[J1第33節、いわきFC2-1 愛媛FC、10月18日、福島・ハワイアンズスタジアムいわき]
いわきは愛媛を1点差で下し、リーグ戦2連勝を飾った。
先月27日から南米チリで開催されている2025 FIFA U-20ワールドカップに出場していたU-20日本代表MF石渡ネルソン(J1セレッソ大阪から育成型期限付き移籍)が先発出場。
前半33分に先制弾を決めて、格の違いを見せつけた。
復帰早々の先制弾
軽やかに決めた。
ボールを持ち運んだFW熊田直紀がFW加藤大晟にボールを預け、加藤が一度MF柴田壮介にボールを戻すといわきの背番号8はそのままドリブルでペナルティエリア内へ侵入。ゴール前中央で待ち構えていた石渡へ柴田がラストパスを供給すると、左足一閃(いっせん)でゴール下右隅を射抜いた。
先制弾を決めた後に喜びを爆発させたいわきMF石渡(右)「壮介くんがドリブルで仕掛けたときに中に来るか、シュートがはじいたボールがこぼれてくるかなと、すごく考えていたので、それがうまく形になって良かったです」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。
ただこの日はシュート24本を放つも、枠内シュートは7本。内容は圧倒的だったが、1点差の勝利に納得した様子ではなかった。
「(試合の)入りが個人的にあまり良くなかったかなと思っていて、もっとしっかり入るじゃないですけど、もっとできたと思う。もっと出せたと思うし、そういうところが課題かなと思います」と先制弾を挙げたヒーローは課題と向き合っていた。
昨季まで所属していた愛媛との対戦でゴールを決めて成長の証を結果で示した。
ただ一方でU-20W杯ではこれまで経験していなかった困難や悔しさを抱いたという。
時差、出場機会に苦しんだU-20W杯
U-20W杯が開催されたチリと日本の時差は12時間離れており、飛行機での移動も長時間だったため、コンディションの維持に苦しんだ。
「めちゃくちゃ大変でした。
その後は時差との戦いにも苦しみ、「マジでやばいし、めっちゃ眠かったですけど、やるしかなかった」と苦笑いを浮かべた。
チームはラウンド16でフランスとの一戦に敗れ、石渡は11日に帰国。二日間のオフを挟んで、コンディションを調整しながら愛媛戦を迎えた。
「昼がほんまにめっちゃ眠くなるんですよ。昼寝しないようにとめっちゃ言われていた(笑)。ちょっとカフェに行ったりして、うまくやりました」と、コンディションを整えて復帰初戦で結果を出した。
大会では4試合すべてに出場するも、先発出場は消化試合となったグループステージ3戦目のニュージーランド戦のみだった。
「(先発1試合出場は)もちろんめちゃくちゃ悔しいです。(大会は)いろいろなことを学べた。悔しい思いをしたので、あれがあったからここまで来れたと言えるように、1日、1日を大切にしてやっていけたらと思います。
フランスに負けたのがめちゃくちゃ悔しかったし、自分は延長後半からしか出られないという事実もめちゃくちゃ悔しかった。その悔しさを忘れずにやっていけたらと思います」と言葉に力を込めた。
世界を経験した若人は、復帰早々に格の違いを見せつけた。チームは現在暫定10位とJ1昇格プレーオフ圏内6位以内を虎視眈々(たんたん)と狙っている。
「全部勝つつもりで。勝つ気しかないので、1戦、1戦を大事にしていけたらと思います」と力強かった。
次節は26日午後1時5分にアウェイで徳島ヴォルティスと対戦する。U-20W杯を経て頼もしくなった石渡がチームの悲願であるJ1昇格の扉をこじ開ける。
(取材・文 宇田春一)

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