世界最速で2026年W杯予選を突破した日本代表。

日本と同じアジア最終予選グループCを2位で突破したのは、オーストラリアだった。

今予選のオーストラリアは、初戦でいきなり格下バーレーンに敗れる波乱のスタートとなると、監督交代を決断。

元Jリーガーであるトニー・ポポヴィッチ新監督のもとで復調を見せると、昨年10月の日本戦に1-1で引き分け、今月の日本戦には1-0で勝利した。

オーストラリアが日本に勝つのは2009年以来16年ぶりで、一方、日本にとっては今予選で唯一の黒星となった。

『ESPN』によれば、W杯行きを掴み取ったオーストラリアの選手・コーチ陣が予選のなかで最も大変だったと口を揃えている瞬間があるという。

「それは埼玉での日本戦。より正確にいえば、試合会場へのバス移動だ。

スタジアムは宿泊施設から車で40分の距離だったが、高速道路での渋滞により、選手たちは座席で2時間半も身動きできなくなった末にようやく会場に到着した。

サムライブルーとの激しい試合を控えていたため、ほとんどの選手が事前に十分な水分補給を行っていたため、多くの選手が困難な状況に陥り、解決策を探る羽目になった。

現場では別移動だった代表スタッフも慌てふためいた。日本のサッカー協会は前向きな姿勢を示していたにもかかわらず、キックオフの延期は一切認められず。メンバーは、バスが到着次第すぐにウォームアップを開始できるようにコーンを設置したり、ビブスを探したり、できる限りの対応を迫られた。

ジャクソン・アーバインは試合後にこう語っていた。

『結局は笑うしかない。サッカーは不思議なスポーツ。状況が完全にコントロール不能な時、何ができるか?ただ対処するしかない。

このチームと過ごした時間の中で、計画通りにいかない時こそ、最も力を発揮する瞬間がある。厳しい状況に対処しなければならない時だ。

コーチングスタッフ、バックルームスタッフ、医療スタッフ、全員に感謝する。厳しい状況下で、可能な限り準備万端に整えてくれた彼らの対応は、まさにプロフェッショナルだ』

数週間前にコーチングスタッフの交代が行われたにもかかわらず、恐怖のバス移動、そして対峙したのはほぼ無敵の日本だったにもかかわらず、チームは守備を固めて、1-1の引き分けで逃げ切った。

アシスタントコーチのハイデン・フォックスもこう回想する。

『日本は難しい相手だった、間違いなく。あれは試練だった。(3-1で勝利した5日前の)中国戦はいい結果だったが、その後にあのバス移動があった。

2時間バスに乗った後、10分だけのウォーミングアップ――その状況を遮断し、その瞬間に自分を準備するために何ができるか考える必要がある』」

その試合は昨年10月15日に埼玉スタジアム2002で行われた。

オーストラリア代表は渋滞でスタジアム到着が大幅に遅れるハプニングに遭遇。日本サッカー協会もキックオフを遅らせるようにアジアサッカー連盟に要請したものの、それは拒否されたとされている。

ちなみに、ポポヴィッチ監督は規律面だけでなく、選手の栄養管理にも厳格だそう。ウェスタンシドニー・ワンダラーズ監督時代にはベーコンを禁止したことで有名で、オーストラリア代表でもキャンディーやスイーツ、パスタのソースが消えたとのこと。

編集部おすすめ