4月2日の「世界自閉症啓発デー」、4月2~8日の「発達障害啓発週間」にあわせ、コスモスイニシアグループで取り組んだ発達特性プロジェクトをご紹介しています。

第1回では、不動産事業においてインクルーシブという視点がどのように立ち上がったのか、そのきっかけとコスモスイニシアで取り組んだワークショップの様子をご紹介しました。


https://prtimes.jp/story/detail/qb28Z0SK7qx

第2回となる今回は、アパートメントホテル「MIMARU」を舞台に実施した当事者家族への事前調査(インタビューやアンケート)からみえてきた声と、試泊調査に向けた課題の整理について、プロジェクトを企画・推進したCULUMUの桑原寿記さん、石井萌さん、佐藤徹さんと、コスモスホテルマネジメントの明石真実、早川三奈が振り返ります。

――はじめに、なぜMIMARUで実証実験を実施したのですか?

明石:「MIMARU」は4人以上で泊まれる広い客室が特徴で、宿泊者の9割がご家族連れです。これまでも“みんなで安心して泊まれる環境づくり”に取り組んできましたが、コスモスイニシアが開催した発達特性に関するワークショップの話を聞き、私たちが目指す「みんな」の概念をさらに広げられるのではないかと感じました。そこで、「ぜひ実際のアセット(施設)であるMIMARUで実証実験をしませんか?」と提案したのがきっかけです。

CULUMUさんには実際にホテルを見学していただき、MIMARUだけでなく他の宿泊施設でも取り入れやすい、広がりを持ったアイデアを一緒に検証してほしいとお願いしました。

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桑原:MIMARUでの実証実験のお話をいただき、旅行という予測困難な出来事が多い場面だからこそ、ホテルという空間そのものが“安心の拠点”として機能するかどうかを検証できる絶好の機会だと考えました。

まずは当事者のご家族へのインタビューやアンケートを通じて旅行におけるリアルな課題を抽出し、MIMARUをはじめとする宿泊施設で簡易的に導入できるアイデアを検証していくことを提案しました。

――事前のインタビューでは、当事者のご家族からどのような声がありましたか?

石井:プロジェクト前は「大変だから旅行に出かけたことがない方が多いのではないか」という仮説がありました。しかし実際にお話を伺うと、その大変さを押してでも「やっぱり旅行したい」という強い思いが伝わってきたんです。その一方で、「いかに周りに迷惑をかけないか」にものすごく神経を使われています。

桑原:私自身も親ですが、発達特性のあるお子さんがいるご家庭は、本当にいろんな配慮や遠慮をしながら旅行に向き合っています。さまざまな苦労がある中でも「子どもにいろいろな経験をさせてあげたい」という強い葛藤と心構えがありました。


明石:事前インタビューを行っていただき、ご家族にとっての「旅行」が持つ意味の深さにハッとさせられました。旅行は、単なる思い出づくりだけでなく、「挑戦・成功体験の機会」であり「未来を広げる経験」として一歩を踏み出されている。この姿勢は、当社が大切にしている「違いを受け入れよう」「仲間の挑戦を応援しよう」といった行動指針とも重なり、私たちがこの取り組みを進める大きな原動力になりました。

【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


——アンケート調査からは、どのような実態が見えてきたのでしょうか?

佐藤:今回のプロジェクトにあたり、これまでお付き合いのあった方や知人などを通じて、64名の方にインターネットアンケートにご協力いただきました。旅行や外出時の困りごととしては、「環境変化で不安定になる」「予定変更に対応できない」といったお子さんの特性に起因すること以上に、「保護者の精神的・身体的負担」や「周囲の視線」が大きなネックとなっていることがわかりました。みなさまその対策として「無理をせず短時間で切り上げる」という工夫をされており、ご家族が常に気を張り詰め、せっかくのお出かけを制限せざるを得ない切実な現状が浮き彫りになりました。

また、「落ち着くための専用スペースの利用経験」について伺うと、利用したことが「ある」と答えた方はわずか12%にとどまりました。利用した場所も「療養施設」が最も多く、次いで「イベント会場」や「商業施設・空港」などに限られています。

これらの結果から、特定の施設や大規模な場所には少しずつ環境が整ってきているものの、日常的なお出かけ先や宿泊施設において、親子が周囲の目を気にせず安心して休息できる環境は、社会的にまだまだ不足しているという課題が見えてきました。

【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


——事前インタビューやアンケート結果を踏まえ、多様な困りごとをどのように整理し、実証実験に繋げたのでしょうか?

桑原:アンケートやインタビューの結果から、外出先での「環境の変化」や「他者の目」による負担を減らすためには、親子がいつでもホッとできる「安心できる居場所」や「負荷の軽減」が必要不可欠だと再認識しました。

そして、旅の困りごとを深掘りしていくと、共通する「5つの構造」に整理できました。

①見通しが立ちにくい(日常より不確実性が高く緊張を生む)

②人との距離が調整しづらい(共有空間で他者との接触が避けにくい)

③刺激が予測できない(音・光・人混みなどの刺激が累積する)

④生活が再現しづらい(普段と同じ食事・睡眠環境などが必須条件になる)

⑤負荷が同時に重なる(チェックイン、疲労、人混みなどが一度に重なる)

これらは一見すると個別の困りごとに見えますが、いずれも「環境との関係性」に起因しています。
特定の行動や特性に合わせて固定的に設計するのではなく、この5つの構造的課題に対して、自分で状態を整えやすい「柔軟な空間・選択肢」を用意することが重要だと考えました。それが今回の実証実験における空間設計の軸となっています。

【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


——こうした事前調査を踏まえ、試泊調査に込めた想いを教えてください。

早川:私自身も発達特性のある子どもを育てる当事者の一人ですが、みなさんが「周りに迷惑をかけないように」と強く思っているのは本当にその通りです。だからこそ、そこまで周囲の目を気にすることなく、ご家族がもっと気楽にお出かけできる世の中になってほしいと強く感じました。

もしお子さんがパニックになってしまった時でも、あるいはそうなる前の予防としても、「さまざまな選択肢(逃げ場や安心できる情報)」が提示されていることが何より大事なのだと思います。次回お伝えする試泊調査では、そうした選択肢を空間内に用意することで、ご家族が少しでも心から安心して過ごせる環境をつくれるかどうかを検証しました。

●第3回予告 MIMARU実証実験からみえたもの。「誰もが安心できる空間」のヒント

次回は、今回整理した「5つの構造的課題」に対して、MIMARUの実際の施設でどのような環境づくり(試泊調査)を行ったのか、その具体的な解決策と、ご参加いただいた当事者家族のリアルな声をお届けします。

【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い
【発達障害啓発週間】第2回「旅は未来の可能性を広げる挑戦の機会」インクルーシブを検証する『MIMARU 実証実験』に込めた狙い


株式会社コスモスホテルマネジメント(本社:東京都港区、社長:藤岡 英樹)

株式会社コスモスホテルマネジメントは、訪日ファミリーに人気のアパートメントホテル「MIMARU」を東京・京都・大阪で展開しています。キッチン・ダイニング付きの広い客室と、多国籍スタッフのフレンドリーなサポート、さらに家族旅行を快適にするサービスを提供。“みんなで泊まる”楽しさと、家族との絆や旅先で出会う人・街とのつながりがちぢまり深まる旅をお届けします。


MIMARU公式サイト: https://mimaruhotels.com/

サステナビリティページ: https://mimaruhotels.com/sustainability/

コスモスイニシア公式サイト: https://www.cigr.co.jp/
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