アポプラスキャリア株式会社 代表取締役社長 藤本輝氏インタビュー
医療現場は今、深刻な危機に直面しています。少子高齢化による人材不足、働き方改革による労働時間の制限、診療報酬の抑制。質の高い医療を継続的に提供するための基盤が揺らぐ中、医療人材紹介業界において、効率化を追求するあまり見落とされている課題があります。薬剤師、登録販売者、保健師などの医療医薬専門人材紹介・派遣事業を展開するアポプラスキャリア株式会社。自らも薬剤師として現場に立った経験を持つ代表取締役社長の藤本が見据える、医療人材を輝かせるためにアポプラスキャリアが提供できる価値について聞きました。
医療業界が直面する厳しい現実
<アポプラスキャリア株式会社 代表取締役社長 藤本 輝(ふじもと ひかる)>
──医療業界が直面している現状について、どのように捉えていらっしゃいますか。
藤本: 医療業界の状況は厳しいと感じています。このままでは、質の高い医療を継続的に提供できない環境になってしまう可能性があります。
背景にはいくつかの要因があります。一つは少子高齢化の影響です。2030年までは高齢者の増加により医療需要は拡大しますが、質の担保が難しくなっています。
医療デジタル化も遅れています。電子処方箋は2023年の運用開始から3年が経過しましたが、医療機関での普及率は依然として1割程度に留まっています。紙の処方箋から電子化することで、マイナンバーカードと紐付けて利便性を高める構想があるものの、あまり進んでいません。こうした変化への対応力の欠如が、業界全体の課題になっています。
さらに、診療報酬の限界もあります。
──2030年以降はどうなるのでしょうか。
藤本: 2030年以降、現役世代の減少が加速する一方で、高齢者の人口は2040年頃をピークに向けて増え続けます。しかし、そのピークを過ぎれば、今度は高齢者数そのものが減少し始めます。そうなれば、長期的には医療需要も縮小し、病院のベッドにも空きが出始めるでしょう。業界としては、まさに大変革期を迎えることになります。
なり手が減ることで、国の財政面では好転する側面もあるかもしれませんが、マーケットが縮小する『逆転現象』が始まります。その中で質の高い医療をいかに維持していくか。非常に難しい局面になると予想しています。
人材紹介業界にも課題がある。効率化の落とし穴
<東京本社:社内の透明性を象徴するガラス張りのオフィス>
──人材紹介業界の課題について教えてください。
藤本: 人材紹介業界には、効率化を優先するあまり、現場の本当のニーズに応えられていないケースがあります。徹底的に効率化を図ることで、「人が見えない」サービスになってしまったり、利益率を重視するあまり、現場に必要なサービスでも採算が合わなければすぐに終了してしまったりすることもあります。医療・健康領域は、経済的価値に振り切ってしまうと、決してうまくいくものではありません。
──そうした中で、アポプラスキャリアが提供できる価値は何でしょうか。
藤本: 私たちが大切にしているのは、「医療現場の役に立つ」という姿勢です。これは、私自身が薬剤師として現場に立っていた経験からきています。
私は薬剤師としてキャリアをスタートしました。調剤薬局で白衣を着て、実際に患者さんと向き合っていた経験があります。一人の薬剤師としての社会貢献も重要ですが、採用を通じて志を同じくする仲間を増やすことで、より貢献したいと考え、人材紹介の道へ進みました。
アポプラスキャリアは「対面主義」を徹底しています。私たちは現地に足を運び、面接にも同席します。
求職者と求人側の希望条件は、最初は大きく乖離しているケースが多々あります。お互いがマーケットを客観的に捉えきれず、自らの希望のみを伝えている状態といえます。そこに私たちが介在し、丁寧に条件を調整していくことで、真のマッチングが実現するのです。
例えば、求職者の方が当初「遅い時間に働くのは難しい」と仰っていても、背景を丁寧にヒアリングすると、ご家族のサポートが得られる曜日であれば対応可能であるといったケースがあります。求職者の方が提示される条件は、多くの場合、理想に基づいた余裕を含んでいます。しかし、そのままでは現実の求人とマッチングさせるのは困難です。
一方、採用側である薬局も、長期間採用に至らないにもかかわらず、条件を見直さない場合があります。マーケット相場から年収ベースで100万円もの乖離があれば、応募を獲得することは極めて難しくなります。そうしたマーケット環境を客観的にお伝えした上で、もし高い年収水準を維持したいのであれば、休日の設定を調整するなど、現実的な落としどころを提案していきます。
こうしたプロセスを、私たちの業界では「条件緩和」と呼んでいます。求職者の方に対してはキャリアカウンセリングを通じて、「このような働き方であればいかがでしょうか」と、新たな選択肢を提案していくのです。
アポプラスキャリアの介在価値
──お客様からの評価はいかがでしょうか。藤本: 大阪を中心に展開されているプラザ薬局のご担当者様は、事例紹介インタビューにおいて、当社の介在価値を次のように語ってくださいました。
「他社では情報提供のみのケースも多い中、アポプラスキャリアは必ず足を運んでくれる」。(※プラザ薬局様インタビューより抜粋)
▼インタビューの全文はこちら(公式noteへ)[記事タイトル:採用を成功に導く“つなぎ手”─プラザ薬局が語るアポプラスキャリアの介在価値]
また、「登録者を一律に紹介する会社もあるが、その中から最適な一人を探すのは労力がかかる。アポプラスキャリアは、求める人材を的確に見極めて紹介してくれる。そこに介在価値がある」と、高い評価をくださいました。
