コカ・コーラ×オリンピック×VERDY
いよいよ開催が目前に迫る2020年の東京オリンピック。この一大イベントに向けて、長年オリンピックのワールドワイドパートナーを務めてきたコカ・コーラ社が、「Girls Don’t Cry」や「Wasted Youth」といった自身のストリートブランドや、国内外のブランド/リテーラーとの仕事を通じて東京のストリートカルチャーのキーパーソンとして知られるグラフィックアーティスト、VERDYとタッグを組んで「コカ・コーラ 東京2020オリジナルピン」を制作した。コカ・コーラはアムステルダム1928大会以来、現在まで継続してオリンピックにかかわり続けている、企業として最長の歴史を誇るパートナーとして知られている。
ピントレーディングの歴史と2020年
では、なぜ「ピン」なのか。これにはコカ・コーラがかかわってきたオリンピックでのピントレーディングの歴史が関係している。ピントレーディングとは、1896年のギリシャ1896大会から審判/選手/大会役員などを判別するために導入されたバッジを、出場選手が友好の証として交換したことに由来する、オリンピックの名物イベントのひとつ。1980年代頃からはこのピン交換が一般の来場客の間でも人気になり、大会ごとに多くの観客が参加する、ピンバッジの交換会/交流会として人気を博している。コカ・コーラは1988年のカルガリー1988大会から、ピントレーディング専用スペース「コカ・コーラ ピントレーディングセンター」を提供。世界各地から様々な人々が集い、ピンを通じて交流を深める機会を支えてきた。

Photo by official

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今回のキャンペーンでは、VERDY氏が東京2020オリンピック仕様のオリジナルピンをデザイン。「交換するときに楽しいもの」をテーマにデザインを進め、アルファベットをモチーフにした印象的なデザインのオリジナルピンが完成した。コカ・コーラでは、「『東京2020オリジナルピン』付4本パックキャンペーン」として、東京の一部店舗でこのピンが手に入るキャンペーンを展開。

▲グラフィックアーティスト・VERDYがデザインを手がけた「東京2020オリジナルピン」
果たしてこのオリジナルピンは、どんな想いで生まれたものだったのだろうか? マーケティングの部署でインターンを経験後、コカ・コーラに入社。2017年からコカ・コーラオリンピック専門チームのマーケティング部署に所属し、オリンピック関連のプロモーションや体験型イベント、パートナーシップの構築を担当している桜木谷薫さんに、ピントレーディングの魅力や、VERDYさんとのピンの制作風景、2020年のオリンピックに向けての想いを聞いた。

INTERVIEW:桜木谷薫(コカ・コーラオリンピックチーム)
──桜木谷さんが、コカ・コーラのオリンピックチームとして大切にされているのは、どんなことですか?これはコカ・コーラ社が大事にしていることでもありますが、自分が消費者だったらこういうものがあるといいな、という「お客様目線」を大切にしています。コカ・コーラは90年以上オリンピックとかかわっていますが、2020年の東京オリンピックについても、我々の製品を通して、色々な方にオリンピックの楽しさや、オリンピックにかかわる機会を提供したいと思っています。コカ・コーラ社は一般の方々に向けた聖火ランナーの募集キャンペーンも行ないましたし、2020年も様々なキャンペーンの準備を進めているところです。──その施策のひとつが、桜木谷さんが担当されているピントレーディングにまつわる企画なのですね。そもそもピントレーディングとは、どんな魅力があるものなのでしょう?ピントレーディングは、オリンピックの会場で誰もが参加できる、「観客が参加できる一番人気のある非公式競技」とも言われています。年齢も性別も人種も関係なく、様々な方が楽しめるもので、たとえ言葉が通じなくても楽しめますので、多くの方々に「オリンピックに参加する」体験をしていただける方法だと思っています。その「誰もが楽しめる」という部分は、コカ・コーラ社が大切にしていることとも繋がっていることだと思います。──なるほど。ピントレーディングなら運動が苦手な方も参加できそうですし、会場に集まった世界各国の方々とのコミュニケーションツールにもなりそうです。

──では、今回、ピンのデザイナーとしてVERDYさんを起用した理由と言いますと?私たちは、ピンへの関心が高いのは、若い方が多いと考えているんです。最近はファッションでバッグや帽子やデニムジャケットにピンをつけてパーソナライズされる方も多いですから、そうした方々に向けて、ピンを通したオリンピックへの参加を提案したいと思いました。そこで、若者のファッションシーンで人気のある方として、VERDYさんにお声がけをしました。VERDYさんは柔軟にアイディアを考えていただける方で、ゼロから一緒に色々なアイディアを出していただきました。VERDYさんのデザインはタイポグラフィが特徴的だと思っていたので、私たちとしては、まずはその魅力を生かしていただきたいと思っていました。また、ひとつだけで完結するものではなく、コレクションすることで魅力が増すものにできたら、と考えていました。そこでVERDYさんと相談し、アルファベットをつかうアイディアが出てきました。アルファベットなら、自分のイニシャルに当てはまる方もいらっしゃるでしょうし、親近感があって「もうひとつ集めたい」と思えるものになると考えたんです。


──なるほど。

──つまり、オリンピックでピンを交換することは、会場に集まった世界各地の方々が、お互いを知ることや、お互いの思い出をシェアすることにも繋がっていくのですね。そう思っています。ピンコレクターの方々は日本に3万人ほどいらっしゃると言われていますが、そのピンのひとつひとつが、それぞれの物語を持っています。たとえば、今私がつけているものの中にも、実はコカ・コーラの社長がつけていたものが、色々な方の手にわたり、自分のもとにやってきたものがあります。今回VERDYさんにお願いをしたピンは、新しいデザインのレアなピンになっていると思いますし、手に入れた方ごとに、様々な入手方法があり、その方だけの思い出が生まれると思いますので、ぜひ会場のトレーディングセンターに持ってきていただいて、その物語を世界の方々とシェアしてもらえたら嬉しいです。また、今回のオリンピックで初めてピントレーディングを体験する方もいるでしょうし、会場で「やってみたい!」と思う方もいらっしゃると思うので、私たちの方でそういった方々に向けた企画も準備中です。

Text by 杉山仁Photo by Kohichi Ogasahara
日本コカ・コーラ株式会社
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桜木谷薫1989年生まれ。2012年に日本コカ・コーラでインターンをした後、入社。ライセンス&マーケティングアセット担当を経て、現在は東京2020オリンピック アセッツ&パートナーシップマネジャーとして、オリンピック関連のマーケティングに従事。

VERDYVK DESIGN WORKS所属のグラフィックアーティスト。パンクロックや原宿カルチャーを自身のルーツに持ち、Wasted Youth、Girls Don't Cryなどのプロジェクトを手掛ける。現在は東京を拠点にし、ストリートシーンを中心に国内外で活躍。 Instagram
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