
[J2第10節、ジェフユナイテッド千葉 1-0 大分トリニータ、4月20日、千葉・フクダ電子アリーナ]
千葉は大分に1-0で勝利し、首位固めの3連勝を飾った。
この日はMFエドゥアルドが開幕戦以来の先発復帰を果たした。
背番号6が日本語で伝えた感謝の気持ち
「あなたたちはいつもすごい!ありがとうございました!」とサポーターに日本語で感謝を伝えたエドゥアルドは、試合終盤に鳴り響いた『PRIDE』のチャントを力にして、90分間走り続けた。
母国から日本に来て4年目を向かえる背番号6は、王国ブラジルの熱量にも負けない千葉の声援をエネルギーにして闘い続けている。
来日当初は片言だった日本語が上達し、今月16日に行われた公開練習では訪れたファンに対して「お疲れ様でした」「ありがとうございます」「頑張ります」と自らの言葉でこの日の勝利を誓っていた。
「常に日本語を覚えなくちゃいけないと思っていますし、(日本語を)覚えることでコミュニケーションがはかどり、もっと馴染むこともできると思っています。ボキャブラリーの数こそ少ないですが、やっと自分が話せる範囲で感謝の気持ちを込めた言葉を伝えることができて本当に良かったです」と白い歯が光った。
J2ジュビロ磐田から完全移籍で加入した昨季はリーグ戦19試合で3得点1アシストを記録。豊富な運動量と優れたボール奪取能力で中盤を支配した背番号6は、今季より副主将としてチームを引っ張る覚悟を口にしていたが、ケガによる欠場が続いていた。
ビルドアップに貢献したエドゥアルド(右)シーズン序盤の負傷によって思うようなスタートダッシュを切れなかったブラジル出身のテクニシャンは、その悔しさをトレーニングにぶつけた。
千葉の小林慶行(よしゆき)監督は「ついこの間トレーニングマッチをやったんですけど」とエドゥアルドの努力を明かした。
「エドゥ(エドゥアルド)はトレーニングマッチでとてつもないリーダーシップを発揮していて、エドゥらしいプレーが戻ってきたと思っていました。トレーニングマッチでいいプレーをした選手は使いたいという考えが、今シーズンの最初から自分の中にはあります」と背番号6を称賛し、先発起用に踏み切った。
チームメイトからも「努力家」と一目置かれるエドゥアルドは、自身のチャントがこだまするフクアリで復活を果たした。
超絶ゴラッソは打つと決めていた
開幕戦以来の先発出場となったこの日は、ボランチの位置で攻守に貢献。攻めれば持ち前のテクニックで相手をいなし、守れば身体を張ったプレーで大分を苦しめた。
「試合に入ってないメンバーたちも目をギラつかせて、隙あらば(試合に)出てやるぞというポジション争いの中でやっている」とエドゥアルド。ボランチでコンビを組んだMF田口泰士をはじめ、MF横山暁之(あきゆき)やMF品田愛斗(まなと)、MF小林祐介ら強力なライバルたちとのポジション争いはし烈を極める。
定位置確保に燃えるエドゥアルドは指揮官の「バトルで強い選手を(試合に)入れたい」という狙いにハードワークで応え、中盤を制圧し続けた。千葉は試合の主導権を握りながらも、なかなか決定機を作らせてもらえなかったが、ケガに苦しんだ男の鬱憤(うっぷん)を晴らす超絶ゴラッソがチームを救った。

後半9分に左サイドでボールを受けたエドゥアルドは、そのまま躊躇なく右足一閃(いっせん)。ボックス前から放たれた強烈な無回転ミドルシュートはゴール右側に突き刺さり、1万1607人の観客を熱狂させた。
決勝点を沈めた背番号6は「実は試合開始のホイッスルが鳴った瞬間から狙っていたんです。あのシーンが生まれたら、絶対に足を振ろうと思っていました」と今季初ゴールへの執念を口にした。

「やっぱり日々の積み重ねだと思います。
千葉はこの得点を守り切り、1-0で勝利。4連勝を目指す次節は25日午後7時にホームでブラウブリッツ秋田を迎える。

千葉を熱く愛する男は「自分は学ぶことがすごく好きなんです。サポーターの方々が(自分の日本語で)喜んでくれたと聞いて、さらにうれしくなりました」と、進化し続ける自身の語学とサッカーでフクアリを笑顔にする。
(取材・文 浅野凜太郎、写真 縄手猟)