これは、私たちが時間をかけて対話を重ね、プラザ薬局様の文化や求める人物像を深く理解しているからこそ実現できることだと自負しております。採用ニーズは時期や状況によって刻々と変化します。店舗ごとの特徴や求人の背景、現場で真に求められる資質などをリアルタイムで把握することが不可欠です。私たちは社員一人ひとりがこの重要性を認識し、人と人のコミュニケーションを何よりも重視しています。
取り扱い職種別に提供価値を向上
──職種別に提供価値を高めている施策について教えてください。
藤本: 私たちは、取り扱い職種ごとに提供価値のさらなる向上を図っています。例えば薬剤師においては、2024年より薬剤師専門のコミュニケーション研修も開始しました。これはInstagramとリアルウェビナーを組み合わせたプログラムで、一般社団法人薬学ゼミナール生涯学習センター(G13)の生涯研修認定単位の申請対象となっています。さらに、2025年10月以降のプログラムからは、薬剤師認定制度認証機構(CPC)が認定する単位としても認められるようになりました。
登録販売者については、当社は外部研修実施機関として厚生労働省に登録されており、2025年の調査(※)では登録販売者向け転職サービスにおいて6部門でNo.1を獲得しました。その紹介実績には確固たる自信を持っています。
保健師、特に産業保健師の分野では業界トップクラスであると自負しています。保健師向けの研修セミナーに加え、保健師を活用する企業の人事担当者様に向けたイベントも開催しています。研修やコミュニティ形成を通じて、業界内でのネットワーク構築を支援しています。
※「登録販売者向け転職サイト / 転職エージェントサービス」に関する市場調査・㈱未来トレンド研修機構 調べ(2025年7月)
登録販売者が選ぶ転職エージェントで6冠達成!「最もおすすめしたい」「転職に成功した」などでNo.1を獲得PR TIMES×
──転職支援だけではないのですね。
藤本: 私たちは転職支援を事業の軸としながらも、それ以外のタイミングにおいても頼りにされ、価値を感じていただけるような存在でありたいと考えています。
情報提供においても、単なる求人情報の提供に留まりません。それぞれの専門職の方々が日々の業務やキャリア形成において知っておくべき有益な情報を整理し、定期的にお届けしています。こうした取り組みを通じて、転職という人生の大きな分岐点だけでなく、生涯を通じて歩みを共にできるような、息の長い信頼関係を築いていきたいと願っています。
分社化直後にみまわれたコロナ禍
──分社化直後にコロナ禍に見舞われたそうですね。
藤本: アポプラスキャリアは2020年に分社化されましたので、まさに創業初期にコロナ禍が直撃した形になりました。売上・利益ともに大きな影響を受けましたが、その後は着実に回復し、現在は右肩上がりの成長を続けています。
実は私は31歳から34歳までの4年間、クオールグループの別会社で社長を務めていました。当時は、会社の仕組みも資金繰りの本質も分かっておらず、雇用という責任の重さも十分に理解できていませんでした。経営の壁にぶつかり、自身の力不足を痛感して思い悩む時期もありました。
しかし、その時の学びがあったからこそ、今回のコロナ禍という未曾有の危機においても、決して下を向くことなく乗り越えることができたのだと思っています。
初めて社長を務めた4年間こそが、私の大きなターニングポイントでした。今振り返ると、貴重な経験を積ませていただいたことに感謝の念しかありません。過去の失敗や挫折があったからこそ、経営者として強く成長できた今の自分があるのだと確信しています。
「選ばれる存在」を目指す。17点からのスタート
──今後、社会に対してどのような価値を提供していきたいですか。
藤本:私たちの目標は、会社として「選ばれる存在」になることです。もちろん数字も重要ですが、それ以上に「アポプラスキャリアに相談したい」「ここなら頼れる」と心から思っていただける企業を目指しています。私たちクオールグループは、一貫して医療・健康領域を極めていく方針です。この領域において、どこまでも誠実に事業を展開していきます。
──自己評価は何点ですか。
藤本: 私自身の評価は、100点満点中、現時点では17点です。まだまだ道半ばであり、これからが本番だと考えています。真に選ばれる存在となるために、一歩ずつ、しかし着実に進んでいく決意です。研修事業の拡充、情報提供力のさらなる強化、そして専門職の方々のコミュニティ形成支援など、私たちが果たすべき役割は山積みです。一つひとつ真摯に取り組んでいきます。
企業理念:生き方に価値を
──最後に、医療業界で働く方々、これから働こうとする方々にメッセージをお願いします。
藤本:現在、医療業界は極めて厳しい局面を迎えています。2030年に向けて高齢者人口の増加に伴い需要は拡大しますが、提供する医療の「質の維持」が大きな課題となります。そして2030年以降は、人口減少によるマーケットの縮小という、大変革期が到来します。
こうした時代だからこそ、一人ひとりの医療従事者が持つ価値は、これまで以上に高まっていくと確信しています。私たちの使命は、医療従事者の皆様がそれぞれの場所で輝けるキャリアを支援することです。そのために私たちができることは、無限にあると考えています。
アポプラスキャリアは、転職という人生の分岐点のみならず、生涯を通じて医療従事者の皆様のキャリアを支え続けてまいります。「現場の役に立つ」という原点を胸に刻み、企業理念である「生き方に価値を~Life & Value~」を実現するため、お客様の期待を超えた先にある「感動」を届けることに徹底してこだわります。
医療現場で働く皆様、そしてこれから医療の道を志す皆様の生涯価値を高めるために、私たちは全力でサポートさせていただきます。私たちを信頼し、共に「輝く医療」を創り上げてくださる企業様、そして医療従事者の皆様と共に、より良い未来を築いていきたいと願っています。