ー 約2年前に「Make Jumps Together」をビジョンに掲げたGREAT WORKSですが、今回改めて理念体系を整理することになった経緯を教えてください。
ビジョンを策定した当時は、私がCEOに就任してから、丸3年が経ったタイミングでした。当時はそこまで自社の紹介やブランディングに力を入れておらず、ウェブサイトを見ても、GREAT WORKSが一体どんな会社なのか、わかりづらい状態でした。
一方で、ロジックの組み立てや言語化といったコンサルティング領域を得意とする私の参画を機に、これまでに比べて骨太な提案ができるようになっていました。ただかっこいいクリエイティブをつくるだけでなく、クライアントの課題に深く切り込むことで、より質の高いアウトプットを生み出す。そんな「コンサルティングとクリエイティブの掛け算」という、GREAT WORKSの新たな強みを打ち出すことで、外に向けて自社のことをしっかり伝えられるのではないかと思いました。
そこでまずは、GREAT WORKSは何の会社なのか?誰にどんな価値を提供しているのか?など、今までクリアにできていなかった部分の言語化に取り組みました。GREAT WORKSのことをよく知っているクライアントやパートナーのみなさんにもヒアリングしながら、約1年間にわたってプロジェクトを走らせ、最終的に私たちの想いを「Make Jumps Together」というスローガンに凝縮しました。併せて定めたブランドステートメントでは、「戦略的着想」や「戦略クリエイティブファーム」といった言葉で、独自の提供価値やポジションを表現。その世界観に合わせ、コーポレートサイトも全面的にリニューアルしました。
おかげさまでクライアントの方々からは、私たちの想いやスタンスをきちんと理解いただいた上で、仕事のご相談をいただく機会が増えました。さらには、採用でのマッチングがしやすくなったり、サイトからの新規お問い合わせが増えたりなど、さまざまな良い影響がありました。しかし、一方で課題として残っていたのが、社員に対しての浸透です。いくらきれいな言葉と世界観で対外的に発信できても、社員自身が日常の業務とのあいだに接点を見出すためには、より体系化したコミュニケーションが必要だと感じました。
特に昨年は、インナー向けに事業成長の3か年計画を発表し、会社全体が一体となって事業を一層拡大させていくフェーズに突入しました。そのためには、社員全員が明確なビジョンやものさしを共有できていることが望ましい。そこで、誰にでも伝わりやすい「MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)」というフレームワークで、GREAT WORKSが掲げる理念を体系的に再整理するとともに、社員の行動指針をアップデートすることにしました。
ー 新MVVでは、新たに登場した「イグナイター」という表現が象徴的ですね。どのような意図が込められているのでしょうか。
新しい理念体系では、「Make Jumps Together」をミッションに位置づけ、私たちの将来ありたい状態を示すビジョンとして、新たに「⾒えない未来にコトを起こすイグナイター」を掲げました。イグナイターとは「点火者」。実は、しばらく前から私のなかに浮かんでいた言葉です。
従来のコンサルティングでは、「ベストプラクティス」と呼ばれるような過去の事例から解決法を導き出し、それを使って未来を導く手法が一般的でした。しかし、「過去の延長」で未来を語れる社会ではなくなってきている今、必要とされるのは大胆に仮説を打ち立てる力や、クリエイティビティの力。想像力を豊かに働かせて「ありたい姿」を仮置きし、そこから逆算的に道筋を立てていく、いわば「バックキャスティング」の考え方です。ロジックの積み上げだけでは導けないことを、右脳と左脳の柔軟な行き来によって、言語化していく。それこそが、私たちがこの時代において求められている、重要な役割なのではないかと考えています。
また、「火をつける」という言葉には、社会の担い手であるビジネスパーソンの背中を押してあげたい、という想いも込められています。一人ひとりの心に火がつけば、日本中におけるビジネスの持つパワーが大きくなり、今よりもっといきいきした社会になるはず。そのきっかけをつくるためにも、クライアントやその先にいる人の、スイッチを押してあげたいと思っています。クリエイティブの力で「ワクワク」を与えてあげることも、ひとつのイグナイトですね。
ー そんなビジョンのもとで、3つのバリューも定義されています。
バリューでは、ビジョンで語っている「見えない未来」を描くための手段を、3つに分けて言語化しています。
1つ目は「フレームワーク」。いわゆるロジックやコンサルティングに当てはまる部分の言い換えになりますが、これは人と人の対話において重要とされる考え方です。クライアントワークにおいても、年齢や立場、価値観など、さまざまな前提条件が異なる人同士でのコミュニケーションが必ず必要になります。だからこそ「完全に分かり合うことなどできない」という謙虚な姿勢のもと、お互いのあいだに共通の窓(フレームワーク)を用意することが、対話をする上で大切になってきます。
2つ目の「クリエイティブ」は、GREAT WORKSがこれまで変わらず大切にしてきたことでもあります。対話を通して積み上げたものを、コンセプトに昇華し可視化することで、そこに込められた想いを多くの人に届けたい、という想いを表しています。
3つ目は「ナレッジ」。未来から描くという考え方が前提にはあるものの、描く上での拠り所として、ナレッジは必要です。過去は知の集合なので、学べることは大いに学び、再編集や変換をくり返していくことが、未来に向かうための大切なステップになります。
ミッションにおいてもビジョンにおいても、言葉を定める上で今回チャレンジしたことのひとつが、「クライアント」や「コンサルティング」という表現を一切使わないということです。
ー なるほど。言葉の選び方には、そんな背景があるんですね。今回はさらにMVVとセットで、社員向けに10の行動指針も定めていますね。
今までもGREAT WORKSには、社員向けに「10のクレド」がありました。今回は、その中身や伝え方を見直し、「3つのジャンプ」と「7つのプリンシプル」を定めました。
3 Jumps
やったことがない方を選ぶ
面倒くさい方を選ぶ
ワクワクする方を選ぶ
7 Principles
清く正しく美しく
正解なんて存在しない
失敗は挑戦のエビデンス
完璧主義より完了主義
先手は人類への優しさ
残るのは言葉だけ
評価はディテールにある
3 Jumpsは、社員が業務のなかで何か迷うことがあったときに、判断しやすくするための共通の行動基準です。「みんなでジャンプしよう」と伝えても、実際に業務のなかで何をすればよいのか、迷ってしまうと思います。そこで、ここでは「ジャンプにつながる行動」を「選択」に置き換え、よりシンプルな指針に落とし込みました。
ー 今後これらを浸透させていくために、どんな取り組みをしていきたいですか?
浸透のためにできることは、何よりも私自身がきちんと日頃からMVVを体現することだと思います。それ見た社員が、それぞれに気づきを得て、自分なりに真似をする。経営学者の名和高司先生の言葉を借りれば、飾りだけの「額縁パーパス」にならないように、行動・実践につなげるカルチャーをつくっていくことが大事ですね。
その先には、社員自身が「こういう価値を生み出せる会社って他にはないよね」と、誇りに思えるような組織をつくりたいです。実際に、GREAT WORKSはここ数年で、さまざまな企業の経営変革にまで寄り添える会社になってきています。さらには、SDGsの先を見据えた「ビヨンドSDGs」の取り組みをサポートするなど、より社会的な視野を持った活動もしています。
「見えない未来にコトを起こすイグナイター」というビジョンのもと、できることをどんどん増やしていきたいという想いもあります。極端にいうと、業態が変わってもいいので、自社の価値を自由に活かせるカルチャーをつくりたいです。まずは自分たちの心に火がついて、のびのびと働けている状態をつくり、同時に周りに対しても火をつけていく存在でありたい。