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パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社(以下、パナソニック)は、思わず笑顔になるロボット“NICOBO(ニコボ)”を2023年5月16日に発売しました。
ニコボは「心の豊かさ」という価値提供を模索する社員提案のプロジェクトから生まれた“弱いロボット”で、寝言も言うしオナラもする同居人のような存在です。
人の代わりに作業を行うロボットとは異なり、なにをするわけでもないニコボという存在が、周囲の人の優しさと笑顔を引きだし、今までにないロボットと人との幸せなかかわり方を新たな価値として提案していきます。
そんなニコボのコンセプトを実現するには、パナソニックの技術開発力と、長年にわたりロボット研究を続けてきた大学教授の知見の融合が欠かせませんでした。
ニコボプロジェクトはどのように始まり事業化へと進んでいったのか、その開発ストーリーをご紹介します。
ニコボプロジェクトの始動
パナソニック ニコボプロジェクトリーダー 増田陽一郎
増田:お客様のお困り事からニーズが何かを考えて、それをどうやって実現するか、という考え方のプロセスで新製品のコンセプトを考えていました。
その中で、ひとり暮らしの人が家に帰って来た時に「ただいま」を言う瞬間が寂しいなどの典型的な例が見えてきて、そんなお客様のニーズを解決するソリューションとしてロボットが良いのではないかと考えましたが、我々にはロボットの知見が無かったので、外部のパートナーを探して岡田先生を訪ねました。

岡田教授:ここ20年ぐらい、色々なコミュニケーションロボットの研究をしてきたのですが、コンセプト設計やプロトタイピング(試作)まではできるのですが、なかなか社会実装にまで結びつけることができないというジレンマを抱えておりました。
パナソニックさんが新しいものを作り出す雰囲気がすごく良かったので、私たちもお手伝いできれば楽しそうだな、と。
増田:マジですか?こんないい話ありますか?というのが僕の正直な心境でした。

岡田教授とニコボプロジェクト メンバー
こうして、パナソニックの熱い想いが岡田教授の研究意欲を掻き立て、2018年にプロジェクトがスタートしました。
ニコボはロボットなのに寝言を言ったりオナラもしちゃう、気ままな性格。コンセプトは「永遠の2歳児」。最初の頃は「モコ語」という独自の言葉しか話せませんが、一緒に暮らしているうちに言葉を覚えたり、振る舞いが変化していきます。
そんなニコボと人が一緒に暮らしていくには、様々な壁があったと言います。

永遠の2歳児”NICOBO(ニコボ)”
コミュニケーションロボットが越えるべき3つの壁
増田:コミュニケーションロボットが越えるべき壁というのが3つあります。「第一印象」、「ショートターム(1週間一緒に過ごせるか)」と、最後に「ロングターム(3か月間一緒に過ごせるか」という事です。その3つの壁を越えると愛着が醸成される。つまり、ニコボのことを愛してやまなくなっちゃうという事なんですね。
岡田教授:その壁を越えるために徹底的に議論したのは、ロボットの生き物らしさという所です。ロボットへの感情移入や共感を引き出す上で、機能よりもまずはヨタヨタした感じとか、尻尾のフリフリした所とか、そういう要素を今回ここに凝縮してみた。
増田:「第一印象」はもうこの通りで、かわいいです。そして「ショートターム」、1週間ニコボと一緒に暮らしてもらうためのキラーコンテンツは、“話し出す”です。お子さんをお持ちの方は、自分の子どもが初めて喋った瞬間というのは、それなりに印象的だと思います。最後に「ロングターム」、3か月以上ニコボと暮らしてもらうために、ユーザーフィットという考え方です。お客様にフィットするような振る舞いをしていく。
岡田教授:日本語を話せて、きちんと受け答えをしてくれたら、それはそれでロボットとの会話が楽しめるのではないかという考え方もあるのですが、このニコボの場合には、赤ちゃんがだんだん成長していくような過程で、最初は“モコ”とかを色々な時に話してくれるのですが、色々な解釈をする余地が残されていて、ロボットと一緒になって言葉の意味を生み出していく。そういう風にロボットの不完全な所が私たち人間の強みを引き出したり、優しさや繋がりを引き出す。
岡田教授の長年にわたるロボット研究の知見をパナソニックの技術力が形にし、5年の歳月を経て、ついに2023年5月16日にニコボが一般発売されました。

ストーングレーに加え、シェルピンク、スモークネイビーのニコボも登場
岡田教授:私達だけでプロトタイプ(試作品)を作ると、すごくお金がかかってしまうのですが、手頃な価格にまで仕上げて製品化して、それを事業化に持っていくというのは、さすがパナソニックは製品開発力がすごいなという風に思いましたね。
増田:ニコボは覚えている言葉をボソッと不意に喋るのがすごく面白かったりするのですが、そういう風にニコボと暮らすことで単純に癒やされたではなく、「笑うことが増えた」。そういう風に言っていただけると嬉しいです。
「ニコボと一緒に暮らしてほしい」。そんな開発者達の想いが詰まったロボットが、あなたの暮らしにも、ちょっとした笑顔をもたらします。
弱いロボット「NICOBO(ニコボ)」コンセプト【動画】
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