[第74回全日本大学サッカー選手権大会決勝ラウンド準決勝、日本体育大 0-3 筑波大、12月24日、栃木・カンセキスタジアムとちぎ]
筑波大は準決勝で日本体育大を破り、優勝した2016年大会以来9年ぶりの全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)決勝ラウンドで決勝進出を決めた。
「誰が出てもクオリティが落ちないサッカー」を体現するチームで、ひときわ存在感を放っている選手が、今大会からスタメンに定着しているFW小林俊瑛(しゅんえい、3年、大津高)だ。
この日も、今大会自身4ゴール目となる駄目押しの3点目を記録してチームの勝利に貢献した。
ロールモデルはドイツ代表の長身FW
今季の関東大学サッカーリーグ1部を制した筑波大。シーズン序盤は絶対的エースだったU-23日本代表FW内野航太郎が最前線を務めていたが、6月にデンマーク1部ブレンビーへの入団に伴い退部した。
以降はFW山下景司(1年、大津高)が頭角を現わし、小林はベンチを温める試合が多かった。
それでも今大会決勝ラウンド・グループステージ第2節東海大戦で先発の機会をつかみ、2ゴールを挙げる活躍を見せると、第3節阪南大戦では途中出場から2試合連続ゴールを奪ってみせた。
190センチの長身を生かした小林のポストプレーやヘディングシュートは、今大会の筑波大の大きな武器となっている。
インカレでの成長を実感している同選手は「コミュニケーションを取ることをすごく意識しています。僕はリーグ戦でサブだったので、最初は自分の要求とは違うもの(パスやクロス)が来たりしました。自分の特徴は分かりやすいので、うまくインカレ期間中に(チームメイトと)コミュニケーションを取って、高さを生かしたビルドアップだったり、シュートチャンスをつくり出せていると思います」と大会を通して先発組との連係を深めている。
前半10分の先制ゴールのシーンでは、右サイドからのクロスボールに小林がヘディングで合わせ、GKが弾いたこぼれ球を清水大翔(つばさ、2年、セレッソ大阪U-18)が左足で押し込んでゴールネットを揺らした。
後半アディショナルタイム1分には、味方のシュートが相手選手にクリアされるも、小林が右足で詰めて試合を決定づけるチーム3点目を挙げた。
「篠田(翼、3年、昌平高)に決めて欲しかったので、ちょっと待ってたんですけど、自分のところにボールが落ちてきたので、あとはもううまく当てるだけでした。
得点直後、筑波大の背番号9は両手を胸の位置でクロスさせ、ドイツ代表FWニック・ヴォルテマーデ(プレミアリーグ・ニューカッスル)のセレブレーションを披露。
世界トップレベルの舞台で活躍する身長198センチの長身FWと自身を重ねた。
目標とするヴォルテマーデのセレブレーションを披露した小林(写真 縄手猟)
インカレ期間中もプレミアリーグの試合やハイライト動画を観て、ヴォルテマーデのプレーを研究していたという小林。将来的にはヴォルテマーデがプレーするプレミアリーグでの活躍を目指しており、その舞台へ行くためにも「いま、ここで成長し続けたい」と冷静に語った。
筑波大は27日午後0時から栃木県グリーンスタジアムで国士舘大と決勝戦を戦う。
優勝すれば同校史上10回目のインカレ制覇、今季2冠の偉業を達成する。
リーグ戦では2戦2勝を挙げている国士舘大との対戦だが、筑波大の背番号9は気を引き締めている。
「一発勝負となると国士館大は絶対に強いと思うので、その勢いに負けないように、自分たちもやっぱりそれを上回るような勢いを出さないといけない。いま、(この試合が)終わった瞬間からしっかりいい準備をしていかないといけない」
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今大会を通して成長を実感している大型ストライカーが、関東の名門を9年ぶりの大学日本一に導く。
(取材・文・写真 縄手猟)

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