田臥勇太(宇都宮ブレックス)をはじめ、Bリーグには実力や実績はもちろん、加入以来一度も移籍せずにキャリアを重ねてきたフランチャイズプレーヤーがいる。
B1第22節の川崎ブレイブサンダースと琉球ゴールデンキングスの一戦には、そんなレジェンドたちが3人もコートに立った。
GAME1(2月7日)後に篠山竜青、長谷川技(川崎)、岸本隆一(琉球)が語ったのは、同一チームでキャリアを全うしてきたからこそ抱く思いと、長く続けてきた者にしか分からない苦労だった。
いろいろな応援が楽しめる「一風変わった?!企画チケット」とどろきアリーナで "フランチャイズプレーヤーチケット"が登場!
川崎ブレイブサンダースは第22節(2月7~8日)の琉球ゴールデンキングス戦で、「一風変わった?!企画チケット」を販売した。
これはとどろきアリーナでいつもと違った観戦体験をファンに提供したいという思いから生まれたもので、選手の好きな香りがプレゼントされるチケット、伊久江ロイ英輝らインサイドプレイヤーの顔がプリントされたフェイスボードを掲げて応援できる鉄壁守備チケット、さらに声を張り上げて応援できる座席のチケットなど全4種類。
その中に含まれていたのが「フランチャイズプレーヤーチケット」だ。ひとつの会社・組織などに10年以上勤めた人を対象としたこの企画は、まさに長年クラブを支えてきた選手の存在価値を象徴していた。
Bリーグ開幕前の時代からチームへ。Bリーグを代表する「フランチャイズプレーヤー」たちが競演
プロスポーツ界では、加入から移籍せず活躍を続ける選手をフランチャイズプレーヤーと呼ぶ。プロ野球やJリーグでは珍しくない存在だが、主力選手の移籍が活発なBリーグにおいては、クラブの象徴的な選手たちだ。
特に、bjリーグやNBLといった2016年のBリーグ開幕前から在籍する選手たちはリーグの歴史そのものだ。
B1で言えば、田臥勇太や篠山竜青、長谷川技、岸本隆一、水戸健史(富山グラウジーズ)
、ベンドラメ礼生(サンロッカ-ズ渋谷)、ザック・バランスキー(アルバルク東京)らが思い浮かぶ。
そのなかで、篠山(#7/178cm/PG)、長谷川(#33/190cm/SF)、岸本(#14/176cm/PG・SG)の3人が競演したのが、第22節のGAME1(2月7日)だった。
川崎では篠山、長谷川がスタメン出場。岸本は控えからチームへ貢献するともに、ベンチから若い選手たちを盛り立てる様子がうかがえた。
試合は序盤、川崎が2本の3ポイントシュートを決めるなど流れをつくるが、琉球は20歳の崎濱秀斗(#17/178cm/PG)が持ち前のディフェンスで篠山を徹底マーク。崎濱に代わって岸本がコートに入ると、ジャック・クーリー(#45/206cm/C)との好連携で得点を重ね、14-21と先行する。2クォーターは、両者ディフェンスで耐えて流れを渡さない展開となり、23-29で後半へ。
3クォーター、我慢が実ったのは琉球だった。デイミアン・ドットソン(#21/196cm/SG)が2本の3ポイントシュートを含む8得点で流れを引き寄せ、崎濱、岸本もドライブを決めるなど35-54とリードを一気に広げて4クォーターに。最後の10分は、今月末の代表戦に向けてメンバー招集された佐土原遼(#8/192cm/SF・PF)ら控え選手が突き放し、55-82でゲームをクロージング。
この試合の3日前にも東アジアNo.1クラブチームの座を争う東アジアスーパーリーグ(EASL)を戦った直後のアウェーゲームながら、チーム一丸で勝利を手繰り寄せた。
21分8秒の出場で6得点5リバウンド5アシストの活躍を見せた岸本は「ディフェンスが機能して、勝利できたという印象です」とコメント。ただ、スタメンを務めたシーズン前半戦から役割が変わって、1月24日の後半戦よりベンチスタートになったため、彼は「試合の流れをもう少し見極められるようにしていきたい」とも話した。
岸本隆一(琉球 #14)
2013年にプロ入り。岸本隆一が強豪で「突き詰めて」きたこととは?
