後編の本稿では、アウトレットモール専業の中小企業ならではの「一気通貫」の強さと、見つめなおした先に生まれた「未来のCustomer Focus(カスタマーフォーカス)」について、佐竹香里広報部長が語ります。
<アウトレット専業デベロッパーならではの「一気通貫」の強さ>
——「三菱地所・サイモン」ならではの強みについて教えてください。私たちの成功を四半世紀にわたり支え発展させてきた背景には、やはり「三菱地所・サイモン」独自の企業構造があると考えています。
「三菱地所」という名前が頭についていることで、周囲からは大企業のイメージで見られがちですが、実際はアウトレット10施設と本社含め、社員数200名規模の「アウトレットモール専業の中小企業」です。
この社員規模の一つの会社で、土地の選定から施設の建設といった開発、テナントリーシング、そして全国10施設の運営のすべてを「一気通貫」で行っていることが、大きな特徴で強みだと思います。
一般的な大企業では開発やリーシングを含むアセットマネジメント(AM)と施設運営などのプロパティマネジメント(PM)が分業、分社化されることが多いですが、私たちは中小規模であるため一気通貫で対応できる上に、経営層との距離感も近いという特徴があります。これが意思決定のスピード感を生み、お客さまやテナントさまへの迅速な対応に繋がっています。
また、「なぜこの立地が選定されたのか、開業までどのような背景があったのか」などを理解した上で施設運営を考えることができるのは、非常に良い点だと考えています。
2000年の開業から25年の間に、多くの社員が関わり拡大してきた御殿場プレミアム・アウトレット
——中小規模の企業であることは、具体的にどのようなメリットがありますか?
人数が少ない分、一人一人が持つ業務の範囲が広いという特徴があります。これは大変な側面もありますが、一人あたりの裁量権も同業他社に比べて大きいと言われていますし、社員が幅広い知識や経験を得られます。
たとえば現場のマネジメントオフィス担当から本社部署への異動や、同様に本社部署から現場へのローテーションなど、部署間の異動も活発になり、事業の全フェーズに携わりやすい環境になりました。
三菱地所・サイモンでは新卒採用を2019年より開始。キャリア採用社員や出向社員など様々なバックボーンの社員が各セクションで働く。
<二つの異なる視点の融合「日米ハイブリッド」構造>
——もうひとつの構造的な特徴について教えてください。日本とアメリカの異なる視点が融合した「日米ハイブリッド」の構造を持つことが、もう一つの特徴だと思います。
当社は「まちづくり」に強い三菱地所の信頼・実績と、アメリカの「商業施設専業REIT(不動産投資信託)」であるSimon Property Groupのアウトレットモール専業の経験・知見を持ち合わせた、国内有数の外資系デベロッパーです。
三菱地所の「安定的な成長」を目指す視点と、投資先としての有用性を主眼に置いたSimon Property Groupの「数字」を追求する厳しい視点。この二つの異なる視点の融合が、今までの継続的な成長の背景にありました。
三菱地所・サイモンの社員は、ルーツであるアメリカのプレミアム・アウトレット視察に行くことも。写真は視察で訪れたWoodbury Common Premium Outlets®の様子。
<温故知新で「カスタマーフォーカス」の未来へ>
——今後の展望として、特に力を入れていきたいことはありますか?もともとアメリカで成功したビジネスモデルを礎に、日本ならではの施策やサービスを取り入れながら、私たちは独自の進化を遂げてきました。
開業当初に使われていた「プレミアム・アウトレット・ショッピング・エクスペリエンス」という言葉が示す通り、その根底に常にあり続けるのは、単なる買い物の場にとどまらず、訪れること自体が価値となる体験をお客さまに提供するという姿勢です。
現在、市場環境は急速に変化し、社会全体がより一層「体験価値」を重視する方向へとシフトしています。こうした時代の中で改めて重要性を増しているのが、「お客さまは何を求めているのか」「私たちはお客さまが求めている価値をご提供できているのか」という、カスタマーエクスペリエンスの視点です。
社内ワークショップの様子
当社では中期経営計画の一環として、2024年から2025年にかけて、プレミアム・アウトレット運営企業の社員として大切にする価値を再定義する「価値観整理プロジェクト」を実施しました。
全社アンケートや有志参加によるワークショップ、オンラインヒアリングなどを経て整理された「Our Value(提供価値)」と「Our Style(行動指針)」の中には、「Customer Focus:いつだってゴールは顧客満足」という揺るぎない指針が明確に掲げられています。
もちろん顧客満足の追求は、開業以来ずっと大切にしてきた成功の「基本の基」です。しかし、今こそ基本の大切さを改めて意識し、過去の成功だけに頼るのではなく、これからも成長し続けるために、顧客視点を徹底的に貫いていきたいと考えています。
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【プロフィール】
佐竹 香里(三菱地所・サイモン株式会社 広報部長)
2000年5月、チェルシージャパン株式会社(現:三菱地所・サイモン)で業務開始。
マーケティング部長を経て、2019年広報部設立に合わせ広報部長就任、現在に至る。
▼前編はこちら
アウトレットモール専業のデベロッパー「三菱地所・サイモン」が、温故知新で挑む未来のカスタマーフォーカス(前編)
▼三菱地所・サイモン㈱事業紹介 参考ページはこちら
https://mes.premiumoutlets.co.jp/business/aboutoutlets/