<FUJI ROCK FESITIVAL>(以下フジロック)降臨、そしてバトルス(Battles)のオープニングアクト出演と、平沢進を長年追いかけてきたファンにとって2019年は、嬉しくも驚きのニュースが立て続けに舞い込んできた年だった。これまで所謂「シーン」というものに一切属せず、音源の販売ルートまで独自の方法で切り開いてきたインディペンデント~オルタナティヴの化身のような彼が、「ロック」の最前線に乗り込みパフォーマンスを行う。
INTERVIEW:平沢進
━━まずはフジロックについて伺います。最初は会人のお二方を前に出すつもりで企画書を書いたところから始まったと聞いています。最終的に「平沢進」としてフジロックへ出演されてみて、その光景はどのようなものでしたか?想像を上回る「歓迎」にある意味拍子抜けしました。
──ちなみに「テスラコイル」や「レーザーハープ」はどういった仕組みなのでしょうか?「テスラコイル」は放電電圧を変えることによってメロディーを奏で、「レーザーハープ」はセンサーに当たるレーザーを遮ることで音源を鳴らします。──平沢さんのルーツやクリエイティビティについてもお聞かせください。幼少期に初めて出会ったのが鍵盤だとおっしゃっていたのを覚えております。楽器に夢中になり音楽を制作し、アーティストになると考えたのはいつ頃でしたか?アーティストになると考えたことはありません。そうならざるを得ないように環境が動いた結果です。
──インターネットの可能性をいち早く見出し、音源の販売方法などを生み出してきた平沢さんですが、現在のテクノロジーの進化についてはどのような見解をお持ちでしょうか。むしろネットが主流となった今は、すでに興味を失っているところが多いですか?テクノロジーの進化そのものは今でも純粋な動機によるものがあると信じています。ですから受け入れるべきものもあるでしょう。ですがそれは、動機の先にあるもの、つまり、人々がテクノロジーを使ってどうしたいかということよりも、テクノロジーを使って「人々にどうあって欲しいか」という意図による気づきにくい圧力にも応用されています。幸いTVが信用を失ったように、インターネットの一部の情報の傾向も信用を失いつつあります。人々はそれほどバカではないというところに希望を託します。──では、AI技術の発達に対して期待していることはありますか?文明を動かす力学の枠組み転換が起こり、人々や集団の善意が信用できる時代になった時、AIは人類を幸福にするという期待を受け入れるでしょう。
──2018年のCINRAでのインタビューで、今後は時代が大きく変化し「今まで信じられてきた歴史や常識がすべて見直されるような、まるでパンドラの箱が開いてしまうような出来事が起きる」とおっしゃっていました。その大きく変わる未来について、平沢さんはどんなイメージを持っていますか?世界を動かす力と方法のゲームチェンジが起こり、歴史や世界の仕組みを学びなおす機会が共有され、人々は固有の差異と能力を尊重され、「奪取」や「詐取」より「信頼」によるより効率的な富の共有を学び、あるいはそうすると決意し、善意が文字通り善意のために行使される「あたりまえ」の世界へと向かおうとする意志が共有される世界のイメージです。これは人類史から見ても不可能で子供じみた妄想に思えるでしょうが、「理想のビジョン」に出会った時「子供じみた妄想」と定義するように条件づけられた思考傾向の終わりも意味します。人々の思考のゲームチェンジも必要とするため、長い年月を経て完成する世界ですが、2019年はその入り口だったと感じます。──『ブレードランナー』や『バック・トゥ・ザ・フューチャー』などの多くの映画をはじめ、様々な芸術娯楽にて設定されていた未来社会に現実が追いつきました。これまで多くの未来的予見を活動のなかでされてきた平沢さんは、50年後、100年後の未来世界がどう変わっていくことを期待していますか?『ブレードランナー』が描く多くのSFがテーマにしていた高度な管理社会と 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が描くような未来が同時に来ることはありません。
──平沢さんが描く未来には、ご自身の「夢」はありますか?人々が未来に託す「夢」はもう何十年も前に描き終わっています。私自身も過去に描かれた「良い未来」の夢に共感します。ですが今は分岐点にあり、何故それが実現されず、何度も後戻りさせられたり、突破口が見つかる度につぶされるかをめぐってこのまま進むか、その回答につながる分岐を選ぶかの瀬戸際にあります。
平沢進東京都出身。1979年にP-MODEL結成。同年にワーナーブラザーズよりデビュー。テクノ・ポップ/ニュー・ウェイヴの中心的な存在となる。89年にはソロ・アルバム『時空の水』をリリースし、P-MODELと並行してソロ活動を開始(現在、P-MODELは活動休止中)。ソロ作品では、より歌に重心を置いた無国籍風サウンドで「過去(神話/民俗的世界)」と「未来(SF/コンピューター的世界)」が「現在」に出会ったかのような、 独自の音楽世界を確立した。94年より自ら考案した、コンピュータとCGを駆使して観客との相互コミュニケーションにより展開する「インタラクティブ・ライブ」を開催。99年には日本でいち早くインターネットによる音楽配信を開始するなど、常に時代に先駆けた姿勢で音楽活動を行い、音楽業界内外のさまざまなアーティストたちへも影響を与え続けている。2002年の(財)デジタルコンテンツ協会主催「デジタルコンテンツグランプリ」では、2000年に開催された“インタラクティブ・ライブ・ショウ2000「賢者のプロペラ」”が<作品表彰の部>の最高賞である「経済産業大臣賞」と「エンターテイメント部門最優秀賞」を受賞。また、今敏監督のアニメ「千年女優」「妄想代理人」「パプリカ」のサウンドトラック、三浦建太郎作の漫画「ベルセルク」の劇場版・TV版・ゲーム版のサウンドトラックも平沢が担当している。海外でもその評価は非常に高く、アニメーション映画『パプリカ』の主題歌「白虎野の娘」はアカデミー賞歌曲賞部門のノミネート候補となった。2009年からはtwitterも開始。音楽作品のみからでは汲みきれない平沢ならではの独自の世界観が人気を呼んでいる。現在はソロ「平沢進」と、P-MODEL時代の作風を継承したプロジェクト「核P-MODEL」として主に活動中。2020年現在、オリジナル・アルバムのみでも、P-MODELで12枚、平沢進で13枚、核P-MODELで3枚の作品を発表している。
INFORMATION
平沢進+会人(EJIN)会然TREK 2K20ツアー
会然TREK 2K20▼042020.04.19(日)OPEN17:30/START 18:30¥7,150(全席指定・税込)Info.03-3444-6751(SMASH)/03-5720-9999(HOT STUFF PROMOTION)
主催者先行受付:1/28(火)10:00 ~2/4(火) 23:59主催者先行受付はこちら
2/15(土)下記にて一般発売開始!ぴあ(P:176-195)英語販売あり、eプラス(pre:2/5 12:00 – 11 23:59)、ローソン(L:72528)詳細はこちら
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