岸本は2013年にプロ入りして以降、琉球一筋。Bリーグ初制覇(2022-23シーズン)、天皇杯優勝(2025年3月)といった数々のタイトル獲得に貢献してきた35歳である。
彼は常々、選ばれる側の人間という意識と、自分と同じようにふるいにかけられてきた選手たちも念頭に置いて、クラブに「残っている選手の責任」を持っている。「結果が出なければ誰も報われないと思うので、そこはすごく昔から意識している」と言う。
また、岸本は新たな男子日本代表ヘッドコーチに就任した現指揮官の桶谷大氏を始め、歴代ヘッドコーチ(HC)の求めに応えることも結果を残す一つの要素としながら、キャリアを全うする苦労も少しにじませた。
「人間なのでやっぱり、選手のキャラクターだったり、僕自身もそれ(HCの求めるもの)を理解して、どうチームに落とし込むかも同じぐらい考えてきたつもりです。やはりそこが一番難しいので。バスケットに限らず、実生活もそうじゃないですか。何かやりたいことと、現実に起きていることのギャップは誰しもあって、そこをどう上手くすり合わせて自分を表現していくかがすごく大事な作業であり、難しい作業だと思いますね。そこを突き詰めて今があると思っています」
岸本の存在は、若手の崎濱にとっても大きい。桶谷HCより練習や試合でのパフォーマンスが評価されて、リーグ後半戦からスタメン起用されている20歳は、岸本と同じ沖縄県の生まれ。
ディフェンスで奮闘が光るだけでなく、試合後アシタントコーチとワークアウトに励むなど、岸本の背中を追って成長を誓っている。
「小学校から見ていた選手と、同じチームになってプレーできることは本当に光栄ですし、当たり前じゃないと思っています。チームにいる時間、隆一さんがあと何年ぐらい(現役を)するか分からないですけど、その時間の中でどれだけ隆一さんからいろいろなことを盗めるか、学べるか。自分からも積極的にアドバイスを求めたいですし、自分のためになると思っています」
篠山竜青(川崎 #7)と崎濱秀斗(琉球 #17) ©KAWASAKI BRAVE THUNDERS
かつて東芝に入社した篠山と長谷川。長く続ける苦労や思い
一方、川崎の篠山と長谷川も長年のキャリアに感慨深さを感じている。
篠山は2011年、長谷川は2012年にそれぞれオーナー企業が東芝時代のブレイブサンダースに加入。
篠山が「一つのクラブからこれだけ必要としていただいて、毎年契約オファーをいただけることに感謝しなければいけない」と言えば、長谷川も「同じチームでやらせてもらえて、自分だけではできないことだと思います。14年やってこられたのもスタッフ、ファンの皆さんのおかげであり、一番近くで支えている家族の存在が一番大きいと思います」と語る。
長谷川技(川崎 #33) ©KAWASAKI BRAVE THUNDERS
篠山は、同一チームに在籍を続ける中で、強い意識も芽生えた。自分に対して厳しく指摘する先輩らが少しずついなくなる中で「常に自分に厳しく矢印を向けて、いろいろなことにチャレンジしたり、何かを変えたりするところには人一倍アグレッシブにやらなければいけない」と話す。
37歳を迎えた今シーズン、シュートフォーム変更が奏功し、3ポイントシュートの成功率や平均得点を一昨シーズンより向上しているのも、その意識があってのことだろう。若手のように常にコートで誰よりも奮起し続ける姿も、チームの顔として見られる立場に起因している。
「自分が下を向いてしまうとチームが下を向いているふうに思われてしまいがちです。適当なプレーができない、そんな見られ方をされるのは良い緊張感に繋がっているし、時にストレスになることもありますが、そういう思いでやっていくうちに自然とプライドというかね、チームを背負っている自負が少しずつ出てきていて。だからこそ、クラブをもっと良くしたい。なかなか結果が出ないシーズンもありますが、舐められたくない。ただでは負けたくない。このままではいられないという思いは、常に自分の中にはあります」
そんな篠山は、小さな頃からNBAを見て、チームの象徴として一つのクラブでキャリアを全うする選手に対して「憧れ」があったそうだ。当然、今後も川崎一筋の未来を描いており、移籍の活発なBリーグで「逆をいきたいですね。そんな思いは強くなっています」と、ちょっと茶目っ気を交えて明かす。
加えて、他チームにいる同じ境遇の選手たちからも刺激をもらっており、この日マッチアップした岸本に言及。「今日で言うと隆一だったり、そういう選手たちとコートでまだ対峙できることの幸せを感じますし、コートの上で共鳴できることがありがたいと思いながらやっているフェーズに入ってきている」と話した。
篠山竜青(川崎 #7)と岸本隆一(琉球 #14)のマッチアップ も ©KAWASAKI BRAVE THUNDERS
キャリアを重ねて気が付いたら長くいた、フランチャイズプレーヤーは幸運なこと
