PLTグループ全体のGHG排出量の53%を占める「スコープ3-1」、そして34%を占める「スコープ3-11」の削減に重点的に取り組んでいく必要があります。

「スコープ3-1」は、自社が購入した製品やサービスの製造過程で排出するGHG排出量を指します。住宅事業では、グループ各社間での共同輸送や生産拠点の最適化に加え、調達先のサプライヤーとの連携が欠かせません。特に住宅事業においてはGHG排出量のうち約4割がサプライヤー由来であり、調達、輸送、建設、解体に至るまでサプライチェーン全体でのGHG排出量削減に向けた取り組みが求められます。

PLTグループでは「120社以上のサプライヤー向けに定期的な勉強会やアンケートを実施し、GHG削減目標の設定や、削減実績・事例づくりを促し、排出量データの精度向上を図っています」と福田は語ります。また、調達のうちGHG排出量の多くを占める鉄鋼材料については、「金額換算と物量換算のうち、価格の変化に左右されない物量換算への移行を進めているところです」。

「スコープ3-11」は、企業が販売した製品が使用される際のGHG排出量を指します。
すなわち、お客さまが住み始めた後のGHG排出量をいかに減らすかが求められるわけです。この削減については、PLTグループ事業のうち新築請負事業が事業ポートフォリオの約6割を占めていることから、重点取り組みに位置付ける4つの項目のうちの「新築戸建住宅におけるZEH率90%」「低層集合住宅におけるZEH-M率50%」を着実に進めることによって目標の達成を目指しています。

中間目標達成に向けて克服すべき課題

今後の課題として、「スコープ1」「スコープ2」に関しては、再生可能エネルギー化率の向上を掲げる「電力再エネ化率60%」の中間目標に向け着実に取り組みが進んでおり、「今後は営業車のハイブリッド化、建設現場で使う重機の燃料を低炭素型燃料に変えていくことなどが求められます」と林。「スコープ3-1」については、「引き続きサプライヤーが提供する商品やサービスに低炭素な部品、部材を取り入れてもらうとともに、サプライヤーの削減効果を反映できる新たな係数の検討・導入を進め、サプライヤーの低炭素素材への切り替え努力がより正確に把握できるようにしていきたい」と福田は話します。

さらに「スコープ3-11」に関しては、林が「新築戸建て住宅におけるZEH率90%はほぼ達成に近づいているので、今後は低層集合住宅におけるZEH-M率50%に向け、いかに数字を近づけていくかが求められます。特に集合住宅に太陽光発電を載せるといった取り組みはオーナーさまのご理解があって初めて前に進められるもの」と言うように、どちらも自分たちだけで完結できない難しさを伴っており、今後、こうした部分をどのように克服していくかが課題のフェイズに入っていきます。

「“未来をまちづくる”責任」を果たすために

中間目標を定めた2030年まであと4年。GHG排出量削減の取り組みは、削減効果の表れやすいところから先に進んでいくため、年を追うごとに大きな削減が難しくなってくるという側面があります。「GHG排出量削減の取り組みは、株主や金融機関、取引先だけでなく、PLTグループで働きたいと思ってくださる方々のためにもますます重要になってくるものです。今後は一つひとつを着実に進め、積み重ねていくことが大事だと考えています」と自分に言い聞かせるように林は語ります。そして、「それに加えて、GHG排出量の数値を正確に把握するための精度を一層上げていくとともに、事業がより拡大していったときに出てくるGHGの量をいち早く評価できる体制を整えていきたい」と、さらに先にある“2050年の基盤のあるべき姿”を見据えているようでした。

カーボンニュートラル達成に向けた取り組みのいま


PLTグループは、“未来をまちづくるPLT”をコーポレートメッセージに掲げ、まちづくり、住まいづくり、建設を通して、良質な住まいの提供、快適な住環境の普及に努めるなど、顧客課題と社会課題の解決に向き合っています。
それゆえ、「持続可能な社会の実現」を目指し、企業の社会的責任としてこれまでカーボンニュートラルの推進に取り組んできました。今回、取り組みの現状と課題をお伝えすることにより、グループ各社の社員、そのご家族、さらには取引先といったステークホルダーの方々にも環境活動へのご理解を深めてもらい、ご協力を仰ぐことで、2030年、そして、その先にある2050年の目標達成に向けたカーボンニュートラルの取り組みを加速してまいります。

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◎プライム ライフ テクノロジーズ株式会社

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