[J2第36節、ジェフユナイテッド千葉 1-1 藤枝MYFC、11月9日、千葉・フクダ電子アリーナ]

3位千葉は藤枝に引き分け、4位に落ちた。

試合を通してゲームを支配したが、藤枝の堅守を崩せず。

選手たちは、藤枝が事前のスカウティングと違った戦い方だったと明かした。

“プライド”を捨てた藤枝に苦戦

勝たなければいけない試合だった。

1位水戸ホーリーホックと2位V・ファーレン長崎に食らいつくために、何としてでも勝点3がほしかった千葉。対する16位の藤枝はJ2残留に一歩でも近づくために「最低限引き分け」を掲げて試合に臨んだ。

千葉MF髙橋壱晟(いっせい)が「立ち上がりの失点がなければ、ほぼワンサイドゲームだったと思いますが、これがサッカーの難しさだと思います」と肩を落としたように、前半7分にコーナーキックから奪われた先制弾が試合を難しくした。

リードした藤枝は最終ラインに5枚を並べ、ブロックを敷いた。自分たちのプライドを捨ててでも――。

藤枝の須藤大輔監督は「これほどまでに愚直に守備に徹すると『プライドはないのか』、『ブレているんじゃないのか』と言われかねないと思います。でも、それすらもしっかりと自分たちに矢印を向けて、『そんなのはどうでもいい。状況は変わるんだ』。いまの状況を考えて、一つのやり方に固執して、(J3に)落ちてしまったら何も残らない」と選手たちの意思を統一。指揮官の掲げる攻撃的なエンターテインメント・サッカーとは異なるやり方で戦った。

藤枝イレブンの決断が、ホームチームを苦しめた。

「僕らが準備していたよりも、藤枝が割り切った戦い方をしてきた。それはサプライズでした。それだけに最初の失点が響きましたし、守備ブロックを敷く相手に追加点を取れなかったことがすべて」と唇をかんだ千葉の主将DF鈴木大輔。

前半15分にはペナルティキックのチャンスを決めたFW石川大地の2試合連続弾で同点に追いついたが、その後は藤枝の堅守を崩せず。前後半を通じてボールを握り続け、シュート22本を放ったが、1-1の引き分けで試合を終えた。

次節は今月23日午後1時にクラサスドーム大分で大分トリニータと対戦し、最終節は29日午後2時からフクアリでFC今治を迎える。

この試合で再三にわたってクロスボールからチャンスを演出した髙橋は、他会場の結果を踏まえた上で「焦りはあったと思う」と明かした。背番号2は残りの試合でも同じような展開になる可能性があると警鐘を鳴らす。

「ボールを持てば持つほど、時間はどんどん経過していくので、そこのジレンマはある。だから一発の制度を毎回高く、機械のようにやらないといけない。

前を向いてやっていくしかないと思います。

いまからどうあがいても仕方がないし、大分も同じような戦い方になって、今治も(最終ラインが)5枚でもっとカウンターが強烈。でも僕たちなら1得点は取れると思うので、先に失点しないこと」

この試合を終えて4位に落ちた千葉。J1自動昇格圏内の2位長崎とは勝点3差となっている。

J1自動昇格に向けて後がない。今節の勝点1をポジティブに捉え、残り2試合に臨みたい。

(取材・文 浅野凜太郎)

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