同一チームで長く続けるからこそのやりがいや苦労、確かな自負。彼らの歩みは、Bリーグの歴史でもある。ただ、チームの象徴と言われる選手には、当人しか感じられない苦労があり、目指してなれるものではなく、おすすめできるものではないのではないか。バスケットボール界を取り巻く環境も10年前と様変わりして、今後の変化も大きそうだ。篠山へ問いかけてみると、慎重な思いも寄せられた。クラブを背負う選手の言葉にしっかりと耳を傾けておきたい。
「僕自身はキャリアを何年も重ねていって、いろいろな選択肢がある中で結果的に長くいた、長くいることができているのは理想的だとは思います。ただ、クラブとして考えると、優勝を目指す、強くなるために選手を入れ替えることは必要ですし、また、結果がどうこう関係なく(誰かひとりを意図して)担ぎ上げることは難しい時代だと思うんです。そういう意味ではこれから(フランチャイズプレーヤーが)生まれるのはハードルが高いと思うし、それで良いと思っています。僕は若い選手たちにその美学を共有するつもりはないし、だから(若い選手は)それを背負う必要もないと思います。時代が時代なので。そういった意味でいうと、自分ぐらいの世代は、時代的にもタイミング的なことも含めてフランチャイズプレーヤーとしてキャリアを重ねることができ、幸運だと思っています」
他会場の結果
B1 第22節では、東西の上位対決にも注目が集まった。東地区2位の宇都宮ブレックスと、西地区で首位を走る長崎ヴェルカが今シーズン初対決。GAME1は宇都宮が89-74で勝利を収めたが、GAME2では長崎が75-105でリベンジに成功。
また、1月29日のBリーグドラフトで指名された2人の選手がBリーグデビューを飾ったのも見逃せない。
一人は、長崎ヴェルカに1巡目指名されたのち「育成契約選手制度」を活用した相互連携によって滋賀レイクス入りした岩下准平。島根スサノオマジック戦に出場して、2戦合計で15得点4アシストの好プレーを披露した。もう一人は、茨城ロボッツからドラフト1巡目指名された赤間賢人だ。ファイティングイーグルス名古屋とのGAME2でプロ初得点を含む9得点を記録。大きな1歩を踏み出している。
【結果】B1 第22節(2026年2月6日~ 2月8日)
2月6日 / 2月7日
・宇都宮 89-74 長崎 / 宇都宮 75-105 長崎
2月7日 / 2月8 日
・千葉J 73-75 A東京 / 千葉J 72-64 A東京
・越谷 87-79 仙台 / 越谷 67-76 仙台
・島根 61-86 滋賀 / 島根 80-72 滋賀
・富山 67-92 佐賀 / 富山 69-91 佐賀
・北海道 75-97 三河 / 北海道 91-95 三河
・広島 101-92 秋田 / 広島 79-69 秋田
・茨城 68-76 FE名古屋 / 茨城 80-75 FE名古屋
・群馬 81-65 大阪 / 群馬 84-68 大阪
・川崎 55-82 琉球 / 川崎 66-77 琉球
・三遠 88-74 横浜BC / 三遠 78-72 横浜BC
・名古屋D 72-62 SR渋谷 / 名古屋D 84-59 SR渋谷
・京都 80-91 A千葉 / 京都 65-82 A千葉
【順位表】B1 第22節終了時点(2026年2月8日)
東地区
1位|宇都宮ブレックス|27勝10敗(.730)
2位|千葉ジェッツ|27勝10敗(.730)
3位|レバンガ北海道|26勝11敗(.703)
4位|アルバルク東京|25勝12敗(.676)
5位|群馬クレインサンダーズ|24勝13敗(.649)
6位|仙台89ERS|22勝15敗(.595)
7位|サンロッカーズ渋谷|15勝22敗(.405)
8位|越谷アルファーズ|14勝23敗(.378)
9位|横浜ビー・コルセアーズ|13勝24敗(.351)
10位|アルティーリ千葉|12勝25敗(.324)
11位|茨城ロボッツ|10勝27敗(.270)
12位|川崎ブレイブサンダース|9勝28敗(.243)
13位|秋田ノーザンハピネッツ|7勝30敗(.189)
西地区
1位|長崎ヴェルカ|31勝6敗(.838)
2位|名古屋ダイヤモンドドルフィンズ|29勝8敗(.784)
3位|シーホース三河|25勝12敗(.676)
4位|琉球ゴールデンキングス|24勝13敗(.649)
5位|広島ドラゴンフライズ|21勝16敗(.568)
6位|佐賀バルーナーズ|21勝16敗(.568)
7位|島根スサノオマジック|20勝17敗(.541)
8位|三遠ネオフェニックス|18勝19敗(.486)
9位|大阪エヴェッサ|15勝22敗(.405)
10位|ファイティングイーグルス名古屋|15勝22敗(.405)
11位|滋賀レイクス|13勝24敗(.351)
12位|京都ハンナリーズ|9勝28敗(.243)
13位|富山グラウジーズ|9勝28敗(.243)
取材・文=大橋裕之

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