「ホンダは帰化してないの?」中国メディア選出「日本の帰化選手ベスト10」が酷すぎて批判殺到
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帰化選手の獲得で代表チームの強化を続ける中国サッカー。今年も、鹿島アントラーズなどで活躍したブラジル人FWセルジ―ニョなど複数選手を帰化選手として新たに代表チームに迎えた。

もはや「帰化ソムリエ」ともいえる中国サッカー界は、他国の帰化事情にも敏感。中国メディア『凯哥说足球』は今年、隣国日本の帰化事情を調査し、「日本サッカー界の帰化選手トップ10:日本サッカーの隆盛の背後を解明」と題した記事を投稿している。

ただ、その内容はあまりにお粗末で誤りばかりの内容。「他国にルーツはあるが、日本国籍を持ってる選手」「日本生まれかつ、ハーフですらない選手」まで帰化選手として掲載されている。

そんな中国メディアによる「日本の帰化選手トップ10」を素材の味そのままでお送りする。

10位 呂比須ワグナー

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正確度:〇

1987年に来日し、日産自動車サッカー部(現横浜F・マリノス)やベルマーレ平塚(現湘南ベルマーレ)などで活躍した呂比須ワグナー。1997年の帰化後は日本代表としても活躍し、フランスW杯にも出場した。

なお、中国メディアでは“非日系選手”史上初の帰化選手であり「先駆者」として紹介されているものの、実際にはラモス瑠偉が非日系選手としては史上初の帰化選手であると言われている。

9位 鈴木武蔵

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正確度:×

今季からJ1横浜FCに移籍した元日本代表FW鈴木武蔵。ジャマイカ人の父と日本人の母を持つ鈴木は出生地こそジャマイカだが、日本国籍を持っており、プロ入り前から世代別日本代表として出場を続けていた。

なお、中国メディアでは「2019年に帰化」と報じられているが、これは鈴木のA代表デビューが2019年であることから推測したのだろうか。

8位 酒井高徳

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正確度:×

日本人の父とドイツ人の母を持つ酒井だが、出身はアメリカ・ニューヨーク。アメリカ国籍を放棄しているかは明らかではないが、日本国籍を持ち、幼少期は新潟で育った。現在はJ1ヴィッセル神戸に所属し、クラブの初タイトル、J1連覇、二冠達成など「ヴィッセル神戸黄金期」の中心的選手として活躍を続けている。

そんな酒井はブンデス時代、その活躍からドイツ国内メディアから「ドイツ帰化待望論」が出た選手。

帰化に縁のある選手ではあるが、中国メディアの「帰化選手」という表現は大きな誤りだろう。

7位 田中マルクス闘莉王

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正確度:〇

日系ブラジル人の父を持つ田中は高校時代、渋谷教育学園幕張高等学校にサッカー留学のため来日。日本でプロデビューした後は、浦和レッズ、名古屋グランパスなどで活躍した。2003年に帰化して以降は、日本代表として2004年のアテネオリンピックや2010年の南アフリカW杯に出場、「帰化選手」の代表格ともいえる選手の一人だ。

6位 三都主アレサンドロ

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正確度:〇

田中同様、高校時代にサッカー留学のため来日した三都主。清水エスパルスでプロデビュー、活躍した後に2001年に帰化を行った。帰化後は日本代表として、2002年日韓W杯、2006年ドイツW杯などに出場し、田中共々「帰化選手」の代表格とも言える選手だろう。

5位 ラモス瑠偉

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正確度:△

20歳で読売クラブ(現東京ヴェルディ)でプレーするために来日したラモスは、「日本一有名な帰化選手」と言えるかもしれない。1989年に日本国籍を取得した背景には、当時の読売が抱えていた「外国人枠」の問題があったという。

中国メディアによる「Jリーグ創設時のメンバーの一人であり、引退後はユースの育成に専念し、数世代にわたる日本の選手に影響を与えた」といった説明は決して間違っていないが「日本初の帰化選手」という表現には大きな誤りがある。

ラモスは非日系選手としては日本初の帰化選手であると言えるが、日本サッカー界ではラモスの帰化以前よりネルソン吉村(日本代表史上初の帰化選手)や与那城ジョージといった選手らが代表チームで活躍を続けてきた。特に与那城はブラジル時代のラモスを日本にスカウトしたことでも知られている。

4位 セルジオ越後

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正確度:×

日本ではクセの強い「解説者」として、ある意味知名度の高いセルジオ越後。現役時代はブラジルの名門コリンチャンスに所属していたほか、現在の湘南ベルマーレの前身でもある藤和不動産サッカー部でもプレーした。

記事では「帰化選手」として紹介されているセルジオ越後だが、日系ブラジル人2世ではあるものの、日本国籍の取得は行っていない。

また、1995年に帰化し、翌96年のアジアカップに出場したと記載されているが、約20年前に既に引退している。

3位 松井大輔

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正確度:×

京都府出身、ハーフでもない松井に対して、中国メディアがなぜ「帰化選手」としたのかは極めて疑問だ。同メディアは松井を「フランス人の父を持つ帰化選手」としている。確かに松井はル・マン、サンテティエンヌ、グルノーブルといったフランスの名門クラブでのプレー経験が豊富な選手である上、15歳の時には名門PSGの入団テストを受けた経験もあるが、フランスにルーツを持っているといった報道は一切行われていない。

なお、記事の画像にはサガン鳥栖時代のハーフナー・マイクが使われていた。

2位 李忠成

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正確度:△

東京都出身ながら、在日韓国人4世として韓国籍を持つ李忠成。プロデビュー後の2006年に日本国籍を取得して以降はU-23日本代表やA代表として活躍。特に2011年のアジアカップ決勝、オーストラリア代表戦で決めた芸術的なボレーシュートは多くのサッカーファンの脳裏に克明に刻まれている名場面だろう。

なお中国メディアは「日本と韓国の世論を騒がせている在日3世」と紹介している。一部間違いはあるが、李の現役時代は日韓関係がよくない時期もあり、両国のネットユーザーの間で李を巡る議論が度々起こっていた点は事実と言えるだろう。

1位 田中碧

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正確度:×

神奈川県川崎市出身、川崎フロンターレから世界に羽ばたいた26歳の日本代表MFがなぜか1位に輝いた。

中国メディアから「父はイギリス人」と紹介されている田中。現在はイングランド2部リーズ・ユナイテッドに所属していることから生まれた誤解だろうか。

なお、中国で公開された記事のコメント欄では「ホンダはカンボジアに帰化していないの?」「酒井宏樹は帰化選手じゃないの?」といった謎のコメントが相次いでいる。

どうやら、中国のネットユーザーにとっての「日本代表観」には随分誤りが多いようだ。

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