部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」

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[第104回全国高等学校サッカー選手権大会1回戦、青森山田高等学校(青森県代表)5-0 初芝橋本中学校高等学校(和歌山県代表)、29日、千葉・フクダ電子アリーナ]



1回戦が29日に関東圏各地で行われ、青森山田高が初芝橋本高を5-0で下して、2回戦に進んだ。



この試合で、得意のヘディングから2得点目を奪った青森山田DF大場光翔(ひかる、3年、FC Cantera U-15)は、今夏の全国高等学校総合体育大会(インターハイ)の青森県予選決勝での悔しさを糧にしていた。



部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」
画像: 1回戦のピッチに立った大場

1回戦のピッチに立った大場



25大会ぶりに逃したインハイ全国大会出場の切符



今夏の悔しさを選手権の舞台にぶつけた。



名門・青森山田高で背番号5を背負う大場は、身長186センチの長身を生かした打点の高いヘディングで2得点目を奪取。前半24分のコーナーキックをねじ込んだ。



「セットプレーで自分が得点を取ることを一週間前から意識していました。自分のところにボールが来たので、決められて良かったです」と笑みを浮かべたが、今年6月のインターハイ青森県予選決勝では、辛酸をなめていた。



部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」
画像: 得点後に仲間とハイタッチをする大場(中央右、写真:浅野凜太郎)

得点後に仲間とハイタッチをする大場(中央右、写真:浅野凜太郎)



八戸学院野辺地西高等学校と全国の切符をかけて対戦した青森山田。



同県の絶対王者として試合に臨んだが、試合は1-1のままPK戦に突入。大場が7人目のキッカーとして降りぬいた右足シュートは、ゴール左側に飛んだ相手GKに止められてしまった。



PK戦を5-6で終えた青森山田は25大会ぶりにインターハイの全国大会出場を逃した。



「人生で経験したことのない悔しさ。大会が終わってから一週間は立ち直れなかった」と、いまでもあの日の光景が忘れられないという。



決勝戦後はチームメイトたちへの申し訳なさや、記録を途絶えさせてしまった責任感で、部屋にこもる生活を送った。



それでもなんとか立ち直って、選手権のピッチに立った。

きっかけは、選手たちが自主的に行った話し合いだった。



部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」
画像: 得点後もこまめに話し合いを行った青森山田イレブン(写真:浅野凜太郎)

得点後もこまめに話し合いを行った青森山田イレブン(写真:浅野凜太郎)



「大会(インターハイ)が終わって一週間くらいしてから、監督を除いたAチーム全員でミーティングをしました。そこで『みんなで前を向いて、選手権に向かってやっていこう』と前を向けた。自分のシュートがストップされて負けてしまったので、あれからは自分の殻を破って、自分を出していこうとしていました」



その言葉通り、大場からあの日の悔しさを引きずっている様子は一切見られなかった。



自身が憧れた“松木世代”が決勝戦で戦った大津高と再戦



29年連続31回目の選手権に臨んだ青森山田。大場の2得点目で勢いづくと、後半29分、39分、44分とゴールを重ねて5-0で勝利。名門は今夏の悔しさを糧にして、よりたくましくなっていた。



「緊張はしましたが、ミスはあるものなのでチーム全員でカバーしようと話していました」と苦難を乗り越えた青森山田は、今月31日午後2時10分にキックオフする2回戦で熊本県立大津高等学校と対戦。



2022年1月に行われた第100回大会決勝カードの再現となる。



当時、MF松木玖生(くりゅう、イングランド2部サウサンプトンFC)らを擁して日本一の座をつかんだ青森山田。千葉県出身の大場は同大会を観て、故郷を離れる決断をした。



部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」
画像: ピンチの芽を摘んだ大場(右、写真:浅野凜太郎)

ピンチの芽を摘んだ大場(右、写真:浅野凜太郎)



「中学生のときに“松木世代”を見て、ここの高校で日本一になりたいと思いました。

きょうは中学のときの友達や、家族が観に来ていたので得点ができてうれしいです」と、地元フクアリでの活躍だったが、すぐさま課題もあると次戦を見据えた。



「人一倍悔しかったし、そこから冬まで準備してきた。その結果が出たのかなと思います。ただ、きょうは相手が蹴ってくるチームだと分かっていましたが、競り合いの部分で負けるシーンもあった。次の試合では修正して空中戦は一本も負けないようにしたい」



卒業後は、今年の北信越大学サッカーリーグ1部を優勝した新潟医療福祉大に進み、プロを目指す。高い志を持つ大場にとって、この日のプレーはまだまだ納得できるレベルにはないようだ。



今大会では、自身が憧れた松木世代を彷ふつとさせるような強い青森山田を披露したい。



部屋にこもるほどの悔しさを乗り越えた青森山田DF大場光翔、選手権で憧れた“松木世代”に近づくゴールで1回戦突破「一週間は立ち直れなかった」
画像: 第102回大会ぶりの優勝を目指す青森山田イレブン(写真:浅野凜太郎)

第102回大会ぶりの優勝を目指す青森山田イレブン(写真:浅野凜太郎)



高校サッカーの帝王!青森山田「歴代ベストイレブン」はこれ



「無失点はもちろん、自分のゴールで勝たせたいので、大会を通して5得点を取りたいです」とFWさながらの意気込みを語った背番号5が、名門を2大会ぶりの優勝に導く。



(取材・文・写真:浅野凜太郎)

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