
現在遠藤航が所属しており、かつては南野拓実もプレーしたリヴァプール。先日アイントラハト・フランクフルトからフランス代表FWウーゴ・エキティケを獲得しており、その移籍金はストライカーとしてリヴァプールの歴史上最高額のものになった。
ただ、歴史が示すように、選手は高額な移籍金が支払われたとしても成功が約束されているわけではない。今回は『Planet Football』から「リヴァプールで大きな期待をかけられたものの大失敗した6名のストライカー」をご紹介する。
アンディ・キャロル
加入年度:2011年1月
移籍金:3500万ポンド(およそ69.46億円)
2011年1月31日、冬の移籍マーケットの最終日にリヴァプールは二人のストライカーを同時に獲得した。それはルイス・スアレスとアンディ・キャロルであったが、トップニュースになったのは後者だった。
キャロルはすでにニューカッスルでプレミアリーグを経験していたこともあり、当時では記録的だった3500万ポンドの移籍金が支払われるなど大きな期待を受けた。
しかしその投資はすぐに無駄になったように見えた。キャロルは太ももの怪我で離脱し、シーズン終了まで不調が続き、翌シーズンもあまり進歩が見られなかった。
2012年8月にはウェストハム・ユナイテッドへとローン移籍が決まり、その後完全移籍。しかしキャロルの高額な給与と移籍金での損失はとても大きかった。
クリスティアン・ベンテケ

加入年度:2015年
移籍金:3250万ポンド(およそ64.5億円)
近年のリヴァプールは、長身の9番がなかなか当たらなかった。アンディ・キャロルだけでなく、数年後にクリスティアン・ベンテケも同じ境遇に陥ることになった。
ブレンダン・ロジャーズ監督の下でタイトルまでわずかに手が届かなかったリヴァプール。何かチームに違いをもたらさなければいけない状況で、新しいストライカーを引き入れることにした。
それはアストン・ヴィラで活躍していたベルギー代表FWのクリスティアン・ベンテケであり、移籍金は3250万ポンドもの額が支払われることになった。
ただ10月にはロジャーズ監督が解任され、ユルゲン・クロップ監督が就任。その戦術にベンテケは全くフィットせず、1年後にはクリスタル・パレスへと放出されている。
ダルウィン・ヌニェス

加入年度:2022年
移籍金:6400万ポンド(およそ127.01億円)
ダルウィン・ヌニェスがまだリヴァプールに所属していることを考えれば、まだ彼が大ブレイクして悪評を払拭する可能性がないわけではない。
ただ、この夏にウーゴ・エキティケが獲得されたことは、ポジションが被る彼にとってはまるで最後通牒のようなものであり、良い兆候ではないはずだ。
まだ26歳と若いウルグアイ代表FWは、高い身体能力には定評があるものの、一貫性が欠如していることによって信頼できる存在になりきれてはいない。
ここまで143試合で40ゴールという記録は悪くはないものの、この投資額や給料の高さ、そしてライバルの多さということを考えれば、今夏か来年夏の段階で「放出やむなし」となってもおかしくはないだろう。
マリオ・バロテッリ

加入年度:2014年
移籍金:1600万ポンド(およそ31.75億円)
サッカーの監督を務める者のエゴとして、「自分ならあの選手をうまく使える」と信じてしまうことが少なくない。ブレンダン・ロジャーズがマリオ・バロテッリに対してそう考えたのも仕方がないことだが、結果的には大失敗であった。
ルイス・スアレスがバルセロナへと移籍してしまったことによりストライカーの補強が必要になったが、候補がなかなか捕まらず、最終的には「問題児」バロテッリでギャンブルをすることになった。
バロテッリはコーナーキックのディフェンスに入ることを拒否したり、レアル・マドリー戦でハーフタイムにユニフォーム交換をしたり、SNSで反ユダヤ主義や人種差別的表現をしたりと、リヴァプールでもまさにバロテッリであった。
一方でゴールは2月まで決めることができず、ピッチ内ではバロテッリらしくなかった。結局はわずか1年でミランへと期限付き移籍で復帰している。
ロビー・キーン

加入年度:2008年
移籍金:1900万ポンド(およそ37.71億円)
リヴァプールは2008年7月1日、ロビー・キーンの獲得に関心を持っていることを公に表明した。当時彼を保有していたトッテナムはプレミアリーグに苦情を申し立てたが、交渉の末に1900万ポンド+最大130万ポンドのボーナスという条件で合意した。
アンフィールドにやってきたロビー・キーンは10月にリヴァプールでの初ゴールを決めたが、その後は再び6週間に渡って得点から遠ざかっていた。
その一方、キーンを失ったトッテナムは前線の人選に苦しんでいたため、わずか半年後に1200万ポンドのオファーをリヴァプールに送り、買戻しを打診した。
結局リヴァプールはわずか半年で700万ポンドの損失を出し、キーンを古巣へと送り返すことにした。
ダニー・イングス

加入年度:2016年
移籍金:650万ポンド(およそ12.9億円)
彼を獲得するのに必要だった移籍金はたったの650万ポンドであったため、多少の情状酌量の余地はあるが、バーンリーでの素晴らしいプレーを思えばもっと多くのことが期待されていたはずだ。
ただ、アンフィールドにやってきた彼は度重なる負傷に悩まされ、ライバルに対して遅れを取ってしまい、プレーするチャンスを掴むことができなかった。
11ヶ月にも及んだ怪我での離脱期間を終えたあとも力を発揮することができず、2018年にサウサンプトンへと放出されている。
イングス本人にとってはこの移籍は大成功となり、2019-20シーズンにはプレミアリーグで22ゴールを奪い、イングランド代表にも返り咲いている。