
[総理大臣杯1回戦日本大(関東1部)1-0富士大(東北1部)、3日、宮城・七ヶ浜サッカースタジアム]
1回戦が行われ、日本大が2年前の大会王者富士大を撃破して2回戦へ駒を進めた。
この日先発したJ1浦和レッズ内定MF植木颯(はやて、4年、日本大藤沢高)はキャプテンマークを巻き、卓越したゲームメイクで勝利に貢献。
先月14日に全日本大学選抜の一員として臨んだイタリア1部フィオレンティーナとの親善試合で、2-1の大金星を挙げた左利きの司令塔はさらなる進化を追い求めていた。
イタリアの金星を経て個の力を追及へ
まるで指揮者がタクトを振るうようなゲームメイクで相手を翻ろうした。
精度の高い左足で長短のパスを出し入れしながら相手の布陣を乱し、プレスをかけられれば軽やかなタッチで富士大イレブンをいなす技術は、卓越の一言に尽きる。
洗練された左足で正確なパスを繰り出す植木(宇田春一撮影)ただ相手の堅いブロックを崩し切れず、延長後半2分で決勝点を挙げて逃げ切ったため、植木の表情は晴れなかった。
「始まる前から全員で難しい試合になると話していた中で、いざ始まってみたら延長まで行って、苦しい試合でしたけど、最後に1点を取って勝つことができて良かったです」
既にJ1屈指の名門である浦和の内定を勝ち得ているが、この日の試合の出来には満足していない。プロの舞台では結果を求められるため、より個の力にフォーカスしている。
「ミドルシュートや得点につながるパスは(プロで)本当に大事になってくると思います。きょうはそこが出せたかと言ったら出せていない」と植木。
浦和での練習参加でプロのレベルを体感した植木は、先月に全日本大学選抜の一員としてイタリアへ渡った。そこで開催された名門フィオレンティーナとの親善試合で先発し、見事2-1の金星奪取に貢献した。
ただ「自分のプレーとしては本当に足りないところだらけだったので、世界で今後やっていくには必要なことがまだまだたくさんある」と浮かれた気持ちはなく、自身の課題と向き合っている。
親善試合ではイタリア代表FWモイーズ・キーンの個の力に衝撃を受けたという植木は、将来世界で戦うため、浦和を背負うために個の力をより研ぎ澄まそうとしている。

「結果的に勝って、チームとしては戦えるという自信がすごく付きました。個人で見ると、相手の同ポジションの選手が上手かった。自分の方が圧倒的に劣っていると感じたので、上に行くためにも、個人で評価されなきゃいけないと思う。これからも個人にフォーカスしてやっていきたいと思います」とさらなる進化を誓った。
2回戦は5日午前11時に宮城・セイホクパーク石巻フットボール場で大阪経済大と対戦する。
「目標は優勝ですけど、1戦、1戦の目の前の相手に勝つことです。またいい準備をして次の試合も勝ちたいと思います」と意欲。日本大が誇る左利きのスーパー司令塔が同大初の大会制覇へ導く。
(取材・文・撮影 宇田春一)