圧倒的な個がいたチーム。再建期には全員の力が必要だ。
川崎ブレイブサンダースにはかつてニック・ファージーカス(207cm)が在籍していた。Bリーグ初代MVPに輝き、通算9552得点は歴代2位の大記録。帰化選手として日本代表でも活躍したその男は、2023-24シーズンをもって現役を引退した。
川崎はいま、新たなフェーズに入っている。順位こそ地区下位に沈んでいるものの、Bリーグ第15節(12月19~21日)では貴重な白星をつかんだ。ベテランから中堅、若手までーー誰が出ても脅威となる集団へ。川崎は再建の途上で、確かな変化を示し始めている。
「全員が脅威になる」を体現した川崎
師走のナイターゲーム。12月19日の東急ドレッセとどろきアリーナは、試合前から熱気を帯びていた。川崎ブレイブサンダースは島根スサノオマジックを迎えた今節を、同じ神奈川を拠点とするプロ野球チーム・横浜DeNAベイスターズとのコラボレーションゲームとして開催。中川虎大、梶原昂希の両選手に加え、球団マスコットのDB.キララも来場し、会場の盛り上げに一役買った。
試合は川崎が序盤からディフェンスを起点に主導権を握る。Bリーグ屈指のガードである岡田侑大(#77 / 189cm)に対し、川崎は水野幹太(#3 / 185cm)や津山尚大(#13 / 180cm)が激しいプレッシャーをかけると、攻撃ではベテランの篠山竜青(#7/ 178cm)が3ポイントシュートで応戦。
©KAWASAKI BRAVE THUNDERS
3クォーターに入ると、圧力を強めた島根のディフェンスを前に川崎はミスが続き、58-53まで点差を詰められる嫌な流れとなる。それでも4クォーター序盤、岡田大河(#55 / 174cm)が速攻を決めて流れを引き戻すと、島根に再三迫られながらも津山が跳ね返した。昨シーズンまで所属した古巣を相手に、残り5分を切って3ポイントシュート2本を含む8得点の活躍。77-68でチームの勝利を決定づけた。
この日の川崎は、コートに立った12人のうち実に11人が得点をマーク。チームディフェンスが光り、ルーズボールに飛び込む積極的なプレーも飛び出した。選手同士がコミュニケーションを取り合う姿も随所に見られ、勝久ジェフリー ヘッドコーチ(HC)が強調する「全員が脅威になる」というテーマをまさに体現した一戦だった。
注目の司令塔・岡田大河。プロ11季目の津山尚大の現在地
そんな中で注目したいのが、今シーズンから加入した若手と中堅の2人だ。
一人目は司令塔の岡田大河。21歳の若さながら、昨シーズンまでの2シーズンをASモナコ U21で活躍し、フランス1部リーグに所属するトップチームのメンバーとしてベンチ入りも経験。
勝久HCによると、岡田はチームメイトやコーチ陣とよくコミュニケーションを取るタイプだという。「どうゲームを考えているのか分かりやすい選手」と評し、コートに立つ選手に応じたプレーの提案も行なっているそうだ。指揮官は「試合や練習を重ねるにつれて、チームメイトの良さをどんどんわかってきている」と口にする。当の本人も、オンコート・オフコート問わず仲間と会話を重ねることが「試合にも繋がっている」と話す。
一方で岡田は、「自分がより高いレベルを目指す上で、今の起用法には満足してない」とも明かす。ここまで20試合に出場しているが、先発はわずか1度。篠山の控えとしてコートに立ち、平均プレータイムは13分程度にとどまっている。それでも、彼はどのタイミングで起用されようが「出たときに仕事ができるか」という考えに立ち、限られた時間の中でチームのプラスをもたらす効率的なプレーを意識している。11月のリーグ戦中断期間を機にチームへフィットしてきた手ごたえも増しており、落ち着いた口調の中に、「もっとできるぞ」という確かな気概がにじんでいた。
「確率高くシュートを決める。
そして、もう一人スポットライトを当てたいのが、プロ11シーズン目を迎えた津山尚大だ。名門・福岡大学附属大濠高校を卒業後、高卒でプロ入り。この日は得点力のあるガードとして、17得点を挙げ、終盤の好プレーで試合を決定づけた。勝久HCも、その姿勢を高く評価する。
「大事なシュートを決める前には(ディフェンスで)エラーがあったと思いますが、それを引きずらずに切り替えることができたのはすごく良かった。そういう気持ち(=古巣戦)も入った試合だと思いますし、『全員が脅威になる』という我々が大事にしているテーマの中で、積極的にシュートを打った。そこを評価しています。入るとき、入らないときありますが、気持ちを強く持ってシュートを打ったのがすごくうれしかったです」
