[第104回全国高校サッカー選手権大会1回戦、尚志高(福島県代表)1-1(PK 8-9) 神村学園高(鹿児島県代表)、10日、東京・MUFGスタジアム(国立競技場)]
神村学園高がPK戦の末に尚志高を下し、同校史上初となる選手権優勝まであと一勝に迫った。
この日、センターバックでフル出場したDF中野陽斗(3年、神村学園中、J2いわきFC内定)主将は、PK戦で10人目のキッカーを務め、右足で豪快なシュートをゴール右上に決めてみせた。
その後、尚志高10人目のキッカーのキックがクロスバーに当たり、神村学園高の決勝進出が決まった。
苦手なPKを決めてよろこぶ中野(写真 浅野凜太郎)
苦手なPKも「楽しんで蹴れた」
90分を戦って、1-1で決着がつかず、勝負はPK戦へ。両チーム一人ずつが失敗した後は、全員が成功し、緊張感が高まる中で10番目のキッカー・中野の順番が近づいていた。
「自分はPKが苦手で、ずっと先生方であったり、選手のみんなから(順番は)10番目と言われてた。10番目が来そうだなってときは、ちょっと緊張しました」
それでも、ペナルティスポットにボールを置いた瞬間、自然と落ち着き、「逆に楽しんで蹴れた」という。
力のこもった右足のキックは、「有村先生(有村圭一郎監督)からアドバイスをもらって、どこに蹴るかだったり、助走の距離であったり、踏み込みは言われていた。左右どちらにも蹴ることはできますけど、きょうはあそこのコースかなと思って最初から決めていた」と、指揮官の助言が背中を押したと明かした。
相手ドリブラーと対峙する中野(写真奥左 浅野凜太郎)
主将として今大会を戦う中野は、多くの責任と想いを背負ってピッチに立っている。
12日の決勝で勝利すれば、同校史上初の選手権制覇に加え、インターハイとの夏冬連続優勝がかかる。さらに、11日に行われる全日本高校女子サッカー選手権大会決勝で同高女子サッカー部が優勝すれば、アベック優勝という快挙達成の可能性もある。
「これまで歴代の先輩方が築き上げてきたものが、いま、自分たちの代になって決勝戦につながっていると思うので、応援してくれる人や支えてくれる人、そして歴代の先輩方がいてこその自分たちの代だと思っている。この神村学園の歴史を塗り替えられたのはうれしいですが、もう一つ上のステージに上がれるようにもっと頑張りたい。
また、キックオフ直前に空を見上げる仕草を見せた中野。
その理由について、「去年の夏ごろに、小学校のときにお世話になったコーチが亡くなってしまって、幼いころからサポートしてくれていた親戚のお兄ちゃんも亡くなってしまった。そういった方々に対して、自分がこのピッチに立っているのは、その方々のおかげという感謝の気持ちと、頑張る姿を見せるために、『頑張るよ!』という気持ちを込めて上を見上げました」と説明。亡き恩人への感謝と決意を胸に刻みながら、試合に臨んでいた。
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神村学園高は、12日午後2時5分からMUFGスタジアムで鹿島学園高と初優勝をかけて対戦する。
主将の覚悟を乗せた一蹴りが導いた決勝の舞台で、神村学園高が新たな歴史の1ページを刻む。
(取材・文 縄手猟 写真 浅野凜太郎)

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