
サッカーという競技はピッチ内で行われるものだけではなく、試合前の言葉の応酬や挑発なども見どころの一つだ。多くの選手や監督はそれを避けるために過激な発言を避けるが、時にはそのタガが外れてしまうこともある。
今回は『Planet Football』から「サッカー界における有名な7つの対立事件」をご紹介する。
アンドレ・オナナvsネマニャ・マティッチ

マンチェスター・ユナイテッドのGKを務めるアンドレ・オナナが、EL準々決勝で対戦するリヨンについて「自分たちのほうが断然上だ」と発言した。まさか彼はこれに100倍の強さの反論が返ってくるとは思っていなかっただろう。
元マンチェスター・ユナイテッドでもあるリヨンMFネマニャ・マティッチは、それに対して過去の実績をもとに猛反論。
マティッチはかつての名GKデ・ヘア、シュマイケル、ファン・デル・サールなどを例に出し、「ビッグスターからの言葉ならば厳しい指摘も納得するが、彼は統計上でユナイテッドの歴史上最悪のゴールキーパーなのだから、まずはピッチで実力を証明すべきだよ」と語った。
それに対してオナナは「他のクラブに対して失礼なことをするつもりはなかった。明日は厳しい試合になるとわかっているよ。ただ、僕はこれまで世界最高のクラブでトロフィーを掲げてきたといえる。同じことを言えない人もいるだろう」とコメントした。
エリック・テン・ハフvsアルフォンソ・デイヴィス


マンチェスター・ユナイテッドで指揮を取ったことで知られるオランダ人監督、エリック・テン・ハフ。彼はチームの戦術や個々の選手の能力についてストレートに語ることで知られる人物だ。
2023年に行われたチャンピオンズリーグのグループステージにおいて、彼は対戦相手のバイエルン・ミュンヘンDFアルフォンソ・デイヴィスについて、「非常に速くて、攻撃的なプレースタイルを持っている一方、彼の守備には問題がある。ディフェンダーとして優れているわけではないし、ドリブルも得意ではない」と率直なコメントを残した。
その結果、マンチェスター・ユナイテッドはバイエルンを相手に3得点するも、逆に4失点を食らってしまう。
ペップ・グアルディオラ vs ジョゼ・モウリーニョ

サッカー界の宿敵として名高いジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョ。2011年に行われたチャンピオンズリーグ準決勝、バルセロナとレアル・マドリーの熱戦を前に、両者は容赦ない挑発を続けていた。
モウリーニョはいつものスタイルで過激なコメントをしており、グアルディオラがコパ・デル・レイ決勝でクリスティアーノ・ロナウドのゴールについて不満を述べていたことを批判していた。
そしてグアルディオラは、試合前の記者会見で「このレアル・マドリーの会見室では彼がリーダーであり、私は太刀打ちできない。バルセロナが彼に匹敵する人物を求めているなら、別の監督を探すべきだ」と感情を顕にしていた。
両者の舌戦が繰り広げられた試合は、グアルディオラが率いるバルセロナが2-0で勝利するという結果に。2試合合計でも3-1とバルセロナが上回り、ウェンブリー・スタジアムでの決勝戦にコマを進めている。
ティボー・クルトワvsジョーダン・ピックフォード


2018年のワールドカップにおいてイングランド代表の守護神を務めたジョーダン・ピックフォード。グループステージのベルギー戦ではアドナン・ヤヌザイの決定的なゴールを許して批判を浴びた。
そして、対戦相手だったベルギーのGKティボー・クルトワは、ピックフォードはあまり体格に恵まれていないことを引き合いに出して「もし自分があの位置に立っていたら、必ず防げていたよ」と挑発した。
ピックフォードはそれに対し「自分が一番大きなキーパーじゃなくても、全然気にしないよ」とコメント。
後にクルトワはBBCのインタビューで「相手を侮辱しようとした訳ではなく、単に自分だったら届くボールだったと言っただけだった。彼の身長を馬鹿にしたことはない」と弁解している。
MLSオールスターチーム vs ASローマ


2013年に行われた親善試合であったが、アメリカが絡んだイベントらしい盛り上げがあった。試合に先立ち、MLS公式ツイッターアカウントが「ローマは90分で崩れる」と煽るツイートを発信したのだ。
ティエリ・アンリがキャプテンを務めたMLSチームと、フランチェスコ・トッティが先陣を切ったローマ。この世紀のスター同士が戦うということもあり、ファンの間で期待と興奮が一気に高まった。
結果としてローマは3-1という快勝を収めたものの、このような「おふざけ」半分の試合前のやり取りは、アメリカならではのユーモアとして好意的に受け入れられ、華々しいイベントになった。
ロイ・ホジソン vs ハリー・ザ・ホーネット


2016年に発生した珍しい「監督vsマスコット」の事件。クリスタル・パレスを率いていたロイ・ホジソンの発言に対し、ワトフォードFCのマスコットである「ハリー・ザ・ホーネット」が起こした行動だ。
パレスのFWウィルフリード・ザハは、ワトフォードとのアウェイゲームでPKをもらうためにダイビングをし、イエローカードを受けた。それに対してハリー・ザ・ホーネットは彼の前にダイビングしてみせるという挑発行為を行い、スタンドを沸かせた。
次のワトフォード戦を迎えたとき、ロイ・ホジソン監督は「ザハは決してダイブしない男だ。
しかし、この試合はワトフォードが2-1で勝利し、ハリー・ザ・ホーネットはスタジアムでザハのようなダイビングをして再びスタンドを沸かせている。