津山にとって川崎は、Bリーグで6チーム目の所属先となる。29歳の中堅として「18歳から今まで経験したものが少しずつあります。メンタル的にも技術的にも身についてきているし、それをしっかり感じながら自分で体現できている時期」と現在地を見つめる一方、新たな環境にいる中で「自分で打開する力という点では、現実を突きつけられています。
この日は、彼が羽ばたいたウインターカップの開幕直前でもあった。10年前を振り返り、後輩たちへエールも送ってくれた。
「高校生活は、僕がプロに行くためのプロセスでした。片峯(聡太)先生と日頃から話し合いながら、ときには厳しく指導されて、本当にウインターカップが集大成。僕もプロに向けた最後の大会だったので気合いを入れていましたね。後輩たちにも頑張って欲しいなと思っています」
他会場の結果
B1第15節では、東地区のレバンガ北海道はアウェーでアルバルク東京と対戦。GAME1を59-81、GAME2を80-84で落とし、連勝は「12」でストップ。順位も3位に後退した。代わって宇都宮ブレックスがアウェーのアルティーリ千葉戦で2連勝を飾り、2位へ浮上。千葉ジェッツは、ホームで京都ハンナリーズに2連勝し、6戦無敗で首位をキープしている。
西地区では、IGアリーナで名古屋ダービーが開催された。
文=大橋裕之
【結果】B1 第15節(2025年12月19日~21日)
12月19日 / 20日
・川崎 79-68 島根 / 川崎 69-72島根
12月20日 / 21日
・茨城 81-70 秋田 / 茨城 69-57 秋田
・A千葉 82-96 宇都宮 / A千葉 83-96 宇都宮
・A東京 81-59 北海道 / A東京 84-80 北海道
・富山 90-80 琉球 / 富山 78-81 琉球
・三遠 94-109 三河 / 三遠 69-83 三河
・名古屋D 78-80 FE名古屋 / 名古屋D 83-87 FE名古屋
・千葉J 81-52 京都 / 千葉J 89-60 京都
・滋賀 80-73 越谷 / 滋賀 83-80 越谷
・大阪 68-86 仙台 / 大阪 73-75 仙台
・佐賀 79-64 横浜BC / 佐賀 90-74 横浜BC
・群馬 65-88 広島 / 群馬 76-83 広島
・長崎 102-70 SR渋谷 / 長崎 85-71 SR渋谷
【順位表】B1 第15節終了時点(2025年12月21日)
東地区
1位|千葉ジェッツ|21勝4敗(.840)
2位|宇都宮ブレックス|20勝5敗(.800)
3位|レバンガ北海道|19勝6敗(.760)
4位|群馬クレインサンダーズ|16勝9敗(.640)
5位|アルバルク東京|15勝10敗(.600)
6位|仙台89ERS|14勝11敗(.560)
7位|越谷アルファーズ|9勝16敗(.360)
8位|横浜ビー・コルセアーズ|9勝16敗(.360)
9位|アルティーリ千葉|8勝17敗(.320)
10位|サンロッカーズ渋谷|8勝17敗(.320)
11位|川崎ブレイブサンダース|5勝20敗(.200)
12位|茨城ロボッツ|5勝20敗(.200)
13位|秋田ノーザンハピネッツ|4勝21敗(.160)
西地区
1位|長崎ヴェルカ|23勝2敗(.920)
2位|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ|20勝5敗(.800)
3位|シーホース三河|18勝7敗(.720)
4位|琉球ゴールデンキングス|17勝8敗(.680)
5位|島根スサノオマジック|14勝11敗(.560)
6位|広島ドラゴンフライズ|14勝11敗(.560)
7位|ファイティングイーグルス名古屋|11勝14敗(.440)
8位|佐賀バルーナーズ|11勝14敗(.440)
9位|滋賀レイクス|11勝14敗(.440)
10位|大阪エヴェッサ|10勝15敗(.400)
11位|三遠ネオフェニックス|10勝15敗(.400)
12位|富山グラウジーズ|7勝18敗(.280)
13位|京都ハンナリーズ|6勝19敗(.240)

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